田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

砂浜のマルバアカザ

2010-09-29 | 草花

2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南にて アカザ科アカザ属のマルバアカザChenopodium acuminatum Willd.

高波が運んできた漂着物がゴロゴロしているような,砂浜の比較的不安定な場所に生育するマルバアカザは,6月頃に見る姿と9月末に見る姿とでは大きく異なる。この時期のマルバアカザは茎の色も異なり,葉の殆んどが無くなっている。近似の種も含めて,植物図鑑にもあまり載っていないので,この植物と出会っても同定が難しい。私も10年前にK氏に同定してもらって,ようやくにしてマルバアカザの名前を知った。3年前の夏の写真も引っ張り出して,詳しく紹介しておく。

CD-ROM原色牧野植物大図鑑によると,マルバアカザは
「本州から琉球列島,および朝鮮半島,台湾,中国,モンゴル,シベリア,中央アジア北部の温帯から亜熱帯に分布。海岸の砂地などにはえる1年草。全体に無毛。茎は下部が横にはい,斜上し,高さ30~50cmになる。葉は多肉質。花は夏に咲き,がくの背には稜がある。種子は黒くて光沢がある。和名は葉の形が丸いアカザの意。」

同図鑑によると,近似のカワラアカザは
「本州,四国,九州,琉球列島,および朝鮮半島,中国,ウスリーの温帯から暖帯に分布。河原の砂の上にはえる1年草。無毛。茎の高さ30~70cm,直立しほとんど分枝しない。葉は長さ5cm位,質は厚い。花は夏,黄緑色。花には柄がなく小苞もない。がくは5深裂,宿存し,果実を包む。胞果には種子が1個入る。和名は河原によくはえるから。」

愛知県ではマルバアカザを「海浜の砂地を特徴づける植物の一つで、愛知県では減少傾向が著しい。」として準絶滅危惧種に選定している。
また,愛知県のレッドデータブックには「茎は直立するか斜上して分枝し、高さ20~60cm になる。葉は互生し、有柄、葉身は長楕円形~広卵形、長さ2.5~6cm、幅1.8~4.5cm、先端は鈍頭~円頭、基部は鈍円形、辺縁は全縁で狭い膜質半透明部があり、やや厚くて裏面に粉状物がある。花期は5~10 月、花は密集して細い穂状につき、花序の下部では枝を出すが、それ以上は分かれない。」とある。

『鈴鹿市の自然』には,マルバアカザは鼓ヶ浦海岸と千代崎海岸での記録がある。カワラアカザの記録は無い。ハマアカザは江島海岸と鼓ヶ浦海岸で1968年に記録されている。


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