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「財政の崖」回避でアメリカを支える日本④

2012-11-11 00:03:05 | 世界共通

(前回からの続き)

 一方、保有額が世界一になるくらいに日本(政府)が米国債を買い増すことの最大の懸念事項は、これまで何度か記してきたように、やはりドル・米国債が円に対して減価することで巨額の為替差損が発生するリスクがあることでしょう。

 本稿前段で示したように、2008年1月から現在までの5年間だけですでにドルは円に対して約27%も下落してしまいました。まあ今後ドル高円安になれば為替リスクは縮小していきますが、その逆にさらにドル安円高が進む可能性のほうがずっと高いものと思われます。

 9月に開始された量的緩和策第3弾(QE3)で米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、住宅ローン担保証券を買い入れて毎月400億ドルもの巨額のドルを金融市場に供給しています。このためドルのマネタリーベースが一層拡大し、ドルは円などの他の通貨に対して安くなる地合いにあります。

 さらにFRBの大量購入によりこれらの債券や米国債などの各種のドル資産の利回りも低下しています。現時点のアメリカの長期金利は1.60%(11/9時点)と歴史的な低金利となっています。FRBはこの低金利政策を2015年半ばまで維持するとしています。

 こうした通貨価値の希薄化と低い利回りにより、資産としてドルや米国債の魅力はますます乏しくなるものと予想されます。

 たしかに、ドルは(曲がりなりにも)基軸通貨として機能していること、そしてドルの立場を脅かすとみられていたユーロが基軸通貨としての信認を得られていないこと、などから、ドルは決済用通貨などとして今後も当面は世界中で使われていくものと思われます。そういった意味で、輸出主導型の経済体制となっている中国も、これまでほどではないにしても相当量のドル資産保有を継続するでしょう。

 しかし資産運用の観点からすれば、上記のような情勢のもとでドルへの投資妙味は薄れていくばかりか、わが国のように通貨節度が相対的に保たれている国にとってはドルを持つことでかえって為替差損を被る一方でしょう。そしてその損失はやがては国家財政を圧迫して最終的には国民負担となっていくことでしょう・・・。

 先日書いたように、いくら安全保障の観点から仕方がない面があるとはいえ、為替リスクを度外視して(?)日本政府がこれほどまでにドル・米国債を買い増すのはいかがなものかと感じるのは私だけではないはずです。「財政の崖」回避で大量の米国債が吐き出されようとしているなか、政治家を含むもっと多くの国民がドルに偏重した外貨準備の持つリスクに敏感になるべきと思います。

(続く)

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