JR東海の経営者は、暴走気味の中央新幹線を、【リスクの検討を大甘にした計画】を、国土交通省の審査を通過させた。
将来の鉄道のあり方の検討もしないで、とにかく、世界最高速の実現に執念を燃やしている様だ。
しかし、次世代に残す重要な遺産であるから、拙速に決めてしまっては、【負の遺産】になりかねない。
もっと、謙虚な姿勢で科学的、合理的、人間的にじっくりと考える必要がある。
一度、頭を落ち着かせる狙いで、10年間のモラトリアムを設定するのが良い。
まず、なぜ2027年までに、名古屋までの中途半端な開業をいそぐのか。
2045年までに大阪までの全通を目標にするならば、工事の開始を10年間遅らせても、実現可能であろう。
その方が『負債の利払いを減らせる』ことができる上に、『工事費のコスト削減』や『車両・システムの完成度』を上げることができる。
JR東海社長は記者会見で、【様々なリスクの指摘を受けた答え】として、2027年の開業時期を変更することも考慮している、と答えた。
日本の国策が、「地方創生」に大きく転換する時期に、中央集権、大都市発展重視時代の「超高速鉄道インフラ」の大規模な拡大が必要なのか、再考すべきだ。
安倍政権は、当面の景気対策ばかりに頭が埋没して、2030年に向けた日本の重要課題が見えなくなっている。
成長産業と期待される「再生可能エネルギーの普及目標」を低めに設定して、民間の投資意欲を削ぐ「腰の引けた政策」ばかりである。
鉄道関係での投資を促すには、より一層の省エネ目標を目指すべきだ。
その目指すべき『将来のエネルギー戦略』に沿っているかが、今回の「第二東海道新幹線」(中央新幹線)の、基本的な審査の対象である。
国土交通省まかせでは、世界の中の日本の責務を果たすことができない。
さらに長期の将来目標として、2050年には、1990年比で、「温室効果ガス」の排出量を80%削減する義務が掲げられている。
実現には並大抵の努力では達成が困難であるが、この様な高い目標に向かって、国民全体で新技術と省エネルギー化の向かって行く事が、活性化になる。
その様な、全体の流れをしっかりと見れば、【リニア中央新幹線の計画】が、如何に無謀で逆行しているかが、ハッキリするだろう。