翌日はさいわいなことに休みでしかも雨だった。
なんとやさしい雨だろう。
静かにしていればいいよと、ささやきながら降り続く。
もっと幸いなことに、家族はみな外出していた。
昨夜も誰もいなかったから、ほんとうに助かった。
ひとりで、呆然としていることができた。
朝、目が覚めて、昨日のことが事実なのだと確かめずにはいられない。
くずかごが涙をふいたり鼻をかんだりしたテイッシュの山だ。
ふと思い出す。
着替えようと服を脱ぐたびに涙があふれた。
仕事から帰ってきたとき。
もう寝ようとパジャマに着替えようとしたとき。
よろいを脱ぐように何かから解放されて気がゆるみ、
涙があふれる。
わたしはベッドの端に座って、キャミソールのまま泣いていた。
薬をのむために、食事をとらなければならない。
昨夜はカボチャのポタージュを温めた。
今日は昼ちかくなってから卵を割って、
フレンチトーストを作った。
いつまでも泣いているわけにもいかない。
これからどうすればいいのか考えた。
考えて、考えにとりあえずたどりついて一時しのぎの安堵を得た。
小雨のなか、自転車を走らせた。
「平静を装う」ってどういうことだろう。
すごくやっかいなことなんだろうか。
これから立ち向かわなければいけないことは、際限なくあるのだろうか。
朝、鏡を見たら泣きはらしたひどい顔をしていた。
でも夕方にはいつものように夕食をつくり、
「お帰り」と家族に言っている。
誰にも何も気づかれない。
一緒に食卓を囲み、娘がつけたテレビをみる。
笑っているじぶんを「笑ってる」ともうひとりの自分が見ていた。
なんとやさしい雨だろう。
静かにしていればいいよと、ささやきながら降り続く。
もっと幸いなことに、家族はみな外出していた。
昨夜も誰もいなかったから、ほんとうに助かった。
ひとりで、呆然としていることができた。
朝、目が覚めて、昨日のことが事実なのだと確かめずにはいられない。
くずかごが涙をふいたり鼻をかんだりしたテイッシュの山だ。
ふと思い出す。
着替えようと服を脱ぐたびに涙があふれた。
仕事から帰ってきたとき。
もう寝ようとパジャマに着替えようとしたとき。
よろいを脱ぐように何かから解放されて気がゆるみ、
涙があふれる。
わたしはベッドの端に座って、キャミソールのまま泣いていた。
薬をのむために、食事をとらなければならない。
昨夜はカボチャのポタージュを温めた。
今日は昼ちかくなってから卵を割って、
フレンチトーストを作った。
いつまでも泣いているわけにもいかない。
これからどうすればいいのか考えた。
考えて、考えにとりあえずたどりついて一時しのぎの安堵を得た。
小雨のなか、自転車を走らせた。
「平静を装う」ってどういうことだろう。
すごくやっかいなことなんだろうか。
これから立ち向かわなければいけないことは、際限なくあるのだろうか。
朝、鏡を見たら泣きはらしたひどい顔をしていた。
でも夕方にはいつものように夕食をつくり、
「お帰り」と家族に言っている。
誰にも何も気づかれない。
一緒に食卓を囲み、娘がつけたテレビをみる。
笑っているじぶんを「笑ってる」ともうひとりの自分が見ていた。