安倍政権は原発への依存度を引き下げるためには、「電力会社が新設する石炭火力発電」に置き換える腹つもりの様である。
2014年10月時点で国内に新規建設される「石炭火力発電」の規模は、25基で、発電能力は1346万kWに達する模様である。
これらの石炭火力発電は、2016年から稼働が開始され、2020年頃には増設が次々に稼働して、ピークに達する。
現在は「天然ガス火力発電」が、化石燃料使用では[CO2排出]が一番少ないレベルだが、【石炭火力発電】は最新技術の設備でも、2倍以上の排出になる。
安倍政権は、2012年に閣議決定している「2050年に80%削減」の目標には、完全に逆行する政策に転換してしまった。
何故、この様な愚かな選択をするのか、理解に苦しむ「無神経さ」であるが、どうやら、円安誘導による「化石燃料費用の膨大な増加」が、経済活動の足かせになる、との景気後退恐怖心からであろう。
なにしろ、現在の世界情勢では、石油の高どまり傾向は今後も続くし、中国などの動向次第では、さらに価格が上がり続ける。
天然ガスも、アメリカ産の輸入の目途は立たず、値上がり傾向は避けられない。
そこで、もっとも価格が安定して安価な石炭火力に依存した、電力構成にしようと目論んでいる。
だが世界の「地球温暖化対策の強化」は、待ったなしの動きになっている。
EUは世界に先駆けて、2030年には1990年比で40%の排出削減を目標にすると決定した。
この目標実現に向けて、「再生可能エネルギー」の更なる普及促進政策を打ち出す準備を、着々と進めている。
日本の安倍政権は2030年に20%程度の削減目標を掲げるだけで、それも、実現は危ういので、国連での削減目標の提示を先延ばしを図っている。
石炭火力発電を大増設した後での削減は、[CO2の地下貯留]が技術的手段となっているが、現在の段階では技術的には可能でも、処理施設にかかる経費は大きく膨らんでしまう。
石炭火力発電だけなら安価な電源といえるが、[CO2の地下貯留]の設備を後処理設備として併設すると、発電コストは2倍に膨れあがる。
短期の電源として石炭火力に置き換えた後は、神の助けを請うしかない様だ。