庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の指導層は発明を尊重しない頭の持ち主ばかりだ。

2014-10-07 | 快適エネルギー社会問題

日本人の学者3人が同時にノーベル物理学賞を受賞した。

経済停滞と地方の疲弊のニュースで暗くなりがちな日本社会に、一筋の光をともした大きな朗報である。

受賞の対象の研究は、世界で初めて日本人が発明して製品化が実現した「青色発光ダイオード」の研究である。

なかでも、徳島県の地方企業であった日亜化学工業の社員であった「中村修二氏の功績」は、広く世間にも知れ渡っている。

 

この中村氏の研究を支えたのは、日亜化学の創業者の意思で、実用化の困難な研究を辛抱強く見守り、ひたすら研究一筋の中村氏の研究環境を提供した。

その実用化には、日亜化学という会社の同僚も功績も評価されるべきである。

ところが、日亜化学の創業者の後を継いだ経営者は、中村氏の功績を評価しないで、特許権は会社のものだと主張し、中村氏へは2万円の報償金だけにした。

これが、「青色発光ダイオード訴訟」として、社会を賑わした問題の発端だ。

どんなに優れた発明でも、特許権は出願した企業の所有になってしまう。

 

世紀の大発明でも、その成果が企業の利益にとって明確に貢献できるまでには、長い期間が必要である。

だが「青色発光ダイオード」の発明と量産化は、日亜化学工業を一地方の中企業から、国際的に活躍する大企業に育つキッカケとなったのである。

はじめに、大元を開拓した研究者を大切に報いることが、企業の責任である。

中国の有名な戒めに『最初に井戸を掘った人の功績を忘れるな!』(小平の言葉)がある。

日亜化学の経営陣は、この大事な戒めをなんとも思わず、その果実の潤いを受けるだけで、高額の収入を得ている。

 

中村修二氏の訴訟は、地方裁判所の判決で200億円の報奨金が相当とされた。

高額な(企業利益はその3倍の600億円と認定)報奨金を支払いたくない企業側は上訴して争う姿勢を崩さない。

中村氏は、研究の時間を優先するために、訴訟よりも和解金で収め、日本の指導層を見限って、アメリカの大学で後進たちの研究指導に打ち込んでいる。

この訴訟事件で、日本の大手企業は、社員の発明した特許権は会社の所有と決めて、その報奨金の上限を制限する法整備を政府に要求した。

安倍政権は、その発明の土壌創りよりも、企業の利益保持の支援をしている。