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エスカレートする「日本破綻論」が示唆すること④

2013-02-25 00:04:42 | 日本

(前回からの続き)

 というわけで、「日本破綻論」は(真に意図しているかどうかは別にしても)結果としてはジャパンマネーによる「アメリカ支援論」としての面を持つのではないか、という個人的な解釈を綴ってみました。

 まあこれもかなり憶測に基づく見方で、同破綻論は「基軸通貨ドルならば大丈夫!」と本心から主張しているのかもしれませんが、どちらにせよ、日本(政府・日銀ばかりでなく企業や個人をも含むジャパンマネー)が巨額のドル(米国債)を買い支えている現状はアメリカにとってはたいへんありがたいことにはちがいないでしょう。

 それにしても、本稿の冒頭に記したとおり、やはり心配になってしまうのがアメリカの今後です。

 ご存知のように、アメリカは世界最大の経常赤字国。外国からお金を継続的に借り入れないと国家の運営ができなくなっています。そして現時点で最大の借金相手国があの中国。あくまで中国は自国益(輸出振興のための人民元の対ドルレート低め誘導等)のためにドルを買っているわけで、別にアメリカのためを思っているわけではないでしょう。当面は大丈夫とは思いますが、はたしてそんな思惑の中国がいつまで米国債を持ち続けてくれるのか・・・。

 これに加えてアメリカは最近、金融緩和策の名の下にFRBの実質的な「財政ファイナンス」に頼っているありさまです。膨張を続けるFRBのバランスシートがそれを物語っています。もはや外国のマネーだけでは財政の穴を埋めきれず、FRBの「麻薬」つまり通貨増刷にも依存せざるを得なくなっている感じ・・・。これによってアメリカ経済はしばらくは好影響(金利低下・資産バブル再膨張等)を享受しそうですが、やがてはインフレ(ドルの価値下落)と金利の高騰という強烈なしっぺ返しを食らうだろうとみています。

 それらにひきかえ、ジャパンマネーの何と律儀なことか・・・。

 以前「『財政の崖』回避でアメリカを支える日本 」にも書いたように、日本は米国債を着実に買い増している(アメリカへの貸付金額を継続して増やしている)とともに、その多くを満期まで保有し、さらに新しい米国債に再投資してくれます。その米国債の資産としての価値低下やインフレにつながりかねないFRBの量的緩和策を一切批判することもなく、それどころかドル安(円高)を自分たち自身(日本)のせいにして日銀を吊るし上げたりしてくれます(涙)

 アメリカがそんな日本の資金を当てにしたい気持ちは痛いほどよく分かります。そして日本破綻論者の、公的資金に加えて企業や家計の円資産をも投入してアメリカをさらに強固に支えてあげたいという思いも・・・。なぜなら「そうし続けることでアメリカは日本を守ってくれる」はずだからなのですが・・・。

 じつをいえば、私の本当の心配はここからです。そんな献身的なアメリカ支援に見合う安全保障の「傘」をアメリカは日本に今後も提供していけるのかどうか疑わしいのではないか、ということ。

 上記のような厳しさを増す財政状態に反映されているとおり、アメリカおよびアメリカの納税者は巨大な軍事力を世界に展開する力を失いつつあるように思えてならないのです。アメリカ社会で厭戦気分が広がっているといわれるのは、絶望的なまでの貧富の格差や失業率の高止まりなどの苦境を目の前にして、アメリカ市民が「もはやわれわれには世界の警察官でいられる余裕はない」ということを感じ取っているからではないでしょうか。

 そうしたなか、アメリカが引き続き強い国(日本を守ってくれる国)であるためには、アメリカは、日本を含む外国の資金にもFRBのマネタイゼーションにも過剰に頼ることなく、本ブログ記事「さとり(差取り)に向かう世界」の「アメリカ編その1その2」に書いたような格差是正策や財政健全化などの経済・社会の抜本的な再構築を進めるほかはないと考えているのですが、これは現実的には限りなくミッション・インポシブル・・・。

 だからこそ「日本破綻論」はますます熱くなっていく。「ドルを買え!」つまりわれらが守護神アメリカをジャパンマネー総動員体制で支えていくしかないだろ!というわけです。見方を変えればその過激さは「『アメリカ後』の日本の国家安保・外交戦略を真剣に考えよ」という警告に感じられるのですが、飛躍のし過ぎでしょうか・・・。

(「エスカレートする『日本破綻論』が示唆すること」おわり)


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