田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

コチャバネセセリ

2010-09-15 | チョウ

セセリチョウ科のコチャバネセセリ Thoressa varia

津市河芸町赤部の里山。ヤブガラシの群生地でコチャバネセセリを見つけた。

『広島県蝶類図鑑』によると,「平地から山地にかけての林縁や疎林などに広く生息するほか,住宅地付近の荒れ地や竹藪周辺でもみられる。とくに林床にササ類が繁るような雑木林では,多くの個体が生息する。成虫は草地の上を敏速に飛翔し,各種の花を訪れるほか,湿地で吸水したり,獣糞などの汚物にも群れをなして集まることがある。」という。幼虫はクマザサなどのササ類を食べる。

2010.9.9

ホツツジ咲く

2010-09-13 | 樹木

ツツジ科ホツツジ属のホツツジ Elliottia paniculata

鈴鹿市の椿渓谷。登山道脇にホツツジが咲いていた。
ホツツジは日本固有種で,めしべが長く,花の外へほぼまっすぐに伸びるのが特徴。落葉低木で,葉は赤茶色に紅葉する。山地の林縁や岩場に生育する。
有毒植物で,花粉にも毒がある。

花に虫たちは寄ってきてなかったが,毒と知ってのことか?
2010.9.11



ススキにタテスジグンバイウンカ

2010-09-12 | 田中川

グンバイウンカ科のタテスジグンバイウンカ Catullia vittata Matsumura

鈴鹿市の椿渓谷。ススキをスィーピングするとタテスジグンバイウンカが入ってきた。昨秋も見ているので,今年も会えるだろうと期待していた。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長(翅端まで)8~9.5㎜。体は大部分淡緑色であるが,死後しばしば黄変する。前翅は半透明で淡緑色を帯びるが,後縁すなわち縫合線に沿う部分は褐色を帯び,その前方に縦走する褐色の2条紋を装う。本州・四国・九州に分布し,秋期ススキの葉上に普通。」などとある。

2010.9.11

コミヤマミズオドリハマキモドキ

2010-09-11 | 

ハマキモドキガ科のコミヤマミズオドリハマキモドキ Brenthia pileae Arita, 1971

津市河芸町久知野地区の里山の谷地,休耕田が続いて,長らく人が通った形跡も無いような所へ踏み込んだ。薄暗い林縁の葉上に小さな蛾を見つけた。

開張10-11mm。幼虫の食餌植物はイラクサ科のコミヤマミズ。前翅先端近くに白点があるのが同定ポイントらしい。成虫の出現月は7-9月。

初めて見る蛾なので捕まえようとしたが,ちょっと目を離した隙に逃げられた。
長たらしい名前だこと。

ヤノトガリハナバチ

2010-09-10 | ハチ目(膜翅目)

ハキリバチ科のヤノトガリハナバチ Coelioxys yanonis Matsumura


津市河芸町久知野地区。道端に咲くコバノセンダングサに訪花したヤノトガリハナバチと出会った。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長♀15㎜位。体は黒色。顔面に短い黄褐色毛を密生。第一背板後縁の黄色鱗毛横帯は中央で消えかかる。体には極めて粗大な点刻を密布。小盾板両端に鉤状突起あり,中央にも小さい突起あり。♂の尾端に3対の歯状突起あり。夏から秋に出現。」

2010.9.8



キスジツマキリヨトウ幼虫では

2010-09-09 | 

ヤガ科のキスジツマキリヨトウ Callopistria japonibia

内部川の上流。イワヒメワラビの葉上に居る蛾の幼虫を見つけた。
「みんなで作る日本産蛾類図鑑」によると,キスジツマキリヨトウの「幼虫はマダラツマキリヨトウに似るが、本種幼虫は腹部第1節に1対の黒紋、7節に黒色横帯がある。」という。また,キスジツマキリヨトウの幼虫の食草はイノモトソウ、タチシノブ、イワヒメワラビという。
このことから,この幼虫はキスジツマキリヨトウの幼虫と思われる。

「幼虫図鑑」の画像掲示板に確認してもらおうと投稿したが,1ヶ月待っても誰も回答してくれなかった。以前にもハマゴウノメイガを詳しく解説して,成虫と幼虫の写真を投稿したが,誰も反応せず,そのまま放置されている。いずれ,消えていくのだろう。

2010.8.8


ムラサキツマキリヨトウ幼虫

ホシホウジャクの吸蜜

2010-09-08 | 

スズメガ科ホウジャク亜科のホシホウジャク Macroglossum pyrrhosticta Butler, 1875

津市河芸町赤部地区のヤブガラシ群落に出かけた。
昼過ぎにホシホウジャクが吸蜜にやってきた。
翅を休めることなく,ホバリングしながら吸蜜していた。
幼虫が食べるヘクソカズラも花を咲かせていたので,この成虫もここで生まれた個体かも知れないと思った。
2010.9.7

ホシホウジャクがブロッコリーに



キオビクモバチ♂

2010-09-07 | ハチ目(膜翅目)

クモバチ科のキオビクモバチ♂ Batozonellus annulatus (Fabricius)

