Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

リスク対応に大きな課題

2021-11-01 22:45:00 | 交通
総選挙の開票速報に割って入った京王線の事件、刃物男だけでも恐浮ネのに地下線内で車両に放火と、最悪の事態もあり得ただけにこの程度の被害で済んだだけ幸運だったというしかありません。(重体の方がいますが)

現場となった車内で動画を撮影していた人がいますが、その人も含めて退避すべき状況での撮影は感心しません。最近電車の駅間抑止で駅まで誘導といったときに必ず動画を撮影している人がいて、メディアも撮影している人を探すというのが定着していますが、一刻も早く避難する、無駄な動きをしない、という意味では撮影は禁止すべきであり、実際爆発炎上などの危険性が高い航空機の緊急避難時には撮影禁止と安全周知ビデオで流しているケースもあるわけで、鉄道に限らず緊急避難時の撮影禁止は制度化を考えるべきでしょう。

何とも身勝手な犯行ですが、ハロウィンの仮装をしていたというのが気になるところです。直接的には刃物や可燃物をカモフラージュしていなかったとはいえ、ハロウィンの仮装で悪ふざけか、と当初勘違いする人が出たようでもあり、仮装を規制する方向に向かう可能性もありますね。渋谷のバカ騒ぎが「変態仮装行列」と揶揄されているわけで、仮装を規制する方向性が一定の支持を集めるのが間違いないですから、今回の事件を奇貨に規制論が出てくる可能性は否定できません。少なくとも公共交通での仮装は制限が入る可能性が強まります。

一方で鉄道会社の対応も首をかしげるものがあります。
今回新宿行きの特急が犯行の舞台になりましたが、調布を出て犯行が始まったタイミングではまだ次の布田を通過していません。件の動画でもよく見ると駅を通過しているシーンが映っており、タイミング的には停車できなかったのか。
布田はホームドアがフルスクリーン式なので敢えて国領まで走ったという話もありますが、であれば車内で火の手が上がったこともあり、トンネル内火災の原則として地上まで走り切るべきでした。あと900mで地上駅の柴崎であり、ホームドアもありませんから。

国領で緊急停車した際にドアコック操作でホームに出た、と思いきや、窓からの脱出です。下降窓ですからかなりの段差。不幸中の幸いは高い位置で窓を乗り越えたことでホームドアも乗り越えられたことでしょうか。
しかしなんでドアコック操作が無かったのか。そして停車位置がずれたというのも。なぜ小移動して補正しなかったのか。
NHKのニュースでは安全の問題もあり積極的に案内していない、という京王のコメントを紹介していましたが、それは絶対におかしいでしょう。ドアコックが周知されていなくて大惨事になった1951年の桜木町事故。翌日には車内に急ごしらえの案内は掲出されるようになったわけですが、ドアコックといえば桜木町事故、というくらいの関係です。

窓が満足に開かない車両も多いわけです。換気の条件だけ満たして人が出ることが出来ない内開きとかが普通にある中では、緊急時の避難にはドアコック使用による車外退避が必須です。停車位置の修正をしなかったことと合わせて、緊急時の取り扱いに重大な問題があります。形式上は充たしていても、実際に事件事故が発生すると露呈します。

ホームドアの非常時の取り扱いの周知も必須です。今回おそらく初めてホームドア設置駅で事件事故による緊急停車になったと思われますが、地下線での車両火災発生時にホームドアをどうするか。窓からホームドアを乗り越えて脱出、というのが正解というのはありえません。布田のようなフルスクリーン式だとどうするのか。線路側からはどのホームドアも簡単な操作で空くようにしてそれを明記していないといけません。同時に周知も必要です。そうでないと「令和の桜木町事故」が起きてもおかしくないからです。

犯人が悪いのは当然ですが、鉄道会社の対応に重大な懸念を感じたことも確かです。早急に各社水平展開して対応を取るべき事象です。




野党共闘で積極的忌避の復活

2021-11-01 22:43:00 | 時事
総選挙は大方の予想を覆す結果でした。政権与党は、自民が当初大物議員が選挙区で続々敗北という事態にやはり大きく議席を減らすのか、と思わせましたが、終わってみると単独で絶対安定多数確保と、改選前から見たら減少ですが決して悪くはない結果、というかこの地合いで地味な新総裁の初陣というハンデを考えたら、「勝利」と言っていいでしょう。
与党の片割れ、公明は議席を増やしており、政権、政策への否定はさほどなかったと言えます。

