Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

ワンオペにしてはいけないフロント業務

2023-12-25 22:16:16 | 交通
JR西日本の駅の無人化ですが、なまじフルバージョンの改札機を導入していることで都市内の「無人駅」の利便性が低下しています。「みどりの券売機プラス」もそうですが、オペレーターによるインターホン対応といいながら、要員が少なくて待たされるわけです。JRの利用だけで終わるケースばかりではなく二次交通も使うというのに、常識的な接続時間で終わらずに待たされることでバスに乗り遅れるとか利用者に深刻な被害が生じていることをどうみているのか。特に改札機が通過できない商品を利用しているケースでは乗り越しとか利用者の問題は一切ないわけで、そんな企画券を使うほうが悪いと言われたらキレますよ。JR西日本が販売している正規の商品なんですから。

改札要員の配置もおしるし程度となっているわけで、たまに利用するJR神戸線の駅もその対象となっており、閉鎖時間は6時までと8時から8時50分、10時から12時、14時10分から14時30分、17時10分から18時10分、19時50分から20時30分、22時から22時30分と、まあ早朝は始発電車の時間を考えると5時からが「営業時間」として、6時間20分に達します。「営業時間」は終電の時刻として0時40分だとすれば19時間40分、実に1/3が無人です。

こういうと駅員も休憩が必要ダー、とわめき散らす馬鹿が無数に湧いてきますが、だったらワンオペをするなという話に過ぎません。営業時間中に対応できないようなシフトを前提にするなという話です。物販や飲食と違い、輸送は「時間」もまた商品です。まあどこぞの最大手のように30分台の所要時間を1.5倍に増やす(京葉線通快と退避1回普通との比較。ダイヤ設定上特急1本退避が不可避ですから)といったサービスダウンを平然と打ち出す時代ですから。

職員の休憩は絶対に必要です。でもそれで迷惑を被る利用者のことを考えていますかという話。客が迷惑を被らないように職員の休憩時間を確保するという当たり前のことが出来ずに、自分たちだけの都合で動くという無神経というか論外な対応です。
職員には十分に休ませます、でも利用者は食事時に、また食事も摂れなくて帰り着いたのに足止め喰ってさらに遅れても知ったこっちゃない、というのはありえません。昔「私だって寝ていないんだ」と叫んでド顰蹙を買った不祥事企業のトップがいましたが、現場で対応する社員だってそんなことは言えないでしょう。でもJR西日本はそう言い放っているも同然ですからね。

ちなみにやはりクレームがついていたのか、有人通路の閉鎖が事実上なくなっています。扉はあるけど動きますから。
不正乗車ガー、というのであれば、これも当たり前の話であり、無人化を止めればいいわけです。山陽電車が駅無人化をしたら不正が増えたので社印を巡回させているという本末転倒な事態を招きましたが、この手の施策は往々にして「企画倒れ」になります。

まあ百歩譲って駅員が終日対応する駅まで乗車してもらって対応する、ということもありでしょう。ICで乗車して、有人対応駅で有効な乗車券類を確認してICの乗車記録を取り消すという感じで。ただこれも会社またぎで対応しないといけないわけで、ありがちなケースとしてJR京都線の始発快速(大阪発)の利用がありますが、これは大阪でJR神戸線普通からすぐの連絡です。小野町ky路五移動が多いパターンで改札対応が可能なのは実に米原ですからね。何らかの事情でここを通り過ぎると目的地の名古屋とかで対応になるわけで、他社に迷惑もかけています。

しかし終日有人対応駅でも覚束ないわけで、最近は他社でも有人改札の灯を落としてバックヤードに引っ込んで休んでいるケースが多いです。新京成の始発から乗り継ぐ5時過ぎの津田沼駅もこれですからね。
先日喰らった最悪のケースは大阪駅の連絡橋口改札で、それこそ始発のJR京都線快速に乗る前に日付印を入れてもらおうとしたら誰もいないわけです。最初の目的地が無人駅(簡易改札機)のため厄介なので先に日付印を入れようと15分前の始発に乗ったというのにこれでは話になりません。

