Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

法律が要求するガバナンスは誰が見ていたのか

2023-12-18 00:26:27 | 時事
歌劇団の事件で、その一部門としてかかえる電鉄会社とその親会社であるホールディングス(HD)の責任に言及した記事がありましたが、電鉄会社は歌劇団の「パトロン」として統治はしていない、という体質が批判されていました。

これ、じゃあなんで今まで放置されていたの、という話になるわけで、上場企業であるHD、さらにはかつては電鉄会社が単独上場していましたが、その内部統制に関する適正性はどう判断していたのか。内部統制報告書を提出していますからね。
当然そこには監査法人の監査報告書があるわけです。HDにとって電鉄会社は当然重要な事業拠点であり、歌劇団もその中における重要な拠点になります。今回のような事件が起きない、あるいは適正に報告されて対応される、という体制を確認するシステムが金商法では要求されているはずですが、そこはどうなっていたのか。「パトロン」であったとしたら、するべきことをしていなかったことに他なりませんから、それこそ過年度に遡って内部統制報告書を修正する必要が生じますし、長年金融庁と取引所(投資家)を欺いていたということで上場廃止も視野に入ります。

かつて西武鉄道は有価証券報告書の虚偽記載が原因で上場廃止に追い込まれましたが、その事件は企業情報の開示体制に大きな影響を与えました。内部統制に関してはエンロン・ショックを機に米国で、そして日本でも内部統制システムの整備、運用の要求が明確化されていますが、今回の事件が内部統制報告書の内容に疑義ありとなったら、その対応は歴史に残るレベルの変更になるかもしれませんね。