Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

非常識な隣人と甘すぎる外交

2015-07-06 22:46:00 | 時事
他社と仕事をしている時に、仕事の内容に応じたレベルの「トップ(ボス)」同士が顔を合わせる、というのは、基本的に事務方での作業が完結して、いわゆる「シェイクハンド」になるときです。その後に及んでなお議論を重ねる、というのは普通考えられない話であり、唯一あるとすれば、何かの申し入れをする際に「はじめの一歩」として訪問すると言ったケースですが、それとて話がまとまれば最後は上記と同じ流れになります。

それは一般常識であり、ビジネスのみならず外交など渉外一般の常識だと思っていたら、それが通用しない国があるとは驚きました。
言わずもがなの世界遺産を巡る隣国の対応ですが、外相レベルで「話がついた」はずなのに混ぜ返してくるのですから驚きです。外交常識を弁えない、いわば非礼とも言える対応ですし、これが罷り通るのであれば、外相の口は全く信用出来ない、と「交渉相手とせず」となってしまいますが、あの国は例え大統領が「合意」しても混ぜ返すリスクが大きいわけで、何とも悩ましい話です。

一方で絶対に検証しないといけないのは外務省が何をしてきたかです。
「合意」は本当だったのか。玉虫色の決着を図ったことで解釈に差が出てきたわけですが、それが止むを得ないとしても、玉虫色の決着とする、という言質をきちんととったのか。単にお互いが都合よく解釈して、日本がやり込められただけではないのか。だいたい、向こうの世界遺産に賛成して、こちらは梯子を外されたのがその象徴ですが、思い込み、楽観に囚われていたのでは。

時間が無いなかで強引に無理筋を押し込んでくる、というのは、いわゆる従軍慰安婦の問題で我が国首脳が必ずしも真実でない情報を根拠に謝罪やら声明やらを発信してしまった過去の二の舞です。朝鮮半島を含む我が国全土に施行された国民徴用令などの労働力動員の法令に従った動員がドサクサ紛れに「強制連行」となってしまいかねない話になっていますが、そもそも一貫して認めてこなかったロジックを政府として認めるという事態を見るに、また歴史が歪められる危険性を強く感じます。

既に次回の候補に名乗りを上げようとしている佐渡金山に対し、「強制連行」があったと釘を刺す動きが隣国の政府から出ていますが、我が国としては、「歴史の事実に基づいて対応する」と淡々と反応すべきでしょう。不幸な歴史ではありますが、我が国の「国民」総てが戦争遂行の目的で徴用されたのであり、「人狩り」的なイメージを持つ「強制連行」では無いのです。もちろん、低賃金で事実上本人の意に反して遠隔地で労働させられることは「苦役」ですが(首相は徴兵を苦役としていますから、兵役に徴用されるのと産業に徴用されるのも「苦役」と看做せる)、自国民に対する「徴用」は強制連行とは言わないのが国際慣行です。(徴兵制や社会主義経済の国家がありますからね)

慰安婦問題と一緒で、当時は合法であったが、今の法律、倫理観に照らし合わせると問題であり遺憾である、というのが最大限の譲歩でしょう。
それ以上でもないですし、それ以下でも無いでしょう。それ以上は一歩も譲歩しない。「歴史の事実は斯く斯くであり、でも現代の人権意識から見ると遺憾であった」ということです。

それくらいは平然とすべきですが、今回の対応を見るに、外務省がそこまでできるかは期待薄ですし、それどころかどっちの国の機関なのか、という動きをしかねないという強い懸念があります。