実家の母が間違えて110番通報をしたそうだ。警察の人に「泥棒ですか?」と、尋ねられ、間違ったことに気づいた。
実は、父の兄が遊びに来ていて、熱中症で倒れたらしい。慌てて救急車を呼ぶところ、110してしまった。父の兄、すなわちわたしの叔父は、91歳で車を運転し、かくしゃくとしている。実家は、畑に囲まれた山なので、野菜を取りにきたり、よもやま話をしに来るのだが、この日は暑かった。車に乗って帰ろうとして、ふらふらっと倒れたらしい。
母は「父ちゃんが屋根から落ちたときは、119番できたのに、あれから年をとったし、間違えたわ」という。救急車に乗せられた叔父が、「誰が電話したんや。救急車なんか、かさだかな」と、やや怒り気味に言うと、救急隊員に「どうして、これに乗ったか覚えてますか?」と、問われて「しらん・・」
叔父は、息子も娘も大阪で所帯を持っている。叔母は入院しているので、一人暮らしだ。しかし、ごはんを焚いて、自分の用をしているのですごい。すごいが、やはり91歳だ。
何かと、弟であるわたしの父に頼ってくる。病院で検査した後、肺のくもりが気にかかるので、また後日検査に来るように言われた。
後日、検査に後見人としてついていった父は、自分は膝が悪いので杖が必要なのに、兄は健脚で、すたすた歩くので、どちらが付き添いかわからん・・と、ぼやいていた。
わたしは、父が人のために動けることを喜びながら、複雑な気持ちだ。