待っている間に青春18の日付印を求める客やインバウンドとかほんの3分くらいの間に5人以上現れたというのに誰も来ません。結局2階層下りて中央北改札に行きましたが、さすがにこれは酷くて連絡橋口改札に人がいないとクレームしたら、ヘラヘラ笑って「そうっすか」という対応ですから論外です。田舎駅ではなくJR西日本の本社おひざ元、総本山の大阪駅でこの対応はここまで腐っているかという思いしか湧きませんでした。大阪駅は大改装後構造上連絡橋を誘導する格好になっているのに、秋葉原駅よろしくES裏にひそむ階段を下りてさらに北側の改札へ、という初見殺しの対応を強いるのか。

もちろん不在にならざるを得ないときもあるでしょうが、それなら「お客様対応で席を外しています、お急ぎの場合は中央北改札へ」と言った案内ボードを多言語で出せばいいのです。阪神電車なんかはたいていの駅でワンオペですから「お客様対応」時にはシャッターを下げてその手のボードを出しており、じゃあ仕方がないな、とみんな理解していますから。(阪神電車の場合は企画券購入くらいしか駅員対応が必要なケースはない。近鉄線を介した連絡対象外区間からの乗り越しくらい)

「18乞食ガー」と鬼の首と取ったように真っ赤になって騒ぐ向きが目に浮かびますが、この時間帯、青春18の遠征だけじゃないですからね。新大阪から始発をはじめ6時台の新幹線に乗る時間帯ですから。インバウンドもそうでしょう。快速の車内でも「新大阪行きますか」と尋ねた大荷物のインバウンドの集団に乗り合わせましたし。上記の「利用者の食事時」もそうですが、この時間帯に無人だと影響が大きい、という発想が全く抜け落ちている無神経はある意味危機的でしょう。

そうそう、その日は湖北の有名な観光地に行きましたが、最寄りの小駅では、毎時1回上下の新快速が行きかう時間があるのですが、その10分前に昼前の休憩に入ったのには驚きました。いやそれはちょっと違うだろ、としか言いようがないわけで、列車のタイミングに合わせて窓口が開く駅はよく目にしますが、その逆は初めてです。駅に時刻表を掲出しなくて恥じない会社だけに、「時間」という価値や意味がもはや理解できていないんでしょう。



ライトラインの平日ラッシュを見る

2023-12-22 22:11:46 | 交通
宇都宮のライトライン、先日平日の朝夕ラッシュ時を見る機会があったので試乗しましたが、いよいよLRTのデメリットが顕在化しています。
客先を朝訪問するという要件が舞い込み、であれば東北新幹線の始発で7時前に宇都宮に入り、様子を見てみよう、と思ったんですが、東京や上野こそ目立って多くもない乗車だったものが、まず大宮でホームに伸びる自由席の長い列に驚かされました。2両しかない指定席の通路やデッキにも立客がいるわけですが、7時前の宇都宮で無ければ郡山とか福島県内に向かうしかなく、いかなる需要かと思いました。

結論から言うと6時52分の宇都宮で大量降車だったわけですが、多くの人が階段を駆け下り、改札を抜けてなお走るわけです。まさかと思いましたがそれしか結論がないわけで、新幹線からライトラインへの乗り継ぎ客が確実に、しかも大量に存在したのです。これが月曜だと週末を首都圏で過ごした単身赴任者が、と言えますが、週中ですから帰宅需要とも思えません。ひょっとしたらライトライン開業前から大宮からの新幹線通勤が相当数いたのかもしれません。

そう考えると、最混雑列車が宇都宮7時2分発というのは、始発の新幹線受けということで混んでいるという結論になります。ちなみに宇都宮線からは実は新幹線の1分後の到着で、その前は30分程度空いています。在来線側からのダッシュは目立たなかったので、メインは新幹線からでしょうね。もちろん宇都宮線からも多いでしょう。上野5時10分の始発電車ですから、都内はさすがにいなくても、埼玉県内からだと選択肢になりますね。そう考えると7時2分発に集中する構造です。

宇都宮への帰りとその後の「本業」を考えると7時2分発は実は微妙に都合が悪く、走る人につられた格好で6時56分発に乗ったのですが、立つスペースもかなり厳しい状態とあっては7時2分はどうだったのか。ちなみに発車間際の6時56分発に乗車した時点で、次発どころ次々発の7時10分発に行列が出来ており、着席通勤を実現するにはかなり待たないといけないようです。

さらに驚きは、東宿郷、駅東公園前と5~10人が乗り込んでくること。併用軌道区間で20人は優に超える乗客をさらに積み増しており、車内の混雑も厳しいです。乗客が動いたのは清陵高校前で、部活なのか早めの通学客が降り、清原地区市民センター前でも降車客がいましたが、思ったよりも少ない降車数でした。

