麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

じゃりじゃりの写真機

2013年03月11日 | 身辺雑記


工事現場です。
写っていませんが、この写メを撮る前、
現場監督が工事の進捗をパチパチしてました。

いや、その姿をみてパチりとしたってのが
順序としては正しいのだ。

米どころ出身の人が、田植えを見て
懐かしさを憶えるように、
重機の音や工業用油の匂いから
僕はある種の郷愁をそそられる。

父は土木建築業をなりわいとしていて
幼い頃、数えるほどだが、
仕事場について行ったことがある。

そして、そんな現場で、
学校の教室にある黒板に比べ
随分と小ぶりなやつや、
僕の竹製の30cm物差のおばけみたいなのを
地面の穴っぽこの横や、
解体した建物をバックに立てて
父は写真を撮っていた。

当時カメラは高級品だったが、
それは埃や砂にまみれていて、
ところどころ凹んでさえいた。

そしてそのカメラは、自家用車の
ダッシュボードや後部座席に
無造作に置かれていた。

そおっと手にして、
絞りやシャッターをいじると
ジャリジャリと引っ掛かるように動く。
その感触がまた、僕と父とを繋ぐ記憶。

高度経済成長期。
父は朝早く家を出るし、
僕の起きている時間に帰ることは少なく、
それどころか月に何度も徹夜があって、
ただそれが当たり前だと思っていたから
淋しくもなく、友人宅に遊びに行った時
夕刻にネクタイ姿のお父さんが
「ただいま」と子供部屋に顔を出すのに
違和感を覚えたほどだ。

父は健在で、まだ現役で働いている。
でも。そんなことを、ふと思った。
今日は3.11。

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