(前回からの続き)
今月13日に開始が発表されたQE3に話を戻します。
報道等によれば今回のQE3の骨子は次のようなものです。
・ゼロ金利政策を2015年半ばまで延長(従来は2014年終盤まで)
・不動産担保証券(MBS)を400億ドル/月のペースで新たに買い入れ(無期限)
ここで個人的に注目しているのは①FRBの買い入れ資産に長期国債が入らなかったこと(短期国債を売却し長期国債を購入するツイストオペは別)、および②MBSの無期限の購入、の2点です。
はじめに①について。これまでのQEでおもな買い入れ対象だった長期国債が今回除外された理由を想像してみます。まずは金利がすでに低い水準に下がっていることが指摘できるかと思います(当面、国債を購入して長期金利を引き下げる必要がない)。次に11月の米大統領選の時期が迫っていること。かねてからFRBの金融政策に批判的な共和党に配慮したのかもしれないなと考えています。そして今年末の「財政の崖」が近づくなかでFRBとしては米国債をさらに買い上げて米政府の「財政ファイナンス」をしていると思われたくなかったという意図があったのだろうと推測しています。
次に②のMBSの無期限の購入について。現時点ではMBSを、いつまで、いくらまで買い入れるかFRBは明示していませんが、ロイターなどによれば失業率が7%台に下がるまで、総額6000億ドル(1ドル78円として約47兆円)におよぶとの見方が一般的のようです。
さてMBSとはMortgage-backed Securitiesの略で住宅ローンの担保融資を裏づけとして発行された証券化商品のこと。FRBのバーナンキ議長は、このMBSを購入することで住宅ローン金利の低下を促し、(アメリカの景気低迷の元凶である)不動産市場へのテコ入れを図る、と13日の会見で説明しています。不動産価格を再び上昇させて資産効果(不動産の含み益を生み出してローン負担の軽減や個人消費の活性化を促す効果といったところ)を狙うつもりなのでしょう。何度も繰り返して恐縮ですが、要するに「資産バブルよ、もう一度!」ということですね。
(続く)