ところが次のグリーンスタジアム前で大きく動きました。ざっくり半分が降車して、ようやく入れ替わりで座れましたが、それでもまだ座席定員オーバーです。電停から無理な横断をしないように誘導員が立っており、電車優先で通常のクルマ用の信号とパターンが違うこともあり、歩行者に注意を促しています。

ゆいの杜エリアでは合計5人程度の乗車があり、芳賀町工業団地管理センター前では工業団地巡回バスに連絡していますがあまり降りません。となるとホンダの工場がある終点までか、と思うと、かしの森公園前で残りの1/3くらいが降りました。最終的には30人台の乗客になったわけですが、種を明かすと、ホンダの工場にはゲートがいくつかあり、手前側のゲートはかしの森公園前が近いのです。逆にLRTが途切れた先のゲート利用者はいったん工場と反対側の歩道に出て、ゲート直前の歩道橋を利用しており、これは社内で「交通整理」が決められているんでしょう。

宇都宮7時2分発の到着を受けて発車する宇都宮行きで戻りましたが、宇都宮7時台の発車便はどれも混んでいます。こうしてみると、ホンダの就業時間は事業所にありがちの8時スタートではないのかもしれませんね。あるいは部署によって分けているか。
一方でグリーンスタジアム前の大量降車を見るに、こちらは8時始業対応でしょう。宇都宮駅東口のバス乗り場には企業の送迎バスの案内も出ており、清原地区主力のキャノンは最終8時始業で3段階に分かれて発車しており(満席次第発車)、7時2分が最混雑というのは清原8時対応ということで確定でしょう。

となると7時台中盤の混雑こそがホンダのようですが、8時半始業だと一般的には17時終業となりますが、この日夕方にも試乗した結果から言えば、17時台中盤の電車はそこまで混んでいるようにも見えなかったわけで、一方で18時台がピークとなっているのを踏まえると、やはり退勤時の流動が見えません。帰りは送迎バスを使うといったハイブリッド型なのかもしれません。ゲート付近に送迎バスがいましたから。

ちなみに8時半を回って宇都宮駅に戻りましたが、今度は学生っぽい客層が大勢待っています。ベルモール近くの宇大というよりも清陵高校前付近の作新大なんでしょうね。となると7時前後の便の2周目は通学輸送対応とかなり効率的です。
ただ普通に考えたときの「ラッシュ方向」は想像以上に空いていたわけで、特に宇都宮17時台後半の下りは宇都宮時点で空席を残しており、一般的な話とは逆の「片輸送」になっています。

懸念されていた定時性は遅れて数分であり、まあ信頼性は高いとみていいでしょう。ICカードでの事実上の信用乗車が浸透していますが、乗車用にタッチして降車していった客は気になるところです。エラー音に気付かなかったのか。次回乗車時に往生するはずですが。ただ客扱いのタイミングによってはさて出発というタイミングで信号が黄色から赤になるというケースがけっこうあり、それでも定時性に問題がないあたりは、余裕を確保せざるを得ない路面電車の宿命ですが、所要時間が長くなるという面ではデメリットです。

急行運転を行って追い抜きが始まると急行便への集中と抜かれる電車が戦力外になるという混雑対応として見たら感心できない事態になります。かといって全便普通もかったるいわけで、どう解決するか。まあ脱線事故の対策なのか、ポイント手前では歩くより遅い速度になったり、右折車線の右横を通過するときの徐行とか、無駄な時間もあるわけで、そこを削れれば5分程度の短縮は可能でしょう。座席定員と同数以上が立っているわけで、そこで所要時間も長いというのは身体によくありません。実際朝の試乗時に、車椅子などの立席スペースでしゃがみこんでいる男性客も見ており、6時台から30分から50分の立ち、というのは、安全衛生が厳しく問われる事業所関係の需要をメインとする交通機関としてはしっかうと言っても良い状況です。

現状を踏まえると、有効長の問題はありますが、2編成併結で輸送力を確保できないものか。運転間隔が3分を切ると信号サイクルを踏まえると団子運転になるリスクが高まりますから、間隔を維持して1本当たりの輸送力を高めるしかないでしょう。
そして沿線の事業所では対宇都宮でも全面的なライトラインシフトはしていないわけで、協力会社と思しき事業所で送迎バスを降りてホンダのゲートに歩く流れとか、まだまだ伸びしろがあるのですが、既に輸送力逼迫の様相では対応が出来ません。6時13分が始発ですからキャノンで見られるような7時始業への対応も清原ですら事実上不可能なわけで(電停から事業所へ歩いて厚生棟で作業着への着替え、というリードタイムが必要)、このあたりももったいない話です。

