Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

合理性のない使えない緩和

2021-11-09 21:23:00 | 時事
11月8日から水際規制が緩和されましたが、まあこれほど評判の悪い「緩和」も珍しいです。
欧州での感染拡大が止まらないなか、外国人の入国を緩和ということへの批判に、逆に短期出張で行き来する日本人からは使い勝手が悪すぎる、という批判と、入れるな、入れろ、という両翼からの批判です。

大前提としてワクチン接種(日本が承認している銘柄に限る)が完了している人が対象で、搭乗前と入国時にPCR検査を受けているのですが、ブレイクスルー感染は確かにありますが、その前提であっても規制するというのであれば何もできません。少なくとも当該国やその周辺で未知の変位種が流行していない限り、防疫の意味は小さいです。

条件等を見ていると、留学生と技能実習生、特に技能実習生の入国を意図していることは火を見るより明らかで、受け入れ責任者の設定や行動管理、空港からの移動など、団体行動であれば腑に落ちる規定が並んでいます。
要は悪名高い同制度に頼り切っている業界の要請に応えただけのエセ緩和でしょう。

14日間の自主待機の短縮で本当に意味があるのは短期滞在者と帰国者(外国への出張者、本帰国者、一時帰国者)であり、短期滞在者と一時帰国者は短縮されないと意味がないわけです。(日本に生活基盤がある出張者、本帰国者は10日ないし14日でも実はそこまで困らない)

特に日本人の一時帰国がこれではまだ困難なわけで、ワクチン接種と検査を経ても、なおワクチン接種がない時と同じ規制というのはどうなのか。筋が通らないのです。検査実施による10日間への短縮にしても、自費検査でしかも実際に「放免」されるのは11日目の午後以降と目されており、コスパが悪すぎます。

防疫という意味では自主待機は一時に比べるとだいぶマトモに行動や居場所を把握するようになってはいますが、まだ穴があるわけで、だったら他国のように自己負担で3日間程度のホテルでの隔離検疫を行い、そこでの検査結果をもって放免と出来ないのか。(一時期の検疫強化の前段部分を自己負担で実施)
ワクチン未接種はその後7日(実質8日)ないし11日の自主待機にすれば、ワクチン接種が検疫上無意味という事態は無くなります。

あるいはタイのように簡易検査キットを配布し、隔離検疫明けの一定の日数経過後に自分で検査してその結果を報告する、というフォローでもいいでしょう。どうせスマホのアプリで管理するのですから(スマホが無ければ有償で強制的に借りさせられる)、検査キットの表示を撮影して送信する、という流れです。

あと、今回の「緩和」が個人行動を全く想定していないのは、空港から待機施設への移動のみならず行動計画に従った行動中もタクシーを含む公共交通機関不使用の条件。留学生や技能実習生のように寮に移送すれば無問題、という状況を想定しているわけで、個人のビジネスマンの行動には全くあっていません。

ハイヤーか専門の対策済みのタクシーは可、とありますが、じゃあ約1週間クルマをチャーターするのか。一方で食事に出るのはOKとか(会食の場合は出席者の2週間経過観察とこれまた厚巻き)、社用車や自家用車での移動はできるとか、既に破綻をきたしている感じです。昨年のビジネストラックの要領には無かったはずですが、座席指定制の公共交通機関は利用可能とありますが、新幹線駅や特急停車駅、空港と目的地、待機施設との間の移動はどうするのか。非現実的にも程があります。実際には「来るな」「帰るな」と言っているに等しいと評した人がいましたが、まさにそうでしょう。しかも日本人相手にですからたちが悪すぎます。