
◼️「荒野の七人/The Magnificent Seven」(1960年・アメリカ)
監督=ジョン・スタージェス
主演=ユル・ブリンナー スティーブ・マックイーン ジェームズ・コバーン イーライ・ウォラック
初めて観たのは中学生の頃。家にこれまでより少し画面の大きなテレビがやって来た日だった。と言っても、今の50型ワイドの大画面とは違う。その半分くらいのサイズのブラウン管テレビだ。でも画面大きいなと感じるのは最初の数分だけ。すぐに慣れてしまって大きさの恩恵などどこへやら。それでも軽快なエルマー・バーンステインの主題曲が流れるオープニングはしっかりと記憶に焼きついた。
黒澤明の「七人の侍」を西部劇に翻案した作品であることは、いまさら申し上げることではない。ただドンパチを楽しく観ていた中坊の頃とは違って、そうした知識も主演俳優の他の作品も知っているし、自分自身も年齢を重ねているから、今観ると響くところが違う。
「戦わないお父さんたちは卑怯者だ」
と言う子供にチャールズ・ブロンソンが、お父さんは立派だと諭す場面。
「俺にはロバと畑に向き合って家族を守る勇気なんてない。親父さんは立派な人だ」
すごい人だと慕う村人たちに、ユル・ブリンナーが言い放つひと言。
「俺は銃の撃ち方を知っているだけだ」
アウトローの生き様がちょっとした台詞でじーんとしみる。そんな寂しさを引きずった後で、あのラストの台詞。
「勝ったのは農民だ。俺たちはいつも敗北者だ」
オリジナルあってのことではあるけれど、いい台詞がいっぱい。大人になるといっそう胸に響く気がする。名言集のような映画。
先日、職場の頼れる大先輩にいろいろ指南してもらっている時に、その方がボソッと言った。
「この業務を長くやってたというだけですから」
謙虚なひと言だけど、かっけー…🥹
経験値が吐かせるそのひと言に「荒野の七人」のユル・ブリンナーが重なった私(どんな脳内変換をしているのだろうかw)。
七人全員がヒーローじゃなくて、それぞれに弱さも抱えているキャラクターづくりが効いている。村人たちが何が最善かで迷う様子も印象的だ。正義って曖昧なもので、それぞれの正義があることを大人になるにつれて僕らは実感してきたからかもな。クラシック映画に触れると、大切なことを学びなおしているような気持ちになる。