庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

大都市集中の国創りを止めるのに反するリニア新幹線。

2014-10-18 | 快適エネルギー社会問題

JR東海の経営陣は、将来に負の遺産を残す懸念がある「リニア中央新幹線」の工事を、来年にも開始する計画を暴走気味に走りだした。

安倍政権は遅すぎる転換であるが、「地方創生」を最重点政策に掲げる。

都市部の経済ばかりが発展しても、国が衰退する流れを止めることはできない。

豊かな地域社会こそが、日本の特質が活かした文化を熟成させることができる。

大都市の間を高速で結ぶことで、高度経済成長時代の夢を追いかける旧時代人間には、地方創生の意義が全く判っていないのだろう。

 

現状のままの人口減少が進むと、地方の経済的な衰退は加速して、半分近くの自治体は消滅の危機に向かってしまう。

この人口減少に対して、「国民の94%が望ましくない」と答えている。

「人口増加するよう努力すべき」33%、『減少幅が小さくなるよう努力すべき』は23.5%、「現在程度の人口を維持すべき」は18.6%である。

国民の75%が人口減少に最大限の対策をするべきだ、としているのだ。

安倍政権は、まずは「地方創生」の旗印を掲げて、人口の増加の役割を地方の人たちに期待をかけるしかない。

 

大都市圏の生活環境は、金銭的、利便性には優れていても、子育てには適さない環境で、東京都などは、出生率1.27の平均値をはるかに下回る。

この様な一極集中的な経済発展が、人口減少に拍車をかけたのは明らかである。

それにも拘わらず、2007年に「JR東海の経営判断」で、全額を自費で建設する「リニア中央新幹線」の計画に突入したのである。

この時期にはすでに人口減少は深刻になっていたのだが、JR東海にとっては、

「リニアは東海道新幹線の別線」というのが、本質的な性格だ、と説明する。

大動脈の東海道新幹線が、津波や地震の災害で、マヒした場合でも、「リニア中央新幹線」があれば、経営が続けられる、という理屈である。

 

しかし、JR東海の経営問題よりも、日本の人口減少対策の方がはるかに大きな問題で、最優先されるべきである。

それならば、第二新幹線(東海道かどうかは別)の計画をあたって、これからの国創りの方向に沿って、地方創成に向けた適切な交通インフラにすべきだ。

リニア方式では、停車駅を最小にする必要があって、品川~名古屋間には、わずか4駅しか設置しない。

しかも、その駅周辺は地域社会からのニーズとは、無縁の場所である。(続)