羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

解けない謎

2014年08月20日 | Weblog
「冷たい炎の画家」ヴァロットン展へ行ってきた。
三菱一号館美術館。 

                             
  

この絵は「ボール」という。ボールは前方にもあるし後方にもある。
追いかけているようでもあり、追われているようでもある。
緑陰が濃く、こどもが遊んでいる絵という単純な印象ではない。
遠くに女性が二人いて妊婦なのか?という想像もさせる。

ヴァロットンという画家はまったく知らなかった。
この美術館で「バルテュス最後の写真展」を開催しているので、
事前に調べたところバルテュスは資料室で開催中、展覧会はこの画家だった。

パンフレットには「パリで31万人が熱狂。知られざる画家、日本発の回顧展」とある。
「解けない謎のように重層的な作品群」ともあった。
まさにその通りで、どれも見ごたえのある作品ばかり。
そしてすべてが不思議な問いかけを含んでいてどこかにメッセージがあるのでは、と見入ってしまう。
不穏なムードが漂い、どうにも落ち着かない不安感がこうして絵や版画になると、
奥深い魅力を放つ。

好みの作品をもしも一点だけあげるなら、この版画。
「怠惰」

白猫と触れ合ってる指先がやさしく、
どういう状況でこの場面なのかは、観る者の想像に委ねられている。

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