羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

やおやがない

2009年05月27日 | Weblog
自転車で走るには絶好の気持ちのよい季節となった。

郵便局へ寄ってから、バイト先の古本屋へ行く道。
ふと、「そうだ、あそこのパン屋さんに寄って行こう!」と思い、
久しぶりに真っ直ぐ走っていった。
ここのパンは美味しい。
雑誌にも紹介されて、小さな店だけれどいつもお客さんがいる。
新しいパンもよく登場するし、高くない(これが大事)。

はじめてみたパンを買い、さらに真っ直ぐ行ったら、
いつものところにあの八百屋さんがない、
ぽっかりと消えて、更地になっていた。
「やおやがない」と思わず声にだしていた。
それくらいビックリした。
それこそ小さな店だったが、昔からあって、新鮮で格安で、
気のいい夫婦が客と会話しながら、賑やかに営業していて、
いつでも込んでいた。
店頭のカゴ盛りのみかんを自転車を止めて眺めていると、
「甘いよ、ほれ」とおじちゃんが皮をむいて試食させてくれた。
買うときは「おまけだァ」と言っていつもすこし増やしてくれた。

どうして消えてしまったんだろう。
いつ消えたんだろう。
しばらく行かないと消えちゃうんだな、そういう事って前にもあったから。

仕事が終わった帰り、もう一度その道を通った。
そうそう猫に会える八百屋さんだったのだ。
近所の野良猫がいつもウロウロしていた。
夕方、猫たちは元気にゆったりと歩いていた。合計、三匹。
よく見たら、近くにカリカリの入った餌入れが二つあった。

なんだかすこし安心した。
そしてふと店の中に並んでいたおばちゃんの手作りのお惣菜を
思い出した。
煮物や炒め物が、無造作に並べてあって、
それは彩りとか関係なくしっかりとした味付けで、
そして必ず季節の旬の素材が入っていたと思う。


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2 コメント

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・・・・ない! (Shizucats)
2009-05-28 10:36:39
確かに、ちょっと行かないでいると、こんな経験よくありますね。
<60歳のラブレター>画一的の指摘当たっています。「現実はこうはいかないよなー。」といゆう感想ですが、感動する自分がいて、ちょっとすくわれます。
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そうですよね。 (すみれこ)
2009-05-29 00:21:38
きっとわたしも観れば案外、「いいなァ」と
思ったりするのかも。
現実的であることが最良ではないし、
非現実だからこその映画の良さってありますよね。
こころ動かされるじぶんにホッとする気持ち、
すごくわかります(^。^)
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