Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

通過厨には見えない背景

2024-09-12 21:05:46 | 交通
山電の特急が別府に追加停車する件、ネットでは案の定「通過厨」が特急らしくないとか大騒ぎです。
そもそも1つ2つ通過しても新快速には勝てないわけですし、じゃあ明姫間をノンストップで走っても新快速にはかなわないから誰も乗らないわけで、どこで客を拾うか、需要を確保するかが分かっていないヲタの戯言でしょう。

既に山電は明石以西でいかにして収益を最大化するか、という発想で様々な施策を行っています。加古川市や高砂市から明石まで乗るとかなり高いわけです。話題の別府からは明石まで460円。三宮までは840円ですが、JRに乗り換えたら870円と、中距離の運賃が高い感じです。定期券では明石乗り換えが安いから企業も明石乗り換え一択で交通費を支給しているのが現状ですし。

一方で沿線は「播州平野」ですからクルマどころか自転車でJR駅にアクセスという選択肢があります。特に加古川駅がターゲットになるエリアはあっという間に逸走します。悪いことに加古川市内では神姫バスの撤退に伴い整備されたコミバス(かこバス)が別府、浜の宮、尾上の松から加古川や東加古川へと毎時1~3本、ルートによっては朝5時台から夜21時台まで運行と、まあ受託が神姫というコストの行政付け替え状態とはいえ、利便性は段違いであり、これもJRの利便性とセットでしょう。新快速の加古川での乗客数の段落ちも顕著ですし。

震災後に阪急が特急を岡本に停めた際も「通過厨」の評判は悪かったですが、摂津本山から岡本に歩いて御影まで行く、というような乗り継ぎ客が当たり前にみられる状態だったわけで、快速すら停車しない摂津本山に特急停車駅というくさびを打ち込む政策は正解でした。通過すれば正義、ノンストップは神、というような関西私鉄厨には理解できない現実と結果がそこにあります。事業者もヲタのお遊びに耳を傾ける余裕がありませんから。まあ関西私鉄厨は緩急接続の停車すら否定しますからね。高槻、芦屋の緩急接続で根こそぎ奪われた側からしたら、耳を傾ける価値もない意見ですが。

山電は数年前に日中のダイヤパターンを変更して、それまで須磨、明石、東二見、大塩での緩急接続だったものを、霞ヶ丘での通過追い越し(前後の垂水、舞子公園で接続)、東二見、大塩での緩急接続にしていますが、東二見での緩急接続だけは死守しているのは、東播の浜手エリアの需要を失ったら山電の最期という認識があるからです。朝ラッシュ時のダイヤパターンは普通は東二見で直特に接続し、さらに藤江でS特急に接続と、少しでも早く明石へという姿勢で山電を使ってもらおうと必死です。

臨海部の事業所の需要もなかなか拾い切れていないわけで、特に西二見と播磨町の「人工島」は山電の駅と線路を跨ぎ越してJR土山と直結する4車線道路が整備されており、路線バスや企業バスが人気です。別府界隈もJR加古川への企業バスは増便なのに別府経由JR東加古川は別府までの便が間引かれるなど山電派が減少しているわけです。
荒井はJR加古川へは渋滞が厳しい加古川の橋を渡ることや、JRの最寄りとなるJR宝殿は加古川止めの電車では行けないこともあり、山電一人勝ちですが、加古川市や播磨町、明石市域ではそうはいかなかったわけです。せっかくの特需を取り込めていない。そういう現実を一番分かっているのは山電ですからね。通過厨のヲタには見えない現実です。

山電がこのエリアで集客するのは王道です。一方で山電は確かに遅いですが、これは舞子以東の問題です。そして神戸高速線内の問題です。まあ神戸市が西神戸エリアの山電や神戸高速線の本数を増やすとアナウンスしながら、結局は黄色直特の須磨まで各駅化でお茶を濁したように、ここで山電がやる気を見せないのが問題なんですよ。結局黄色直特の各駅区間は板宿以東になって長距離客には福音ですが、特急通過駅は毎時4本に逆戻り。須磨浦公園への阪神特急は須磨で須磨始発終着の山陽普通と接続と言えば聞こえはいいですが、下りは山陽普通が先発、上りは山陽普通を待って発車と須磨浦公園前で行く意義がない状態です。そもそも黄直特は時間調整しまくりで、赤直特ですら時間調整をするんですから、別府に停める以前の問題として早く行く気がないのです。



顕在化しているのに早々の復帰

2024-09-12 21:04:58 | 交通
JR貨物の不正問題、早々に運転再開となりましたが、評論家も「基準が厳し過ぎる」として実影響はないと擁護する向きが出てきています。
おそらく自動車メーカーで発生した検査不正をイメージしているのでしょうが、似て非なるということが理解できていません。

この問題が深刻なのは、既に事故が発生しているということですからね。山陽線新山口駅構内での機関車の車軸折損による脱線事故がまずあり、それの調査過程で不正が発覚したのです。基準が厳しいとかいう段階ではなく、不正による基準未達で事故が既に発生したという顕在化事例です。当事者は1日程度で検査終了としていますが、自動車メーカーのように安全マージンは確保できていると分かっている事象と違い、不正の対象の場合は安全マージンどころかレッドゾーンにあるわけですから事故発生の蓋然性が高いのです。該当車両はコンテナ車だけでなく機関車も含むという発表になっていますが、こんな短時間で危険レベルまで劣化していないことをどうやって確認したのか。検査などの不正で安全はまず問題ないというケースであっても、安全であることの証明はそんなに簡単ではありませんから。

