海炭市叙景」という映画を観てみたい、と思ったのはその詩的な
タイトルにひかれたからだと思う。
海炭市、はもちろん架空の地名。だが実際には函館の人々の熱意によって
函館の街で撮影された。
作者、佐藤泰志の故郷でもある。わたしはこの作家を知らなかった。
村上春樹と同年に生まれ、芥川賞の候補にも何度かなったが、
41歳の若さで自死。亡くなったのは国分寺だったという。
村上春樹が経営していたジャズ喫茶も国分寺。
生死、というのはきっとほんの僅かな境界線なのだと思う。
同時代に同じ場所で生きていた才能ある二人をわける些細な、けれど
とてつもなく深い境界線。曖昧なのにふとしたはずみで足をとられてしまう。
映画は海沿いの寂れた街で営まれる五つのエピソードによって構成されている。
雪が降り積もっている。季節はクリスマスの頃から年明けだけれど、
華やかさはひとかけらもない。
さびしく悲しい、人々の生活はふと思い返すと身近な出来事だったりする。
猫と暮らす老婆の話が印象的だった。
いなくなった猫を呼ぶときの切実な声が耳に残る。
存在感のある役者さんだと思っていたら、監督が路地裏で自らスカウトした
函館の市民だそうだ。
きっとこの映画は、函館からやってくる熱意によって、
暗いだけではない輝きを得ている、そこに魅力があるのかもしれない。
猫と老婆の話もほのかに明るい光がさして、映画の結末となる。
帰りに佐藤さんの原作を買った。
題一章 「物語の始まった崖」・・・・1『まだ若い廃墟』。
ほんとうに詩編を連想させる目次が並んでいる。
タイトルにひかれたからだと思う。
海炭市、はもちろん架空の地名。だが実際には函館の人々の熱意によって
函館の街で撮影された。
作者、佐藤泰志の故郷でもある。わたしはこの作家を知らなかった。
村上春樹と同年に生まれ、芥川賞の候補にも何度かなったが、
41歳の若さで自死。亡くなったのは国分寺だったという。
村上春樹が経営していたジャズ喫茶も国分寺。
生死、というのはきっとほんの僅かな境界線なのだと思う。
同時代に同じ場所で生きていた才能ある二人をわける些細な、けれど
とてつもなく深い境界線。曖昧なのにふとしたはずみで足をとられてしまう。
映画は海沿いの寂れた街で営まれる五つのエピソードによって構成されている。
雪が降り積もっている。季節はクリスマスの頃から年明けだけれど、
華やかさはひとかけらもない。
さびしく悲しい、人々の生活はふと思い返すと身近な出来事だったりする。
猫と暮らす老婆の話が印象的だった。
いなくなった猫を呼ぶときの切実な声が耳に残る。
存在感のある役者さんだと思っていたら、監督が路地裏で自らスカウトした
函館の市民だそうだ。
きっとこの映画は、函館からやってくる熱意によって、
暗いだけではない輝きを得ている、そこに魅力があるのかもしれない。
猫と老婆の話もほのかに明るい光がさして、映画の結末となる。
帰りに佐藤さんの原作を買った。
題一章 「物語の始まった崖」・・・・1『まだ若い廃墟』。
ほんとうに詩編を連想させる目次が並んでいる。