
庭のプランタの縁を徘徊するアオオビハエトリを見つけた。
アリを専門に襲うクモで、第1脚を上げたまま獲物のアリを探し回る。たまにはアリ以外のものを食べることもあるようだ。頭胸部の周辺部が青く、ハエトリグモの仲間ではなかなかの美しさである。この個体は青い帯の上に赤い帯がある。クモの先生にお尋ねしたら、色には変異があり、個体差の範囲内とのことであった。
成体は6~9月に見られると図鑑に書いてあるが、3月の今日でも見られた。4~11月と紹介されていることもある。
体長は5~6ミリほどで、雌雄で大した差は無さそう。雌雄で触肢の様子が異なるようだが、私には良く分からない。雄は腹部の帯が不明瞭と図鑑に書いてあった。この個体は明瞭なので雌ではないかと思われる。しかし、雄の色彩や斑紋は変化が多いそうだから、雄のようにも思えてくる。私には断定できない。
ある知人に「あなたは雌雄の区別も判らないまま、いつも生き物の名前ばかりにこだわって紹介している」と言われた。
判るに越したことは無いが、いろんな生き物の雌雄差なんて判らないことばかりだ。特定の生き物を追いかけている人たちはその雌雄差なんて自明のことなんだろうけど、初めて出会う生き物を調べていることの多い私には雌雄の差を調べる前に種名を知りたいと思う。
その知人はきっと「私は生き物の雌雄差や形態や生態やらを人に説明できるように努めている。種名などはどうでもいい。形や機能、行動の不思議さを人に考えさせるように心がけている」と言いたいのだと思う。
実際、自然観察会なんかでたくさんの生き物と出会ったときに、たくさんの種名を教えられてもなかなか覚えていないものだ。形の面白さや行動の不思議さなどは結構覚えているけど。それは分かっているつもりなのだが。
ある観察会で、自然観察指導員が植物の方言名とその植物を利用する人々の関係などを長々と説明を始めた。聞いていた私はその植物の本当の名前は何なのか早く教えて欲しいとイライラしてしまった。その植物ばかりでなく、周りに見える植物のほとんど全ての名前が判らなかった私は、早くそれらの名前が知りたくて仕方が無かった。その人は、観察会の参加者の多くが生き物の名前を早く知りたがっていることを承知の上で説明を続けた。名前を覚えることよりも、生き物の形態や人々との関わりなどを覚えて欲しいのですと力説していた。その日以来、私は自然観察指導員たる人のことが嫌いになってしまった。
私の知人も立派な考え方でお説ごもっともだが、私には「押し売り」に聞こえてしまう。
2009.3.21