結局こうした問題はHRTであれば簡単にクリアできていたわけです。私自身ここまでの需要や伸びしろがあるとは思っていなかったのですが、事業所関係であれば各社が「やれ」といえば一気にシフトするのですから、十分な輸送力を確保できるHRTであれば、快適で速い通勤が実現していたことは間違いなく、なんとも中途半端な交通モードを整備したもんだという感想です。

あと余談ですが、ゆいの杜の手前、鬼怒通りに復活するところの十字路が道路交通のネックになっていますが、R408側をオーバーパスが建設中です。しかし気になるのは、前後の交通量のわりに渋滞が目についたわけで、交差点の処理能力が相当低いとしか言いようがありません。車線の割り当てや信号サイクルなど、工夫次第ではあっさり解消してもおかしくないレベルですから。
逆に宮環はかなり混んでいたので、平石でP&Rというようなすぐに考え着くプランは案外企画倒れになりそうです。



「壁」の向こう側はバラ色ではない

2023-12-22 22:09:31 | 時事
最近「収入の壁」を無くしましょう、という政府広報がやたらTVで流れていますが、本来共働きしなくても生活できることを目指すべきなのに、定年どころか一生働かないと生きていけないという「一億総貧乏」を定着させようとする動きですね。扶養控除を廃止し、子育て世代への補助にシフトすることで税金面dの優遇は極めて限定的にする動きと合わせて、家計を破壊する動きです。こんなインチキが異次元の少子化対策とは「気は確かか」というレベルであり、「増税メガネ」と言われても当然の話です。ちなみに「増税メガネ」は視力の悪い人への誹謗だ、という擁護論が出ていますが、「メガネ」は風貌の記号であり、メガネを着用することを指摘するだけで誹謗にはなりません。話を誤魔化す、論点をずらす、という元首相の常套手段の延長線上にあるわけで、今回辞任した政権与党幹部がネット対策(工作)を公言していたことを思い起こせば、批判をかわそうとする苦肉の策なんでしょう。世間ではそれを断末魔とも言いますが。

それはさておき、価格、金額における一定の水準をもって「壁」というケースが目につきます。
交通の世界でも旅行コストにおいて1万円が「壁」になっているという説があり、実態を踏まえると得心が行くものです。そして昨今の物価高騰を受けて議論喧しいのが「ラーメン1杯1000円の壁」ですかね。コストから見たら1000円以上にしたいが、値ごろ感という面では1000円を超えたら志向されなくなるというジレンマです。

値段にふさわしい味であれば志向される、と正当化する人も多いですが、このあたりはネット弁慶というかヒキコモリ特有の世間知らずの面が強いです。そもそも1食にいくら出せるか、というところから話が始まるわけで、実質収入が目減りしている中で名目の値上げを受け入れる余力がどこまであるのか。極端な例を挙げれば、かつてはスーパーの特売品でもあったウナギがあるわけで、1尾サイズで安くて2000円、デパ地下だと5000円はザラというレベルになると、そりゃ価格見合いの味だとしても手が出なくなるわけで、スーパーではウナギのコーナーはてきめんに縮小されています。個人的にもよく行っていた鰻屋が倍以上に上がってしまうとさすがに足が遠のいており、以前はそこに行ったら必ずウナギ、という習慣だったものが見向きもしなくなっています。

ラーメンは国民食とは言われますが、じゃあ必ず食べないといけないものかというとそうでもないわけです。じゃあ1食2000円でも食べますか、と言われれば、マニアは食べるでしょうが、食事としての選択肢にはなり得ません。海外では円換算で、とか言いますが、海外は実質の所得が円ベースにすると日本国内の倍以上、となるケースがザラですから、日本人が見たら目を回す値段でも現地から見たら手頃かちょっと高い程度なんですよね。そして当然海外でも値ごろ感を重視しているわけですから。

