Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

いきなりの大規模クラスタ

2020-12-20 16:43:00 | 時事
Covid19を収束させたとみられていたタイが首都のおひざ元でとんでもない事態になっているという話が入ってきました。

11月末から北部チェンライで国境を接するミャンマーのタチレクという街にあるまあタイからの観光客目当ての歓楽ホテルのタイ人従業員が密入国の形で帰国して感染を持ち込んだとして大騒ぎになりましたが、チェンライ県などで大規模な検査を実施して封じ込めたと宣言があったのはつい先日です。この騒動で北部の観光と言えば、のチェンマイも感染者が立ち寄ったということもありホテルのキャンセルが続出するという事態になっています。

この密入国者由来の感染は北部以外にも散発的に発生していましたが、利用した飛行機や立ち回り先が判明してトレースできており、市中での感染拡大にはなっていませんでした。

ところが18日の金曜日にバンコクの南西に接するサムットサコン県でエビ卸業の感染が発覚し、海外訪問歴もないことから、仕事場のマハーチャイ市場を封鎖して検査を行ったところ、昨日19日土曜日の深夜になって当局が548人の感染を発表という異常事態になりました。

ここも労働者の多くはミャンマー出身で、感染者の大半はミャンマー人とのことで、無症状が9割だそうですが、バンコク市内から飲食店関係者が仕入れに訪れることが多い市場での集団感染、既に市内から仕入れに行った人の発症、感染も判明しており、今後はバンコク市内でも大規模検査による把握が始まるでしょう。

これ、一般的な空路での帰国者、入国者ですら20人前後の感染者が最近は出ているわけですが、こうした労働者の入国体制はどうなっているのか。Covid19の感染拡大初期にはマレーシアからの入国者につき南部の陸上国境で感染確認とかニュースがありましたが、対ミャンマーの国境検疫体制がザルだったとしたら洒落になりません。(おそらく陸路でしょう。西部の国境からマハーチャイまで延々と走るバス路線もあるくらいですし)

バンコク市内、行政的には「バンコク都」に接する県でもあり、都県境を越える市内バスもけっこうあるだけに、流動も多いです。有名なメークロン市場へのアクセスにもなるタイ国鉄でマハーチャイまで1時間弱、クルマだと都心からでも1時間程度でしょう。

昨夜の発表と同時に、県境越えの移動規制(外国人は禁止、タイ人も許可制)、22時・時の夜間外出禁止令、飲食店の店内飲食の禁止(モールと病院を除く)、娯楽施設の閉鎖と対応が発出され即日施行されていますが、バンコクの「首都圏」でもあり、月曜からの通勤をどうするか、という人も少なくないでしょう。

今回の発覚までは全国で今年初めの感染者数の初確認以降累計で4300人強、死者も60人と抑えきっていただけに、過去全国での総感染者数の12%を超える今回の集団感染発覚は衝撃です。日本で考えれば、感染者比でいきなり1万人規模のクラスタ発覚というイメージです。

ただ、非常事態宣言が出しっぱなしになっていたことが不幸中の幸いで、深夜の発表で夜間外出禁止令を即日施行(要は1時間~2時間前の発表)とか、このスピード感は驚きです。また北部でもそうでしたが、クラスタ対策としての検査の規模やスピードも違うわけで、数日で全数検査に近い結果を得る体制になっています。

ただ問題は各種規制が全面解除されてから既に5ヶ月以上。Covid19は過去のものという感じで緩むとかではない状況でしたが、この急転直下について行けるのか。公共の場でのマスク着用はそれこそ欧米系の外国人を除けばほぼ徹底出来ているのが救いですが、一番規制が厳しかった4月頃の意識に戻れるのか。今後の感染拡大と合わせて気になるところです。

現地にいる在留邦人にとっては、日本側の感染拡大に1月からの航空便の運行再開が無駄になるのでは、と懸念が広まっていたそうですが、それどころではない事態になりかねません。
日本人も欧米人に次いでマスクしない率が高いとも聞いており、自粛要請の日本国内を尻目に忘年会などを楽しんでいた矢先の急転直下ですから。

そう、対岸の火事が飛び火ではなく、いきなり足下から出火したのです。