世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

国債格付け「AA-」の日本円に負ける「AAA」諸国通貨④

2012-08-05 00:00:04 | 世界共通

前回からの続き)

 以前にも書いたように(「意味の無い日本国債の格付け 」)、そもそも自国通貨建て国債の格付けには意味が無いと思っています。なぜなら、自国通貨建ての借金ならば通貨発行権を行使して通貨を発行すれば(自国の中央銀行に通貨を刷らせれば)簡単に返済することができてしまうからです(当然、無節操に紙幣を刷れば、その通貨は他国通貨に対して減価するとともにインフレが発生するので、しっかりした通貨管理は必須となりますが・・・)。

 したがって、上記の例であげたイギリス(ポンド)、オーストラリア(豪ドル)、カナダ(加ドル)、そしてわが国(円)の自国通貨建ての4つの国債について、それぞれがAAAやAA-となる根拠などを論じても実は仕方の無いことだと思っています(もっともドイツ国債については、ドイツ政府には独自に刷れる権限のないユーロ建てなので、しっかり格付けする意味があると思います)。

 ただしこれらの比較を行うことによって、各国の支払い能力の優劣が必ずしも格付けのとおりに現れているわけではなさそうだ、といったことは推察できるかと思います。上述したとおり、為替レート推移や経常収支などの一部の指標を比べてみるにつけても、AAA格の上記4カ国の国債が、それらよりも格付けが3段階も低いAA-の日本国債よりも価値が高いようにはとても思えない、というのが正直な感想です。

 そんな格付けよりも実質的に意味のある指標と個人的に考えているのが長期金利(新規発行10年物国債金利)です。主要国の直近の長期国債は次のようになっています(8月4日時点)。

 日本0.74%、ドイツ1.42%、イギリス1.56%、アメリカ1.56%、オーストラリア3.12%

 世界の主要国債のうちで日本国債が最も低金利となっています。これほど低い金利でも日本政府は資金調達が可能ということです。別な言い方をすれば、世界各国の国債の中で日本国債が最も安全(最も支払い能力が高い)と日本国債の投資家(90%以上が日本人)が判断しているということでしょう(一方、どうしたことか[?]、日本国債よりも国債格付けが高く、したがって資金調達金利が日本より低くなるはずの国々の長期金利の方が日本のそれより高くなっています・・・)。

 以下のグラフでも分かるように、わが国が世界最大の純資産保有国(2011年末時点で約253兆円)であることも、リスクオフモードの中で日本国債が買われる大きな理由と考えています。



 さらに付け加えると、各国のインフレ率を加味した実質の金利(=名目金利-[期待]インフレ率)を比較すると、逆にわが国の実質金利が最も高く(1%弱くらい)、一方でこれら高格付け国の実質金利の多くがマイナスとなっています(オーストラリアがほぼ±0%くらい[現時点に限れば日本より高めとなっている]で、残りの3カ国はマイナス圏)。このあたりも昨今の円高外貨安の重要な要因のひとつでしょう。

 「安全かつ実質的に高金利」-格付けが相対的に低いにもかかわらず、いまも低下傾向が続くこの長期金利こそは日本国債の本質的な価値の証といえるのではないでしょうか。

続く

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする