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まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

栗の天ぷら

2014-10-07 | 暮らし

わたしが40歳の誕生日を迎えたとき、二人の娘から口紅をプレゼントされ「40も過ぎると女も終わるけど、いつまでも美しいおかあさんでいてください。」というようなことをちくりと言われた。小百合な母に気付きもせず、残酷な娘たちではある。

子どもからみるとそう思うのも無理はない。わたし自身、40歳になれば分別備わり、条理をわきまえ、50歳ともなると卒然と人生観が変わり、悟りを開くかのごとく大人の女になると思っていた。しかし、時間や歳月は、勝手に通り抜け私自身は何一つ変わっていない気がする。変ったとしたら重ねた年月ではなく。自分の病気や旦那の病気に直面した時だ。

それでも、抗がん剤治療の時に髪が抜け仏門に入った気がしたが、抜け残った髪が落ち武者っぽく見えて、仏門は断念した。すぐに小百合ウイッグを注文し、俗世間の目をくらまそうとした。元気になるほどに、悟ったはずのいろいろなことが霧のように消えていく。

旦那に対しても、何もしなくても、茶の間でTVを観ているだけでいいと思っていたのに、少しずつ歩けるようになると「お茶あるけ?」とか言われて「お茶は歩かない。」と、言ってしまう。

なかなか歳相応の人格は備わらないものだ。いつまでも、変らない射癖が治らないのと同様。自覚し、行く方向を考えなくては、そうそう人格は変わらない。

栗の天ぷらを作った。小麦粉をうっすらまぶして油で揚げる。なかなか香ばしくておいしい。大量の栗を、栗ご飯にしたり、きんとんにしたり、いろいろ手を替えて食す。栗は栗、どんな調理をしても栗の味は変わらない。栗が翌日に納豆とかになったというのは怖い。そして、当たり前のことだが、本質が変わらない自分を受け入れるしかない。旦那の日々も、長い目で看なくては、わたしが焦ってはいけない。