羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

聖家族

2009年04月27日 | Weblog
「サグラダ・フアミリア」(聖家族)という中山可穂さんの文庫を、
古本屋で買ってそのまま置いておいたのを思い出して読み、
あっという間に読んでしまった。
あっという間に読める本というのはたしかにある。
だからつまらないかといえばそうでもないけれど、
やはり「白い薔薇の淵まで」の印象のほうが強烈だった。

娘からメールがきて、
「ともだちが授業に使うんだけど、うちに聖書ある?」という。
「あると思うよ」と返信して、
亡き父の書棚をざっと見てから、息子の書棚を見て見つけた。
息子はキリスト系の学校だったから。

父の聖書もどこかで見たような気がしたのだけれど、
と思いながらもう一度棚を見て、
これは?と取り出したのは黒い表紙の手帳だった。

懐かしい父の字を久しぶりに見た。

「真理は寒梅の如し 敢えて風雪に耐えて咲く」

と書いてあるようだが、「耐えて」という字がハッキリとは読めない。
違うかもしれない。
聞きたいけれど、もちろん、もう父はいない。
もっといろんな話をしたかった。