日本でのバイオ燃料製造を目指して起業したベンチャー企業「ユーグレナ社」は、最終目標を太陽光の光合成で育つ「ミドリムシの大量培養」を目指した。
太陽光に恵まれて平均気温も高い地域を探して、候補地は沖縄県石垣島に「実験培養の設備」を投資してきた。
日本の公的資金の支援も受けて、10年間近い期間をかけて培養のノウハウを蓄積し、ミドリムシの食品事業などで成功してきたが、バイオ燃料はこれからだ。
大量培養には広大な土地と、大量の二酸化炭素が必要になる状況である。
日本の起業家が日本の支援を受けてチャレンジした事業であるが、結局、大量生産が必要になった時期には、太陽光と広い土地と温暖な気温が必要になる。
この様な条件を備えて土地は、日本で探そうとしても無理な話である。
他の方法による「バイオ燃料用の作物、藻類」を実験事業として挑戦している企業も、進展状況は報告されないが、成功するには、太陽光が不可欠である。
民間企業として事業性を追求したら、確実の「太陽光に恵まれた地域」を選定して、「安価で広大な土地」を確保しなければならなくなる。
この【成功への基本条件】を満たす地域は、日本国内にはない、と言える。
いくら日本の政府を支援して育成しても、最終的には大規模化する段階で、海外への投資をするしか、成功への道は開けていない。
成功した「バイオ燃料を日本に輸入」する契約にしておけば良い、と考えるのは甘い想定である。
石油の輸入依存から離脱しようとした「バイオ燃料製造国産化」は、到達点では輸入依存にならざるを得ないのだ。
この様な自明のことですら、日本の中央官庁は考えていないのだろうか。
いや、聡明な中央官僚たちは、そのことは充分に承知の上で、「光合成型植物の栽培と藻類の培養」に、研究支援の名目で税金を投入し続けている。
その理由は明確ではないが、当初の「エタノール燃料の国産化」の看板を掲げて、「バイオ燃料製造支援」の名目で継続することが肝要になっている。
エタノール燃料製造は、このブログでも紹介した様に、すでに「セルロースエタノール」の量産化に向けて、各企業の進出競争が始まっている。
バイオジェット燃料の分野では、一部の海外企業が先行しているが、詳細は公表されていない。
日本の政府は、いつまで、様子見をするつもりか、国民は何も知らされない。