Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

利用者不在の大キャンペーン

2015-07-21 09:03:00 | 交通
またぞろ「エスカレーター歩行禁止」キャンペーンが始まりました。
CXのニュースショーでは、「禁止」と言っていますが、法的根拠もないわけで、それこそ「何を根拠に」という話で視聴者に刷り込みを図っていますが、毎年実施して実効性が上がらないことから、監督官庁あたりがメディアに強くプッシュしているのでしょう。

ニュースショーではエスカレーター(ES)での転梼膜フがこんなに発生、と数字を挙げていましたが、では通路、ホーム、階段における歩行中の転梼膜フは何件あるのか。歩行中事故におけるエスカレーターの割合はどの程度なのか。最初に結論ありきの数字のつまみ食いのように見えます。

そもそも「歩くより遅い」ES「しかない」駅が問題なのです。階段があってもESにより狭くなっており、事実上上りはES、下りは階段という駅も少なくありませんし、そもそもESしかない駅はどうするのか、という問題を置き去りにして毎年キャンペーンを繰り返してきた交通事業者の不作為をまず問うべきでしょう。

何回も言っていますが、片側空けを制度化すべきなのです。制度化して整然と並べば事故は減るはずです。現状は自然発生的な慣習だから、「歩行側」に並んでしまいやむなく歩かされたり、左右混在することで無理な歩行が発生して事故るのです。
キャンペーンが殊更に持ち出す「逆側にしか立てない」人もいますが、それはあくまで例外。そういう人がいたら我慢する。そこは立ち止まって譲り合う、というだけの話です。それを、「弱者」を盾に押し付けるのは本末転唐ナす。

なかには両側立ちのほうが処理能力が高い、という珍説を披露する方もいますが、小学校6年生レベルの算数の文章題も覚束ないことを自白しているようなものです。片側立ちで片側だけ列が残っているなら両側に立てば、というのは、片側だけに立っている時点では、すでに多くの人が歩いて上がってしまっているということを無視しているのですから。

別のものを持ち出すのは議論としては良くない話ですが、駅構内での事故防止という意味では「歩きスマホ」など携帯情報機器の使用の禁止のほうが急務ですが、円滑な通行に何も寄与しない「歩きスマホ」には全くの及び腰というかアリバイ作りのようなキャンペーンで、円滑な通行を実現している「片側空け」は執拗にキャンペーンを張る、というのは実に不思議な話です。穿った見方をすれば、交通事業者にとって大口広告主である通信、ゲーム業界への「配慮」とも言えなくはないわけで、そうであれば安全より商売、ということが顕著に出ているのが、「歩きスマホ」と「片側空け」に対する交通事業者(および監督官庁)の対応といえます。

そしてESのメーカーやメンテナンス業界の十年一日のコメントもいかがなものか。ESは歩行前提で設計されていない。と言いますが、歩行による過負荷は設計上のアローワンスの範囲内でしょうし、そもそもESや「動く歩道」での歩行はそれこそ交通事業者等が奨励していた時代もあるなかで、メーカーは想定して設計していなければ、事故が発生した時に対応できないでしょう。「歩行は想定外でした」とは言えない状態ですから。

このあたりはベビーカーの電車、バス車内での使用解禁の頃を思い出します。
交通事業者は解禁を渋り、メーカーは「車内での使用を想定していない」と取り付く島がなかったのですが、時代はどう動いたか。そして設計云々と言っていましたが、どの程度強化して変更があったのか。メーカーは変更したと言っているようですが、要はダビデの鼻のようなものでしょう。

繰り返しますが、交通機関等の利用者にしわ寄せを招くキャンペーンは即刻中止してほしいものです。
歩くより遅い移動を強いると言うことは常識的に見てもおかしいのです。動かなければ事故はない、という「究極の安全対策」と同じであることに早く気付いて欲しいものです。