コメが市場に出回らず暴騰して発生したのが「平成の米騒動」でしたが、それはコメの代替品が存在しないからです。もちろんぱんや麺類にシフトする手はありますが、「主食」ですからね。あらゆるメニューの根幹でもあるわけで、そこがラーメンとは違うのです。
マニアでもない限り、高いラーメンにこだわる人は少ないわけです。美味しいけど1杯2000円と言われたら、1000円で食べられる別の食事にするのが普通の流れでしょう。作り手からはコストをどうカバーするのか、という批判が出るでしょうが、そりゃコストをかければ良いものは出来ますが、誰がそれを求めているのか、という話です。1万円のコース料理が美味しいのは誰も分かっていますが、それを選択するかは懐具合に従いますからね。その値段を払える人はいますが、市場規模は確実に狭くなりますから、「大衆食」気分でお店が林立することは不可能です。高級料亭やレストランがあちこちに無いのと同じです。

富裕層ビジネスを筆頭に、高付加価値製品をターゲットにするのも同じです。単価は高いがそのマーケット規模はどれだけか。
交通の世界でもハイエンドの商品に目が向きがちですが、編成定員30名前後のクルーズトレインは客単価100万円であっても2泊3日で最大3000万円の収入です。メンテとか無視して年間フル稼働でも36億円の収入です。
すごい収入、といいたくなりますが、1日1000万円程度の収入ですからね。平均客単価500円で2万人の利用と一緒です。原価に桁違いの差異が出るのを無視してもこれですから。市場規模がどれだけ小さいかが分かります。その少ないパイに経営資源を突っ込むのか。かつて地方自治体の取り組みとして経済紙誌が料亭で使われる「つまもの」を扱う町を持て囃していましたが、じゃあ全国の山間部の自治体が取り組めるだけの市場規模があるのか、と突っ込んだ記憶がありますが、足元の富裕層ビジネスなど小さい市場を無限に見せる手口は何を狙っているのか。「つまもの」も2億円以上の売り上げを誇りますが、じゃあ市場規模はどうなのか、収支はどうなのか。肝心な部分が見えない状態での賞賛です。飲食店に大逆風のCovid19の期間はどうだったんでしょうね。



「使わない」という選択肢が現実味を帯びるとき

2023-12-22 22:08:05 | 交通
京葉線の通快廃止がけっこうニュースになっています。もともと快速系の本数自体が激減していたとはいえ、ピンポイントで利用する人が多い通快まで消えるとなるとさすがに黙ってはいないという感じです。特に外房線、内房線沿線からは20分の所要時間増となるわけで、茂原や君津といった70㎞圏60分台、という目標と効果を掲げて進めて来たJR化初期の近郊輸送改善を無にする施策は、JR東日本という事業者は公共交通としての矜持の欠片もない品格のない企業と言わざるを得ません。地方ローカルの交通事業者のような苦境にあるでもなく、そして利用者が十二分にいる区間での仕打ちですからね。事業者の言い分を無条件に垂れ流して批判を叩きまくる事業者無謬の連中はそのお先棒というか走狗であり、利用者という属性のはずが利用者を苦境に陥れいれることに快感を覚えるという有害極まる存在です。

ラッシュ時に20分の所要時間増加となると、特に二次アクセスが絡むケースだと通勤通学が不可能になる可能性もあります。
いわば住民にとっては「廃線」に等しい事態です。それでもやむを得ない事情があればまだしも、JR東日本はそのような苦境にありません。固定費賦課のトリックで大赤字に見せかけている久留里線とも事情は全然違うわけで、収支均衡に近い外房、内房両線の根本区間で利用者や自治体に利用しないといった責任をなすりつけられるいわれもありません。
今回の理由も理由になっていないわけで、実際には遠距離利用に見合った速達列車中心に削減し続けて新浦安など近場の輸送力不足を来していたのが、美浜区エリアの京葉線のメイン区間にまで至ったわけです。速達系の数を減らせばそりゃ集中するしかないわけで、今の本数を増やすつもりがさらさらないから並行ダイヤで、というわけです。このあたりは輸送力が限界に達した中で並行ダイヤを採用して遠距離利用にしわ寄せしている地下鉄東西線とは似て非なる対応です。

