原発の安全性は、国民の支持を得るのは、困難であると肝に命じるべきである。
産業界と電力族の「政官財癒着既得権層」に対する配慮からか、(いままでの政治活動資金源であったから)律儀に【原発再稼働】を口にしている。
だが、原発を抱え込んだママのエネルギー政策を採ることは、将来に政治的なリスクを負うことになる。
だから、原発に代わる安価な発電設備が早急に必要である、として、「石炭火力発電の促進」に突き進んでいる。
確かに、最新式の石炭火力発電は、発電効率も高いので、旧式な石炭火力よりも発電コストは安価になり、[CO2排出量]も2割近く削減される。
しかし、天然ガス火力発電よりも、[CO2排出量]は2倍くらいに増加する。
安倍政権は、将来のことは棚に上げておいて、とにかく当面のエネルギー、電力を安価に抑えて、経済活動への障害を除きたい一心である。
経済政策の第一の矢「超金融緩和」では、輸出企業だけが潤って、大多数の企業と国民は、円安による負担ばかりを増加して、不満が限界に達している。
だから、電力価格を抑えることに必死なのである。
だが、世界の情勢は安倍政権のモクロミとは、まったく違った方向に進む。
先日(10/20~25)まで、ドイツのボンで気候変動会議が行われていたが、それに先駆けて、9月23日ニューヨーク国連本部で各国首脳を集めた国連気候変動サミットが開催された。
国連総会の開催を1日遅らせても、このサミットを開催した意義は大きく、環境問題解決に向けた世界の期待値が高いことを物語っている。
京都議定書に続く枠組みを2015年末の合意を目指し、各国は意欲ある削減目標の提出を目論むが、日本は安倍政権の消極的姿勢で大きく出遅れている。
日本の削減目標は、2020年に2005年比で3.8%削減と、世界では最後尾の目標数値で、大きく批判をされている。
2030年に向けての目標では、『EUは志を高くの謳い文句で40%削減』である。
これに遅れては大国の威信にかかわると、アメリカと中国も前向きになった。
日本だけは、目標を示すことも出来ず批判をまともに浴びている。
その様な状況であるにもかかわらず、石炭火力発電の大増設で、逆向きに走っているのは、中国の様な石炭主力の発展途上国レベルに合わせるつもりか。
だが、石炭依存は将来には大きなツケが回ってくることは確実なのだ。(続)