(前回からの続き)
ということで、金価格から見た各通貨(各中央銀行の金融節度)の通信簿の「成績」を見てきましたが、あらためて現時点で評価の高い順に並べると、
円、スイスフラン、中国人民元、豪ドル、ドル、ユーロ、韓国ウォン、ポンド
という結果になりました。これまで何度か紹介しているサブプライム問題後(2007年夏~)のリスクオフの不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」にほぼ一致する序列となっていることが分かります。
ところで大事なのは、上記通信簿の「成績」が今後どのようになっていくか、ということ。これまでの成績がどんなに良くても、これからの金融政策次第ではいくらでも成績の上下があり得ます。
このあたりについては、こちら(「リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係」① ② ③ ④ ⑤)に書いたような理由から、今後、円を含むすべての通貨の金価格に対する価値が低下していく(すべての通貨建ての金価格が上昇していく)と予想しています。つまりどの中央銀行の「成績」も今より下がるだろうということです。
とくに金価格に対する下落幅が大きくなりそうな通貨が、近い将来、大々的な量的緩和が想定されるドルやユーロあたりではないでしょうか。したがってFRBやECBの「成績」は顕著に下がるリスクがあるものとみています。
一方、通貨価値の金に対する減価率が最も小幅に止まるのは、「金>円>ドル>ユーロ」のリスクオフモードがますます強まりそうなことから、引き続き「円」となるでしょう。その次はスイスフランあたりでしょうか(SNBがフラン売りユーロ買い為替介入を断念すれば円以上に価値を保つ通貨となるかも)。
そういった意味では、金価格で測った中央銀行の通信簿においていちばん成績が良いのは、いままでもこれからも「日銀(円)」ということになるのでしょう。もっとも日本政府・日銀ともに、減価を続ける外貨にお付き合いするかたちで金融緩和(円の増刷)を継続しそうだから、円建て金価格は上昇していく可能性が高そうだと思っているのですが、はたして・・・?
(「金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス」おわり)