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国債格付け「AA-」の日本円に負ける「AAA」諸国通貨③

2012-08-03 00:00:03 | 世界共通

前回からの続き)

 資源国通貨の代表格である豪ドルおよび加ドルを自国通貨としているオーストラリアおよびカナダですが、意外なことに(?)両国ともに経常収支赤字国。とくにオーストラリアは1980年以降の毎年、経常赤字を計上しています(一度も経常収支黒字になったことがありません)。オーストラリアほどではありませんが、カナダの経常収支も2009年以降は赤字となっています。

 経常収支の赤字が続けば国内の資金不足を補うために外国から資金を調達する必要が出てきます。その分、金利は上がるし、政府の支払い能力も低下することになるはずです。そのせいか、恒常的な経常黒字国であるわが国の円に対して両国通貨は下落傾向をたどってきています。

 オーストラリアとカナダのおもな輸出品目および構成はそれぞれ次のとおりとなっています(2010年実績)。

 オーストラリア:鉄鉱石21.4%、石炭18.7%、金6.3%、原油4.5%、・・・
 カナダ:原油13.0%、自動車12.4%、機械類11.1%、石油製品4.1%、天然ガス3.9%・・・

 これを見ても分かるとおり、両国ともに天然資源が輸出品目の上位を占めています。ところが昨年2011年は世界的な金融緩和などの影響で石油や鉄鉱石などの資源価格が高騰したにもかかわらず、両国ともに経常収支は黒字になりませんでした(オーストラリア330億ドル、カナダ488億ドルの経常赤字)。

 今後、さらなる量的緩和等があれば資源価格がもっと上昇する可能性もありそうですが、一方で欧米諸国や中国が厳しい景気後退に見舞われれば、一転してこれらの価格が低落するという見方もできます。そうなれば、両国ともにこれまで以上に経常赤字が膨らんで、国債格付けが引き下げられる可能性も出てくるでしょう。

 市場関係者の中には、天然資源が豊富であるということなどを根拠に(?)「資源国通貨は買い!」と豪ドル(豪国債)などを薦める方が多数いますが、これらの購入を検討される際は、高い国債格付けや見た目の高利回りに惑わされることなく、対円レートや経常収支の推移、とくにインフレ率なども考慮に入れて慎重に判断する必要がありそうですね。

続く

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