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金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス③

2012-08-21 00:04:45 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 前回、金価格をベースに、この5年間の各通貨の変動推移を概観してきました。ではこれに基づいて「通信簿」風に各通貨(および各中央銀行の金融管理の節度)に評価を与えてみましょう。

 当然ながら成績の良し悪しは各通貨の金価格に対する減価率の大小で測られます。減価率が小さければ、それだけその通貨は購買力や価値の保全力が高いことを意味します。そして当該通貨を発行する国の政府および中央銀行の金融節度も高く保たれている(物価や金融システムが相対的に安定している)ことを示しているといえるでしょう。

 第1位は何といっても「(日銀)で決まりですね。2007年7月以来の金価格に対する減価率は、他の通貨が50%に近いかそれ以上となっているのに対し、円だけは約36%の減価に留まっています(円建て金価格の上昇率は最も低い約56%)。

 さらに、上記グラフを見ると、この5年間で金価格に対する減価率が2008年のリーマンショック直後の一時期を除いて一度も他国の通貨を上回ったことがありません。ドルやユーロに対しては当然として、最も安全とされるスイスフランと比べても対金価格の減価率は小さくなっています。つまりこの間、円は他国の通貨に対して一貫して円高傾向をたどってきていることを示しています(まあこのあたりは円高悪者論者が以前より問題としているところですが、ここではあくまで金価格に対する各通貨[各中央銀行]の「通信簿」の成績を見ているので、円高の功罪に関する論考は本稿では行わないことにします)。

 円に続く第2位は「スイスフラン(SNB)でしょう。同減価率は約47%(スイスフラン建て金価格上昇率は約90%)と、わが国には及びませんが、ドルやユーロ建て価格の減価率を大きく下回っています。もしSNBがユーロ買いフラン売り為替介入を行っていなければこの数値はおそらくもっと小さいものになっていたでしょう。さすがは金融立国スイスといったところでしょうか。長年にわたる金融業の信頼やノウハウ等の蓄積に立脚した適切な通貨管理がいまも世界中から信認されている様子が窺われます。

 円、そしてスイスフラン以下の序列は、中国人民元、豪ドル、米ドル、ユ-ロなどとなっています。

 中国人民元がこの位置にあることが注目されます。最近はドルやユーロよりも人民元が金を買いやすいポジションに上昇してきているということでしょうか。中国は、米ドル(米国債)に偏った外貨準備の多様化を進めているほか、歴史的に見て市民の金に対する選好度が高いこともあり、今後もこうした有利な環境を活かして金購入量を増やしていくものと推測しています。

 昨年後半あたりから世界的な金融不安の最大の焦点が欧州に移っていることから、金価格に対するドルとユーロの減価率を比較すると、最近はドルよりもユーロのほうが大きくなっていることが分かります。ギリシャやスペインなどの救済策をめぐるゴタゴタ振りを見ていると、今後もユーロがドルや円に対して下落していく可能性が高いでしょう。したがって当然ながら金価格に対するユーロの下落率はドルや円よりも相対的に大きくなると思われます。

 それにしても何ともなさけないのは英ポンドですね。金価格に対する下落幅は、円やスイスフランはともかく、ドルや動揺するユーロを上回り、通貨安政策を取る韓国ウォン並みの大きさです。先日も書きましたが、これほどに価値保全を果たせない通貨を発行する国の国債(英国債)がどうして最高格のAAAなのか、本当に不思議です。

(続く)

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