Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

信頼と体面の対価

2015-07-17 00:23:00 | ノンジャンル
新国立競技場の建設問題は白紙で考え直すと首相が表明しました。
高額な建設費に対する全国民規模の批判に応えた格好であり、納税者目線では歓迎すべき事態です。

一方で前から指摘している通り、2020年東京五輪のメイン会場としての位置づけはどうなのか。招致活動の「決め手」とも言える「未来都市」を具現化したような奇抜なデザインを反故にすることは許されるのか。日本という最先端国家が打ち出した未来のフォルムは何だったのか。
首相が「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」と言ったのではなったのか。

奇しくも組織委員会長の森元首相が産経紙上でのインタビュー記事で思いの丈をぶちまけていますが、概ね正論じゃないですか。
「神の国」発言以来、森元首相と言えば悪者に仕立て上げ続けたメディアの一連のレッテル張りに乗っかった形で、森といえばラグビー、2019年W杯のごり押し、というフレームアップに対する苦言はまさにその通り。記事で2019年W杯は切り離していい、と言っていた通りになりましたが、ラグビーばかり気に取られていて、2019年のプレ五輪を忘れているようです。W杯を切り離しても「2019年問題」はあるわけで、ラグビーがこれ以上の「濡れ衣」を避けて関係を絶ったいま、責任を擦り付ける相手もなくなった状態です。

だいたい、ラグビーW杯の条件は収容人数6万人であり、現状と同じくサッカーへの対応で8万人規模にしたわけです。その意味ではハコを大きくしたのはサッカーの事情ともいえますが、だんまりを決め込んで、出来上がったらフルに恩恵を受けるのでしょう。

我が国の首相が「確実な実行が確約されている」と大見得を切ったのを反故にするのです。
元首相の記事でもそこを重要な論点にしているわけです。日本が勝ちあがるとルールを変更してでも阻止するような陰険な国際スメ[ツ界に対して、これ以上はない餌を与えることになるのですが、そこまで考えているのか。
東京都の無責任さへの批判もまさにその通り。おんぶに抱っこでケツまで拭かせていると言うのに、逃げ腰の上に他人事のように批判する。話になりません。

元首相は「メンツの問題」と言っていますが、国家の体面であり、品格の問題ともいえます。
白紙にするのは簡単ですが、「国際公約」、しかもコンペの場での公約を反故に出来るのか。
当初予算比での増額分の1000億円余りを惜しんで失うものは幾らなのか。宴に浮かれている我々はこれから様々な問題に直面するはずですが、もう逃げられないのです。



事の本質を素直に考えれば

2015-07-17 00:21:00 | 時事
安保法案反対のアジビラと化している朝日ですが、今朝のオピニオン欄には珍しく傾聴に値する意見が出ていました。
論点の本質は「日米同盟」なのに、野党もその議論から逃げている、という趣獅ナ、要は同盟国の互恵により助けてもらう保証を得る、と言うのが法案の本質と言うか本音では、という指摘です。

これ、実は重要な指摘であり、「国民の理解」を錦の御旗にするのであれば、その法律の必要性を平易に説く必要があるわけで、事の本質は実は単純なのですから、それを問うべきです。
論者は日米同盟にネガティブな印象、つまりこれを機に日米同盟の是非を問うべき、という発想が見え隠れしていますが、野党がそこを突かないのは、日米同盟を否定しても大丈夫、というビジョンを示すことが出来ないという指摘も、だから日米同盟に代わる安全保障を、というのではなく、そもそもそれが不可能あるいは途方もないコストがかかると誰もが理解しているがゆえの話であり、そこを論じたら安保法案を否定できなくなるということでしょう。

他国に頼らない安全保障を実現するには自主防衛路線しかなく、それは莫大なコストと人員の確保が必要であり、資金と人材が拘束されます。
さらにはそれこそ安保法制反対派の多くがシンパシーを抱く「アジア諸国」こと「近隣諸国」の警戒を招くわけです。
その意味でも米国との同盟で「外注」すると言う選択肢は、我が国にとって最善といえます。

さらに国際社会の一員として、かつ影響力のある大国としての義務はATMのように援助を出すだけではなく、汗も流せば場合によっては血も流す必要があります。非常に厳しい話ですが、それは避けて通れないのです。米国との互恵、国際社会の連携としての軍事活動(補給や哨戒、相Cも立派な軍事活動です)をどう果たしていくのか。足下の課題はまさにそこにあります。

問うべきは、憲法を盾にそこから逃げるのか。そしてそれが何を招くのか。保険料を滞納したら補償を受けられませんが、それでいいのか。
憲法がネックなら何をすべきなのか。本来的には憲法改正ですが、緊急避難的な対応としては、統治行為論に基づくが、行政府の暴走を縛るために安保法制を主権者に選ばれた立法府が整備することで、主権者が容認しているスキームにすることです。

いやいや、軍事同盟なんかいらない、外交努力の時代だ、と叫ぶ平和団体やメディアも少なくないですが、外交努力だけで、というのは「9条があれば平和が守られる」と言うのと同じです。
持ち家で火災保険を鰍ッずに、厳しく火の用心をしているから大丈夫、で問題ないのか。不慮の失火、類焼の時にどうするのか。保険がなければ丸損ですが、それで良いというのが「外交努力」派の主張です。

保険をどう鰍ッるのか。事の本質は案外そんなところなんですが。