そもそも京葉線は「遠京」がターミナルということもあり、そこで時間面でのハンディキャップがあります。京葉線への転移を進めるためにも快速系を充実させてきたわけですが、Covid19で総武快速線にも余力が出来たし、最悪総武快速線に戻っても大丈夫という腹づもりなんでしょう。それでも特急利用を促すぼったくり志向であればまだしも、特急が増えるでもなく、全車指定席化による値上げもあり、カネを払っても利便性を享受できない状況です。たった5連の特急が経営資源を浪費していますから。
ちなみにダイヤ編成もデタラメも良いところで、京葉線系統同士が新浦安退避で有効列車をいたずらに減らしたり、逆に武蔵野線系統が快速退避で武蔵野線利用者までが快速系に流れ込むとか、実質新木場以東がメイン区間と言えるなかで普通が戦力外になるようなダイヤを組んで(新木場拠点で見れば葛西臨海公園しか通過駅がないのに退避)、これで快速系に集中というのですから、自分たちの無能を利用者にしわ寄せする格好です。

総武快速線ユーザーとしても京葉線からの再転移が必至なだけに迷惑極まる話ですが、首都圏の通勤路線でこんな対応をするようであれば、お望み通り通勤利用を減らす方向に社会として進むしかないですね。20分の所要時間増を気にしないで済むように、テレワークを推進しましょう。通学も極力スクールバスを出す方向で。運転手不足ガー、というバカが湧いてくるでしょうが、まともな労働対価を払えば運転手はいますからね。運転手不足ガー、というのは長期化したデフレ下で労働力を安く買い叩くことを疑うこともしなくなった無能な経営のなれの果てですから。
自治体もJR東日本にこれ以上の「追い錢」をするのではなく、住民におけるテレワークの環境を整備し、通勤を極小化するとか、各社の本社を誘致して面着での仕事も近郊で、という発想の転換を目指した方がいいでしょう。幸か不幸か千葉県内は山岳もなく、土地の利用可能性という意味では大きなアドバンテージを持っていますし。

このあたりは真の意味での「ニュータウン」の構築にもつながる話でしょう。
日本ではニュータウンもインナーシティも形式から入っただけで、お手本のはずのロンドンのそれを一足飛びに弊害だけ実現した格好で終わっていますが、「通勤」という軛から解放されるというコペルニクス的転換が現実のものとなれば、理想に近づくかもしれません。逆に大都市圏の通勤輸送を収益の源泉としてきた交通事業者にとっては、通勤輸送が永続するベクトルを社会に促さないと持続できないのですが、自分から見捨ててどうするのか。エキナカやお遊び列車は基幹となる収益源にはなり得ないわけで、壮大な自爆と言えます。



これが「住み続けられるまちづくり」か

2023-12-21 23:52:55 | 交通
特急の全車指定席化問題で、相変わらずヒキコモリや事業者無謬が手放しの絶賛を繰り返しています。
百歩譲ってもJR東日本のように新料金を指定席と自由席の中間にするという配慮があれば受け入れられやすいですが、JR西日本のように「定価販売」での全車指定席化は大幅値上げになるだけです。

最大の問題は、通勤通学輸送の問題です。「のぞみ」全車指定席化もそうですが、通勤通学用の新幹線や特急利用を全体にした定期券を発売しておいて「乗れません」はないでしょう。私鉄特急は全車指定という声もありますが、特急も合わせてようやく本数を確保というような状況ではなく、特急を利用しないでも事足りる点で全然問題の所在が違います。

新幹線の場合は「乗れません」ではなく「立席で」という案内ですが、これまで座れていた(列車によっては立っていましたが)ものが、お値段据え置きで座れませんは阿漕に過ぎます。気が付かない人が多いようですが、山陽区間では1駅間であっても「のぞみ」利用が前提になる区間があるわけで、「みずほ」は最速達として停車駅は厳選され、「さくら」が同等の戦力列車になりますが、編成は短いのにそこに集中では話になりません。

ましてや「やくも」はどうなのか。北海道は指定席利用については指定料金券の発行だったものが全車指定席列車に関しては追加料金無料で指定席利用が可能になるのに加え、3日前から追加料金無料で座席指定も可能になるというのに、JR西日本は特急定期券の発売終了とか塩対応にも程があります。発売継続区間でも全車指定席列車利用できないとあり、JR北海道同様指定料金券で乗車可能だったことから大幅後退です。なお新幹線も「フレックス」系の割引率が渋いのでいわゆる「マル幹」での利用が目立ちますから、もし「フレックス」系への対応が追加されたとしても実効性が低いです。

なおJR西日本のリリースでは今回の施策はSDGsの11番「住み続けられるまちづくりを」に貢献すると言っていますが、冗談にも程がありますね。3歳の子供でもおかしいと思う話です。