Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

ちょっとの工夫に15年

2023-03-03 23:41:11 | 交通
新名神が名神に合流する草津JCTで、京都方面の車線を1車線に絞ることで発生していた渋滞が、2車線で名神に合流するようにしたことでほぼ解消したそうです。そもそもなんで絞るのか、という構造で、せめて草津PAに入るクルマに1車線割り当てればだいぶ違うのに、と思ってましたが、2車線での合流と本筋の改善を行って抜本的解決になりました。


(改善前の草津JCT)

もちろん新名神のこの区間は本線ではなく連絡線であり、本来は城陽方面に本線が向かうのでそれまでの辛抱でもあるのですが、何年も放置はできないわけで、改善されたことは大きいです。鈴鹿峠の東側、東名阪に合流する鈴鹿JCTや、伊勢湾岸道が東名阪に合流する四日市JCTもかつては激しい渋滞で有名でしたが、こちらは新名神の本線部分が4車線ではありますが完成したことで解消しています。

まあ草津の場合はそもそも草津JCTというか併設のPAから京滋バイパスを分ける瀬田東JCTまで6車線化されているため、新名神が2車線で来ても左側はそのまま本線、右側は名神に合流と無理なく合流できました。それが新名神開通の2008年から15年(草津田上ICのランプとして開通した2005年からはさらに3年)も改善まで時間がかかったというのもどうなんでしょうね。それまでの渋滞による経済損失はいかばかりか。民営化推進委による4車線へのデチューンも目立つ新名神ですが、民営化のメリットが全く見えません。そうそう、城陽方面への建設に待ったをかけたのも推進委でしたし。

まあこれで新名神の威力もさらに増しますね。高槻JCT-神戸JCT間(山陽道直結)の開通で宝塚東西のTNでの渋滞が激減し、大山崎JCT-高槻JCT間は名神ですがここはもともと関西一の渋滞ポイントだった天王山TN区間の改善で8車線化されています。あとは瀬田東での東行きの合流渋滞が解消されれば、大津JCT-高槻JCTの供用が無くとも大幅な改善になります。東側は本線が四日市JCTまで伸びてそのまま伊勢湾岸道と、本当にストレスがなくなっています。

ちなみに伊勢湾岸道に今世紀初頭、湾岸弥富から大府までの「全区間」を走ってから、みえ川越開通時は初日に走るなど、東西間をクルマで行き来していた時期に重なったこともあり、伊勢湾岸道、新名神は開通、延伸とともに走行している格好です。
余談ですが東名と直結していなかった一時期、西行きだけでしたが上郷SA(現在の豊田上郷SA)に併設されたSIC(下り出口のみのクォーター)から伊勢湾岸道豊田南につなぐことが出来ましたが、Wikiでもその当時のSICに関する記載がなく黒歴史化しています。日本初のSICとしての社会実験で2004年から2005年にかけての3ヶ月ほどの開設ですが、個人的にはここがSICの初体験でした。



またもバグか

2023-03-03 20:40:48 | 交通
川越線で単線区間に上下列車が進入して「お見合い」になってしまい3時間運転を見合わせたそうです。
保安システムの大前提が崩れたような印象ですが、実際にはそうでもない、しかし深刻な事態だったようです。

事故現場は指扇と南古谷間ですが、駅間には指扇側から分岐進入できる川越車両センターがあるため、「駅間」には2個以上の列車を進入させることが可能です。おそらく川越行きに対しては入区側を開通させたことで指扇で出発信号を表示し、大宮方面行きに対しては分岐手前までという意味で南古谷で出発信号を表示したのでしょう。これは普通にある話で、それが出来ないと線路容量がかなり低下します。

ところが両者の間隔が数百メートルの段階で危険信号が出たとあります。川越行きは進路がセンター側だったため分岐手前で停車したともあります。
となると、川越行きが進路違いに気づいて停車し、指令に連絡したまではいいんですが、指令が本線側を開通させたため、その瞬間に両者前方に対向列車がいるとATS-Pが認識したという重大事態になってしまったのでしょう。逆にそうでなければ、分岐までは分岐で入区側が進路から外れる前提で双方向の進入が想定されるのに危険信号が出るというこれもおかしな事態になります。

復旧として大宮方面行きを南古谷まで下げて、川越行きを取り込んだとのことですが、それで復旧まで3時間はともかく、缶詰2時間というのも不細工な話で、「本来の」センター側に進路を構築して川越行きを取り込み、指扇あるいは南古谷に出せば済んだのでは。それとも進路を戻しても信号や保安関係が復帰できなかったか。

それだけ慎重なシステムであればなおさらに本件はなぜ起こったのか。既に対向列車がいる閉塞に向けての進路が構築できる、少なくともポイントを開通できる、というのはフェイルセーフ機構が全くないことを意味します。番線の多い駅で入場待ちをしていた列車に対して、在線中の番線に向かう進路が開通できるのか。ATSで止められるとはいえ、開通できるとしたら驚きですよ。アナログな対応でもロックは可能でしょうに。(非自動閉塞でも表示板を使ってロックをやってるはず)