この大逆転とも言える結果を「演出」したのは立民ですね。100議席を割り込む減少は敗北、いや、「大敗」と言ってよく、直前の補選や都議会選の状況を考えると、政権への批判が相当渦巻いているのに全く取り込めないどころか逸走したわけです。
明らかに野党共闘と称した共産との共闘が大失敗だったわけで、政権批判の受け皿が維新、国民と、消去法で仕方なく自民という、政権批判よりも立民忌避が強いという悲惨な結果に終わりました。

共産との共闘は総てダメということも無いのですが、お互いの強みを引き出せていない、有権者にアピールできていなかったわけです。ただでさえアレルギーが強い組み合わせですからお互いにきちんと不安を除去する説明が必要なのにでそれが出来ていなかった。政策をきちんと提示出来ていれば共産アレルギーを緩和で来ていたのに、出来ていないから「立憲共産党」になるという批判を跳ね返せなかった。作戦ミスというか作戦が無かったことが敗因です。

そもそも有権者の間に旧民主党に対する積極的忌避が根強いのに、左傾路線を深度化させることで有権者の信頼をさらに失い続けていたところに今回の共産との共闘は無謀でした。二大政党制とか言っていますが、立ち位置は昭和後期の社会党のそれに重なってしまったわけで、あと数回で社会党同様の末路が来るでしょう。立民の看板がマイナスに作用するという意味では茨城で元建設相が初の選挙区敗北を喫したことがその象徴で、疑獄で自民党を離党して復党の声もかからないのに無所属で勝ち続けていたのに、今回立民からの出馬で選挙区で落選というのは立民の看板がマイナスだったわけです。

共産も選挙区こそ議席を守りましたが、議席獲得の太宗である比例ブロックで減らしているわけで、コアな支持者層からは立民との共闘に少なからぬNoが出たと言えます。その意味では立民、共産ともに誰得の共闘になってしまった格好です。

批判票を集めたのは維新で、大阪の地域政党から一皮むけた感じです。ただ大阪での更なる掘り起しと、兵庫など周辺県への浸透がメインという現実もあります。それなりに増やした国民もそうですが、対抗馬が左傾化著しい状況では受け皿がないわけで、維新が票を集めなければ立民一人負けもあり得たでしょう。
維新の改革屋マインドは決して国民にとって歓迎すべきものでは無いと思いますが、今回は後世から見たら大きなターニングャCントになるかもしれませんね。今世紀初頭に社民党が「本当に浮「ことは、最初、人気者の顔をしてやってくる」と小泉政権を批判していましたが、マキャベリズムとャsュリズムの権化とも言える維新の「人気」はもう少し考えるべき事態です。まあ日本人は「維新」「改革」という言葉に非常に弱いという問題があるだけに。

泡沫系は明暗を分けたわけで、社民は1議席を守るのがやっと。れいわは議席を増やし、NHK党は議席を失いました。
社民はもう個人プレーに頼っている状態なのに対し、れいわは左派系の受け皿になった面もある感じ。維新の左派版という感じもありますからね。NHK党は4年間何をしたんですか、という実績ですから当然の結末ですが、NHKの受信料問題などについてNHKが信任を得たと勘違いすることは必至であり、有権者の期待を大きく裏切ったことは非常に罪深い政党です。

「大物」の選挙区での落選も、全体で見たらそれがドミノを引き起こしているわけでもなく、個別事情が大きかったとか、世代交代を促された面が強いでしょう。まあ東京8区の元幹事長は「大物」というより「小物」ですが・・・
現職幹事長の「落選」はインパクトが強く、もう幹事長を変更するようですが、本人の選挙はともかく、自民としては「勝利」であり、辞める理由は実はないんですけどね。メディアが「自民敗北」を強調するから「絶対安定多数確保」の結果が見えなくなっています。まあ岸田総裁の独自色が相当後退を余儀なくされることは間違いないでしょう。前政権までの系譜は安定してますから。

ちなみに今回の選挙は戦後3番目に低い投票率だったわけです。メディアが意図する結果になるかどうかはともかく、投票を呼び鰍ッる啓発報道を繰り返したのにこの結果というのはどう評価すべきか。
世代別の投票率が今後出てきますが、若年層が結局低かったとなれば、将来を結果がどうであれ白紙委任したことになるわけで、将来どうなっても「自己責任」というしかありません。

あるいは若年者が投票を伸ばし、別の世代での低下が目立つという「入れ替わり」だとしたら、自民党への支持は若年層が多いというこれまでの傾向が今回も出て来てると思われるわけで、メディアなど左派勢力が若者の投票を呼びかければ呼びかけるだけ自民が議席を伸ばすという「ジレンマ」に陥りますね。これも立民の自爆の面が強いですが。