津市の豊津海岸,ヤブガラシに訪花するキオビクモバチ♂を見つけた。♀は度々目撃するが,♂に出会うことは少ない。

かつてはベッコウバチ科のキオビベッコウと呼ばれていた種。科名も和名も変更された。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,キオビクモバチの♂は「黒色で全体に鮮黄色の斑紋を有し,触角は褐色,脚は黒・褐・黄の斑紋を有する。翅は淡黄色で外縁は幅広く黒い。各脚の爪は二又状。」

地中に巣穴を掘るのも,コガネグモ科のクモを狩るのも♀しか見ていない。♂を見るのはヤブガラシとアカメガシワに訪花しているときだけ。♂♀で様相がこれだけ違えば,別種と考えられて居たこともあったというのも肯ける。

2010.9.6





2010.7.2にもヤブガラシ群落で見かけたキオビクモバチ♂
 

キオビクモバチ♀ 2009.6.30

コブドウトリバの産卵か

2010-09-06 | 

いつもの海岸のヤブガラシ群落。
ヤブガラシの蕾の周りに丸い透明なものがいくつもある。これらはコブドウトリバの卵ではないかと思われる。
そして,このコブドウトリバの動きは産卵活動ではなかろうか。
コブドウトリバの腹部背面や翅の斑紋が前に見たものとはどことなく異なる。個体変異あるいは雌雄の差なのかも。
この日は個体数が多かった。
分らないことばかり。
また,観察に出かけよう。
2010.9.4

コブドウトリバ今年も
コブドウトリバ


ヤブガラシの葉。右上の透明な丸いものはコブドウトリバの卵か?

干潟のオオギョウギシバ

2010-09-05 | 草花

イネ科のオオギョウギシバ Cynodon dactylon (L.) Pers. var. nipponicus Ohwi

田中川干潟の砂浜との境にオオギョウギシバが群生している。砂浜から干潟の中へ入ろうとすると,必ずオオギョウギシバを踏み越えていかなければならない。
今日は,白い穂状花序が目に付いたので座り込んで撮影した。

長田武正著『日本イネ科植物図譜』によると,オオギョウギシバは「沿海地にはえ,大きな面積に広がる多年草で,ギョウギシバに比べ、目だって大きく,ほふく枝は太くて,長さ5mまたはそれ以上にもなり,節間は長さ20-30cmになる。稈頂の花序(総)の花軸は長さ5-10cm,小穂は長さ3-3.5mm。西日本の特産。タイプ産地は三重県二見ケ浦。大きさだけで見分けがつくが,ときに中間型があって基本種と結ばれる。」

植物にかなり詳しい人でも,オオギョウギシバを見て,オニシバと勘違いするくらいなので,あまり知られていないのではないかと思う。
芦原海岸には普通のギョウギシバも生えているので,オオギョウギシバと比べてみると面白い。私はギョウギシバをあちこちで見つけると,必ず田中川干潟のオオギョウギシバを思い浮かべる。
三重県をタイプ産地とする植物が近くで見られるなんて,誇らしく思えるし,愛さずにはおられない。

千葉県では準絶滅危惧種に,山口県では絶滅危惧Ⅱ類にそれぞれ選定されている。

2010.9.5





キイロハバチの幼虫か?

2010-09-03 | ハチ目(膜翅目)

鈴鹿川の河川敷にセンニンソウが白い花を咲かせていた。
その白い花やら葉をハバチの幼虫が大勢で食べていた。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると,キンポウゲ科のセンニンソウを寄主植物とするハバチはキイロハバチMonophadnus nigriceps (F. Smith, 1874)だけである。
しかし,寄主植物が知られていないハバチもたくさんあり,キンポウゲ科の別種を食べるハバチもいるので,この白っぽい幼虫がキイロハバチだとは言い切れないが,現時点では可能性が高いと思える。
いつか成虫を見つけたいものだ。
2010.9.2


つる植物のニガカシュウ

2010-09-02 | 草花

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のニガカシュウ Dioscorea bulbifera

四日市市塩浜の鈴鹿川河川敷で,オニドコロの葉に良く似たヤマノイモ科のツル植物を見つけた。
葉柄の基部に縮れたヒレがあり,ツルは紫色を帯び,ムカゴには突起がある。花の様子もオニドコロとは違う。葉は大きな円心形で先は急に尖り,尖った部分が少しよじれるものもある。大きな葉の幅は125ミリもあった。

手持ちの図鑑には載っていない。
ネット検索で,本州(関東地方以西)~沖縄に分布するニガカシュウであることが判明した。花期は8~10月だから,今が旬の植物である。マルバドコロの別名もあるようだ。
『鈴鹿市の自然』を調べると,ちゃんと記録があった。
つる性の多年草だから,また来年も見られることだろう。
2010.9.2




ニガカシュウの突起のあるムカゴ




葉柄の基部に縮れたヒレがある

コブドウトリバ今年も

2010-09-01 | 

昨年初めて出合ったコブドウトリバ。今年も会いたくて,同じ場所を8月から何度も訪れていたが,9月1日にやっと会えた。炎天下の昼前,日差しを避けるようにヤブガラシの葉に止まった。今日見つけたのはこの一個体だけであった。
ヤブガラシの花や蕾を食べる幼虫たちにも会いたいものだが,個体数が少ないので難しいだろうなあ。

なお,ヤブガラシ群落をあちこち訪ねたが,ツリアブたちには出合えなかった。

コブドウトリバ
コブドウトリバの産卵か