iPS細胞(新型万能細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと虚偽発表した森口尚史(ひさし)氏(48)が13日午前(日本時間13日夜)から、米ニューヨークで記者会見し、6件の手術のうち、5件を「ウソ」と認めた。(読売新聞)
新しいものに飛びつくのはマスコミの特徴のひとつだが、それにしても今回のiPS細胞ノーベル賞受賞決定で、大手新聞社のほとんどがこの1人の男に騙されていたようだ。
このうち、読売新聞はこれまで森口氏の話だけを信用し、記事にしていたという。
読売新聞YOMIURI ONLINE によると、同社は2006年2月~12年7月に計6本の記事を掲載、うち5本森口氏が詐称していた「米ハーバード大」の肩書を載せていたという。
森口氏の肩書きも出鱈目、記事も同氏の話を信用して書いたものだという。その後、記者会見して虚偽発表を「ウソ」だと訂正したが、どうもこの方の話は自分の“作り話”がほとんどだったようで、困った人にかき回された。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121013-OYT1T01325.htm?from=popin 《YOMIURI ONLINE》
この記事を見る限り、各社が誤報をしていたということになるが、なぜこのようになったのか、経緯をしっかり検証し、明らかにしていただかないと困る。
過去にもテレビの“やらせ”や“誤報”が社会問題となり、信用に関わるということで番組は終了し、以降その番組枠は浮上し難い時間帯になったことがある。また、特に報道番組では数年信用をなくしたが、これと同様な事件と同じことだ。
ひとつの原因として挙げられるのが、速報性を競いすぎるところにある。
私達が望むのは、確かに速報性は必要だと思うが、何でもかんでも“特ダネ”とか“スクープ”とか言い過ぎるところに原因がある。早いだけが課題ではない。マスコミにはきちんと“検証”“裏どり”をしたあと、わかりやすく記事にし、それらを提供してほしいものだ。
私には、今回の事件でまたマスコミの信頼性が揺らいだ。マスコミが今後、これまでのような体質で過当競争を続ける限り、同様の事件が起きるだろう。
読者や視聴者を大切にする、ためになる記事や番組は重要なのだが、信用できる記事が大前提であることを忘れることのないよう再度確認するような態勢に立て直し、新聞を発行して欲しい。