Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

まずしゃべることが大切

2023-03-05 19:38:13 | 交通
風光明媚な場所で観光案内の車内放送を流すケースはたまにありますが、JR西日本で体験したのは昼間の新快速で須磨-塩屋間の須磨海岸と舞子付近での明石海峡大橋に関する案内でした。一方インバウンドに人気の尾道ではまさに「取って付けた」英語放送が下り電車の東尾道発車後に流れ、尾道水道、尾道大橋の風景を案内しています。115系が大半の岡山支社は227系のように自動放送がデフォルトでないので苦肉の策なんでしょうが、やはりインバウンドの入り込みが多い倉敷では英語放送がなく、中途半端です。

こうした取り組みも悪くないのですが、やはり本筋は案内の英語版です。駅の案内表示のように多言語化することは車内放送には向かないので英語のみで十分ですが、なかなかそれもないわけで、車両の新製、更新に合わせて自動放送を導入してようやく開始されているのが実情です。ところが225系使用の新快速で自動放送が流れなかったケースに遭遇しており、このあたりはどうなっているのでしょう。

一方で出だしは酷評だったJR東海の車掌による肉声の英語放送ですが、それなりに定着しています。数をこなし、場数を踏むことで、一種の定型文ですから流暢とまではいかずとも案内放送としては十分に機能するレベルになっています。新幹線や特急列車だけでなく、一般列車でも行うことに意義があるわけで、インバウンドや在日外国人から見たら、非常に心強い話です。その意味でもJR西日本(岡山支社)の「取って付けた」対応は形だけで魂が入っていません。なおJR西日本では以前指摘したことがありますが、英語の自動放送が「直訳」で、日本語が「三ノ宮、三ノ宮です」と締めるのをそのまま「Sannomiya, Sannomiya」と謎のエンディングですから。

もちろん自動放送で均質化された提供がベストですが、車掌も英語で案内できる、というスキルを実現したJR東海の対応は大きな財産です。
なかなか場数を踏ませるのは難しいですが、駅員がこれが出来るようになれば完璧でしょう。実務での文章や単語を知ることで、実際に外国人に問いかけられた時でも、最悪単語の羅列だけでも対応できるでしょうから。

英語などでの対応という面ではやはり航空ですが、乗客に外国人がいないと端折るとかけっこうシビアです。国際線だと日英2ヶ国語のほか、発着地のローカル言語でも放送していますが、こうしたきめ細かさも鉄道の比ではありません。
ただ英語の「レベル」という意味ではそれほどでもないわけで、機内放送、特に機長からの挨拶はかなりレベル差がありますね。もちろん実際に英会話を行う能力はしっかりしているはずで、そこが大きいのですが、鉄道の方も英語のレベルを批判されてもそこまで悪くはないと胸を張って自信を付けたほうが良い結果につながるでしょう。






客にしわ寄せのコストダウンが示す社会の劣化

2023-03-05 12:43:17 | 交通
鉄道会社がコスト削減のために駅の「無人化」を推進していますが、都市部や近郊においても自動改札機とフェアライドシステムの普及もあり、無人化が進行しています。無人化まではいかなくても、長距離きっぷや指定券の発売を指定席券売機のみとして有人窓口を廃止することで、駅に駐在するのが社員ではなく関係会社に委託するなど簡素化してコストダウンに励んでいます。

一方でこれによる問題も顕在化しているわけで、まず不正乗車の横行。比較的利用者数が多い駅や不正をするケースが目立つ客層(年齢層)が多い駅に「特改」を派遣したり、また強行突破の被害にたまりかねて社員を巡回させるケースなど、コストダウンも疑わしい結果に追い込まれており、まあこれは日本社会の急速なモラル低下や治安の悪化と重なってしまったこともあるのですが、不適切な時期に不適切な施策が重なった結果です。

都市部での「無人化」は終日無人化だけでなく、早朝深夜のみとするケースも目立ちます。まがいなりにも駅員がいるので無人化とは言っていませんが、誰もいない時間帯が発生しており、これもリスクやデメリットという意味では同じでしょう。さらにその無人時間帯が拡大しているわけで、利用が少ない時間帯は閉めます、というのであれば納得も行くのですが、あきらかにワンオペの「駅員」の食事や休憩時間というケースが目立っており、労働者保護の観点、また当然労働法規に関連するコンプライアンスの問題もあり、終日働けとは言いませんが、それによる弊害を被る利用者へのフォローが肝心です。

