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PCTの国際出願制度の概要(初心者用) 18.7.2

2006-07-02 11:25:42 | Weblog
PCTの国際出願制度の概要(初心者用)

★国際出願制度の趣旨
 自国において特許を取得する場合には、自国の国内官庁に特許出願をすれば足ります。
 しかし、外国において特許を取得する場合には、PCTが締結される前においては、各国ごとに定められた手続に従って特許出願をすることが必要でした。そのため、外国で特許を取得するための手続が複雑で手間の要するものでした。
 そこで、出願人の手続的な負担を軽減するため、PCTを締結し、国際出願制度を創設しました。
 国際出願制度は、所定の受理官庁に所定の言語で国際出願をすることにより、各指定国に同時に出願したのと同等の効果(出願日のみなし効果)を認めることにより、出願人の手続的な負担の軽減を図るものです。

★国際出願の出願人適格
 PCT締約国の居住者及び国民が、国際出願をすることができます(9条)。

★国際出願のあて先
 国際出願は、管轄受理官庁又は国際事務局にします(10条)。
 つまり、国際出願は1箇所にすればよいわけです。

★国際出願の言語
 国際出願の言語は、管轄受理官庁が認める言語で行います(3条(4))。
 わが国では、日本語と英語による国際出願を認めています。

★国際出願日の認定要件
 PCTにおいては、国際出願日が各指定国における実際の出願日とみなされますので(11条(3))、国際出願日が認められるために必要な要件が明記されています(11条(1))。

★国際出願の点検
 管轄受理官庁は、国際出願の方式的要件について点検します。その結果、不備のある場合は、出願人に補充をすることを求めます(14条)。

★国際調査
 国際出願は、管轄国際機関による国際調査の対象となります(15条(1))。
 国際調査は、先行技術の発見を目的として行われます(15条(2))
 国際調査機関は、国際調査の結果としての国際調査報告を作成します(18条)。
 国際調査機関は、発明の新規性や進歩性について書面による見解も作成します(規則43の2)。

★PCT19条補正
 国際調査報告を受け取った出願人は、請求の範囲について1回だけ国際段階の補正をすることができます(19条(1))。
 補正書は国際事務局に提出します(19条(1))。

★国際予備審査
 国際出願の出願人であって、国際予備審査の請求人適格を有する者は、必要に応じて管轄国際予備審査機関に国際予備審査を請求することができます(31条)。
 国際予備審査においては、発明の新規性や進歩性について判断します(33条)。
 国際予備審査機関は、国際予備審査の結果として、国際予備審査報告を作成します(35条)。
 国際予備審査報告は、国際事務局によって各選択国に送達されます(36条)。
 国際予備審査報告の送達を受けた選択国においては、国際予備審査報告を利用して国内の審査を行うことができます。

★国内移行手続
 国際出願をしただけでは、各指定国において特許を取得することはできません。各指定国において特許を取得するためには、さらに国内移行手続を各指定国ごとにしなければなりません(22条)。
 国内移行手続は、原則として、優先日から30月を経過するまでにしなければなりません。
 国内移行手続をしなかった指定国については、指定国における国内出願の取下げと同一の効果をもって消滅することになります(24条)。