安倍内閣の建前上は、「再生可能エネルギー電力」の『最大限の導入』に取り組む、と国民に約束している。
しかも、2014年9月29日の「所信表明演説」では、その公約した政策に対して【徹底した】という強調の表現を付け加えている。
その同時期には、【九州電力の接続中止】の宣言が出されて、今後の再生可能電力の発電設備は、九州電力の送電線につなげて送電するコトが不可となった。
安倍首相がいくら国会で力んで叫んでも、今の状態では、九州では拒否される。
何故その様なことになっているのか、専門性のある話なので説明が難しいが、自動車の交通にとって、道路が不可欠であることを例えて説明してみよう。
従来の送電線を流れる電力を自動車として、送電線網は道路網と同じ役割になっている。
従来の発電所は、すべて電力会社が運転しているので、道路への出這入りや数量は電力会社の責任で、予測とコントロールをしているので問題はない。
ここによその電力が入り込もうとすれば、自分のところの電力を減らすか、送電線の能力を増強する必要がある。
つまり新たな自動車が入りだして道路を利用すれば、道路の容量がギリギリでは、渋滞が起きる懸念があるので、新規の自動車の乗り入れを止めるのだ。
道路のどの部分がギリギリであるかは、管理している道路保有会社のデータによるので、この場合は、送電線網は電力会社の社内機密だから公表しない。
九州電力は自社の発電量を流すのに必要な容量は確保しているが、よその電力を流す想定はしてこなかったから、容量はギリギリだと言い出したのである。
これに対して、外部の者が「もっと電力を流せる筈だから接続させろ!」と言っても【出来ません】の答えしかしない。
道路と自動車の例を上げたが、自動車の場合は渋滞を引き起こすかも知れないが、それでも、のろのろ運転で移動はできる。
しかし、電力の場合は容量をオーバーした電力を流すと、たちまち停電の事故につながり、多くの電力利用者が大迷惑を被る。
だから、電力会社の責任上では、絶対に停電事故を起こさない範囲の電力しか受け入れられない。
この様な事態に陥った責任は、『再生可能電力を最大限導入』と口先だけで言いながら、送電線網の拡充には何もしてこなかった政府にある。(続)