そう、事業者の都合ばかりの話で、利用者の利便性は全く置き去りになっています。事業者無謬の手合いはコストガー、値上げガー、と肯定するしか能がないわけですが、有形無形の弊害、要は広い意味でのコストアップを利用者に既に強いているわけです。それを無視してほざく手合いは利用者という属性のはずが事業者しか向いていませんし、その弊害を苦に思わない、すなわち弊害を被る場面に無いのであれば、利用者という属性も怪しく、赤字ローカル線の存続問題じゃないですが、普段使ってもいないのに余計なことを言うな、という話です。

無人化はやむなし、ということで対応策として精算機、チャージ機の設置のほか、こうしたツールが使えない(対応していない)精算客のためにインターフォンとモニターで対応していますが、それが「絵に描いた餅」になっています。モニターでの対応は1979年に北総開発鉄道(現北総鉄道)で自動改札化もほとんどされていなかった時代に精算業務を無人化するために導入したのが本格導入の最初ですが、きっぷ等の磁気化や駅の有人化によりいったん消滅しています。
それが今の時代に蘇ったのですが、確かに機能すれば便利で、ストレスも然程感じません。インターフォンを使うケースが少ないですから。

ところが無人化時間帯が拡大してくると、とんでもないケースも出てきます。実際に出っくわして頭を抱えたのですが、インターフォンが「ただいま混みあっております」と応答しないのです。カスタマーサービスの電話と一緒ですが、あれが「お急ぎの方は自動応答やネットで」と誘導するのに対し、駅の場合はそれが出来ないからインターフォンに取り付いているのです。「最後の砦」が出ないのでは話になりません。

食事時間と思しき無人時間帯の場合利用者はかなりまだいるわけです。しかも大都市圏ですからね。このシーズン特有の状況として、青春18きっぷはまさにインターフォン対応が必須です。有人改札を通るしかないのに閉鎖とはどういうことか。インターフォンもつながりません。これ、フェアライドシステムには関係しないので「強行突破」も可能ですが、これをいうと指弾するのでしょうが、それも止む無しとしか言いようがありません。
そもそも根本的におかしな話になるのが、駅員の食事を優先することで、利用者が足止めを食うのです。それこそ利用者が食事にありつける時間が先になるのです。それって駅員個人レベルでは判断が難しいですが、事業者と顧客という関係では「あってはならない」話でしょう。

事業者側が社員の都合を優先する、というのは外国ではよくある話とはいえ、我が国では「お客様は神様ではない」ということがようやく広まっているとはいえ、このケースは客がクレームして当然の話でしょう。「18乞食ガー」とか抜かす馬鹿が湧いてきそうですが、1セット12050円払っている客ですよ、1日でも2410円です。ICカードをどうぞ、と大事にしている利用者の何倍払っているのか。しかも正しいきっぷを持っているのに足止めですからね。普通の客商売ではあり得ませんよ。

じゃあ別途支払うのか、また本来なら乗れるはずだった電車を諦めるのか。とんでもない不利益にもつながる話であり、インターフォンでのフォローが出来ないのであれば絶対にやってはいけない施策です。
有人改札が開いていても、わけのわからない相談ごとを優先して通さない駅とか、呼んでようやく出てくる駅とか、駅に券売機があるはずなのに精算客が長蛇の列とか、きっぷは正しくと言いながら、正しいきっぷの客に最低の扱いですからね。

そうそう、四半世紀近く前に食品メーカーであったメーカーの不適切な工程管理が原因で発生した集団食中毒事件で、記者会見した社長が記者会見の時間を制限したことを咎められ、「私だって寝ていないんだ」と時間がないことを強調しましたが、それが大炎上して辞任に追い込まれ、司直による幹部逮捕やグループの解体にまで発展するなど一大スキャンダルになりましたが、腹をすかせた利用者を待たせて「私だって腹が減ってるんだ」というが如き閉鎖はどうなんでしょうね。
まあ郵便局も窓口の「昼休み」を発表しており、利用者が昼休みに来局するというありがちかつ多い利用法を無視した対応が批判を浴びていますが、こうした事例が増えてくると、ますます日本の社会の劣化というものは進むんでしょうね。客を無視してスマホに興じる店員が日常茶飯事の外国をもう笑えません。