JR東日本と言えば、以前篠ノ井線で本来進入できないはずの3本目の列車を突っ込ませてしまい、信号上は信号所の停車側と通過列車の2本しか入れないため、身動きが取れなくなったトラブルがありましたが、これも3本目の進入を防止できる機能が無かった、マニュアル操作で入れないはずの列車に対する進路設定が可能だったという「バグ」がありましたが、今回もそれに類似したトラブルに見えます。(篠ノ井線のケースは物理的には信号所と反対側のスイッチバック引き上げ線とに都合2本置けば通過列車として3本目を通せるが、信号上はそれに対応していない)

川越線は事故発生の数時間前に強風に伴う見合わせがありダイヤが混乱していたのでしょうが、だったら余計にミスが発生するリスクがあるわけで、非定常作業のリスク回避手段とか、作業標準全般を含めた見直しが必要ですね。それと、続行ですら在線中の次の閉塞に進路は構築できないのに、しかもそれが対向列車なのに進路が構築できるというバグ。これは一刻も早く改修が必要です。


嫌悪感で閉ざす未来

2023-03-03 20:39:33 | 時事
徳島県の県立高校が給食にコオロギを出したと批判されていますが、まず話の前提を誤解したうえに、周囲に批判が無いのに部外者が焚き付けるという典型的なネットの「歪んだ正義感」による炎上になっています。

まずこの事例、「食物科」がある高校での専攻の一環としての給食ということ。コオロギ、といっても長野県におけるイナゴのように姿が残っているのではなく、コオロギを粉末にしたコオロギパウダーを使った料理であり、言ってみれば石油タンパクなどヴィーガン食でお馴染みのフェイク食材の延長線ともいえるものです。その意味では「食物科」の授業としての食材であり、給食としての食材ではありません。工業高校で「危険な」工具や薬品類を扱っていたら危ないじゃないか、と周囲が炎上させてきたような話です。

炎上させてきた連中は安全性を盾にしていますが、まず基本的に毒がある、アレルギー対象というのであればイナゴと同レベルでしょう。そして食用として飼育されてパウダーが既に商品(食材)として上市されています。エスニックだなんだと言って現地の食材を使用するのとレベル感は一緒であり、結局は「コオロギ」ということで昆虫食への嫌悪感を押し付けているわけです。その意味ではタイや韓国、また日本の一部地域に現実に存在する昆虫食の風習への「差別」ですよね。性的指向に関しては嫌悪感を顕わにしたら人権侵害として罰するべきだと鼻息が荒い人が、昆虫食に対する「差別」は容認するんでしょうね。

嫌らしいのは無関係の事象を持ち出して否定すること。酪農が大変な時なんだからコオロギよりも牛乳を、という主張は、一見もっともらしく見えて何の関係もない話です。なんでコオロギなのか、というのも、蛋白源の確保という話ですからね。鳥インフルエンザに豚熱(豚コレラ)と畜産方面での資源減少が顕在化し、国際問題で輸入飼料の暴騰、さらには資源保護の概念の欠片もない水産業界による魚介類の採り尽くし、という動物性蛋白質に関する八方塞がりの状況を踏まえた「コオロギ」です。誰だって霜降り肉や大トロが食べたいですよ。でもこうした原材料も考えないといけない。さもなければヴィーガン食のように科学的に合成された「人造肉」で我慢するしかないのですから。

食用コオロギにかかる飼料やエネルギーを考えたら割りが合わないという批判も、まず飼料をそのまま摂取しても「動物性蛋白質」の摂取にならないということはどうしようもありません。牛豚鶏などの畜産業にしても、光熱費や輸入飼料、さらには人手もかかるわけです。そうしたトータルコストで比較せずにつまみ食いで批判するのも、嫌悪感の正当化に過ぎません。「安全」を振りかざすのも、遺伝子組み換え食材の排除といった「かもしれない」レベルの可能性の憶測と同じでしょう。ちなみに遺伝子組み換え食材が普及して何十年も経ちますが、何か問題は起きたでしょうか。そういう話です。

最悪なのは動物性蛋白質の「奪い合い」に負けた我が国がどうなるか、ということです。コオロギを食べればいい、ではなく、コオロギパウダーの入手も出来なくなる事態です。嫌悪感による反発でコオロギパウダーの国産化すらできなかったら、必然的にそうなりますからね。水産資源があるじゃないか、と躍起になって否定する人も少なくないですが、とりわけ近海と淡水での漁獲高が激減しているという現実が見えていません。ちなみに近隣諸国による「沖獲り」が原因と主張している人も多いですが、日本の漁獲高減少は他国原因ではないというのがデータを読めば明らかですから。「真っ当な」蛋白源は採り尽くし、畜産も海外依存、コオロギすら手に入らない、となったらどうなるのか。ヴィーガン食の原材料である植物由来の物質ですら輸入に依存しますからね。食糧安保と言ってる割りに、何も考えていない国の現実です。