そりゃ物流への影響は最小限にとどめたいですし、何気に仕事でもプライベートでも影響が出るリスクすらありますから、早期の運転再開は歓迎したいのですが、リスクを云々してきたことを踏まえると、利害を超えて慎重であれと言うしかないのです。
これは不正ではないですが、重要部の問題が顕在化した事例としてはJR北海道のキハ183系があるわけで、高速化対応の系列を中心に運用停止に追い込まれ、長期間にわたって特急「北斗」の減便、減車に加え、最終的には全気動車特急の高速運行の停止、車体傾斜装置の運用廃止という事態につながっています。

そこまでひどい話にはならないと信じたいですが、車軸が折れるという事故は重大事であり、また車輪をはめる際の不正という意味では、車輪の剥離が原因で引き起こされた石勝線の特急火災事故もあるわけで、決して軽く見てはいけない事象です。
不正対象が631両として運用から外すことで対応したようですが、不正対象車両を外せば安全と断定できるのか。全車の確認は不要なのか。説得力のある評価、判断をしているかでしょう。



この期に及んでのトンデモ知事擁護と悪夢の対抗馬

2024-09-12 21:03:10 | 時事
「パワハラ」「おねだり」知事が居直っていますが、前西播磨県民局長の自殺を招いた公益通報者保護法違反の「犯人探し」という法令違反が明白になってもなお居座る鋼のメンタルです。ポピュリズムの権化の維新もさすがに辞職勧告を始めており、県議全員が辞職を迫るという異常事態ですが、居直りというか開き直りというか、厚顔無恥にも程がありますね。一説には不信任決議は通常なら確実に通る状況ながら、前の選挙から1年半で1年生議員も多いだけに、選挙となると前回選挙で競った候補とまた争うのか、という懸念を抱える議員が不信任案には賛成するまい、と高を括っているという話もあります。当然知事は辞職すべき、でも現職とその政党の政策は、という批判に耐えられない、勝ち目がない、という議員もいるでしょうし、特に維新にそういう議員が多いのも知事の強気を呼んでいるのかもしれません。まあ辞職決意に応じなければ不信任決議案と維新以外は腹を括っており、維新もここでゴネたら知事と同類と見られて決定的な不信を招くという不安もあるでしょうが。

一方の知事は必死になって県民の中にはエールを送ってくれている、と脳内支援者としか思えない声を根拠に居座っています。そして民選知事ですから県民の
負託を受けている、と自分が県民に支持されているのだから、あと1年、任期の4年を全うするのが筋、というトンデモを振りまいています。
冗談も休み休みの世界で、選挙の際に「パワハラ」「おねだり」しまっせ、と言っていたら誰が投票したか。県民の負託を裏切っておきながら、今もなお負託を受けていると思うほうがおかしいでしょう。ありがちな話として、「『マスゴミ』が悪い」とでも思っていそうで怖いですね。ボロが出たら任期を全うと言って1日でもしがみつこうとするスタンスは、民主党政権時にも見られました。総選挙で勝ったのだから、4年間フリーハンドだ、という最低の勘違いを公言していましたから。

ここまで来るとあっぱれと言いたいところ、当の兵庫県民にとっては最悪です。そしてその最悪どころでない観測気球も上がったわけで、ネットで政治評論家が出直し知事選に前安芸高田市長が出馬するのでは、という記事が出ていたのを見て卒倒しました。
話題の首長で、改革屋の化けの皮が剥がれたところに都知事選で健闘したという触れ込みでくれば悪くはないでしょう。対抗馬を誰にするかという声も聞こえてこない中、手を挙げたもの勝ちという感じもしますし。なおなんとなくこの人が手を挙げそうな気がする人はいるんですけどね。この問題でけっこう発言して世間の支持も得ているようですし、特に県内での知名度は抜群ですからね。

一方でメディアの中には「知事派」がいるわけです。
確かにSNSには知事応援のハッシュタグをつけた投稿も見られますが、褒め殺しかもしれませんし、リアルで主張できるような話でもありません。
「実績」にしても維新お得意の「身を切る改革」の自分の減俸と公用車の見直しをもって実績面しているわけで、何をしたんですか、というレベルです。
その程度の浅薄な「支援」を殊更に取り上げるメディアは知事派と言わずして何というかでしょう。毎度のCX系ニュースショーでしたが、維新の元代表で大阪府知事、大阪市長を歴任した御仁を生出演させて見苦しい擁護を展開させていましたね。与太を垂れ流して批判すらしない。さすが維新の黒幕が出ずっぱりの放送局と番組だけあります。

要は「パワハラ」「おねだり」は事実と決まったわけではない、県政が混乱したから責任を取るんだ、という「世間がうるさいから」詰め腹を切らせるというスタンスです。知事は悪くないと言っているわけです。とことん腐っているというか、こういう政治屋にかじ取りを任せたことで全国に蔓延してしまったわけで、大阪の政治的リテラシーの壊滅的低さが日本を蝕んだのであり、その責任は重大です。民主主義のコストとか言ってられない危機ですが、だから独裁の方が、というとそれこそ維新の思うつぼですからね。共産党と同じで民主主義ではなく民主集中制の組織ですから。