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実用新案法 27条 (18.5.19)

2006-05-19 06:37:06 | Weblog
実用新案法

(差止請求権)
第27条

 本条は、実用新案権又は専用実施権の侵害に基づく差止請求権について規定しています。
 差止請求とは、狭義には、1項の侵害の停止又は予防を請求することをいいます。
 2項は、差止請求をする際の付帯請求権を規定しています。

第1項

 1項は、狭義の差止請求権を規定しています。

 実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(侵害者等)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます。

 侵害の停止の請求とは、現在進行中の侵害行為をやめさせる請求を意味します。この請求が認められるためには、事実審の口頭弁論終結時において侵害行為が継続していることが必要とされます。したがって、差止請求訴訟が提起された後、事実審の口頭弁論終結時までに侵害行為を停止した場合には、もはや侵害の停止の請求は認められません。
 しかし、侵害行為を停止したとしても、それが見かけ上のものである場合には、侵害行為を再開するおそれがあります。この場合は、侵害の予防を請求することができます。
 すなわち、侵害の予防の請求とは、現在は侵害行為をしていないけれども、将来において侵害行為をする可能性がある場合において、将来において侵害行為をしないことを請求するものです。

第2項

 2項は、付帯請求権を規定しています。

 2項の請求は、1項の請求をするに際してするものですので、1項の請求をしない場合には、2項の請求はすることができません。

 付帯請求権には、廃棄請求権、除却請求権、その他の侵害予防行為請求権があります。

 廃棄請求権は、侵害の行為を組成した物の廃棄を請求するものです。侵害の行為を組成した物には、間接侵害品(28条)であるプログラム等も含まれます。プログラム等は、無体物であって、実用新案法上の物品には該当しません。したがって、プログラム等を提供等する行為は、実用新案権の直接侵害となることはありません。しかし、プログラム等が登録実用新案に係る物品の製造に用いる物に該当する場合はあります。この場合は、プログラム等を提供等する行為が間接侵害となることがあります。
 廃棄とは、その物を破壊等することによって使用できなくすることを意味します。

 除却請求権とは、侵害の行為に供した設備の除却を請求するものです。廃棄とは異なり、破壊することまで請求することはできません。その設備をその場所から別の場所に移動させることによりその場所では使用できなくすることを請求するものです。

 その他の侵害予防行為請求権とは、例えば、侵害行為をしないことの保証として担保を提供することが含まれます。
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