ここまで、このブログで「リニア中央新幹線」の工事認可と開始決定に、批判を書き続けてきたが、納得出来ない読者もいることでしょう。
日本の国民は、やはり世界一、世界初という新技術への夢と誇りを持ちたい等願望が強いのだから、当然であろう。
だが、これからは、世界の難問が次々と深刻化する上に、日本の人口減少という最大の国難が襲いかかってくる。
いままでの様な楽観的な予測と期待だけで、技術の進歩を盲信してはいけない。
あらゆる側面からも、リスクの大きさを予測して、対処しなければならない。
人口減少問題は、すぐには影響を予測できないし、対策もこれから始まる長期的な最大リスクであるが、ひとまず、次のリスクを検討しよう。
地球環境問題は、日本が[CO2排出]削減義務を負わなければならない、として、鉄道関係事業者の責任はどうなるであろうか。
JR東海の経営陣は、鉄道はもともと交通インフラの中では、省エネルギーであるから、これ以上の責任を負わないで済むと楽観的に見ている様だ。
これが、大きな判断の誤りで、大企業はすべて均等に、現段階よりも「2030年の削減目標」に向けて、最大限の削減義務を課せられる。
2027年開業時に、「リニア新幹線」の消費電力は、74万KWと想定されている。
環境省と大臣は、「これほどのエネルギー需要の増加は看過できない」と注文を付けたが、無視された様である。
それと東海道新幹線の消費電力、在来線鉄道の電力、施設の消費電力をすべて
現段階よりも半減させる義務が法律で課される公算が大きい。
その対策としては、省エネに加えて再生可能電力を購入するか、設備を自前で建設する必要があるが、その経費増をJR東海は検討もしていない様である。
国交省は、「開業時まで車両や施設の省エネ化が進む」とノーテンキぶりだ。
それならば、モラトリアム期間10年の間に、どの程度の進化が実現出来るか、既存の車両や東海道新幹線で省エネ実績を示して、国民に説明をするべきだ。
建設工事費の算出も、品川~名古屋間の工事費が従来の見積もり4.6兆円から5.5兆円に増加している。
短期間の間に、1.2倍に工事費が増加していることは、2027年の開通時までの工事費の増加が懸念されて、見積もりが大幅に狂うリスクがある。
さらに超金融緩和の終結時に、借入金利の大幅アップのリスクも想定すべきだ。