庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

将来の脱石油戦略は迷走の段階で国民には知らされない。

2015-11-07 | バイオ燃料・バイオマス

日本でのバイオ燃料製造を目指して起業したベンチャー企業「ユーグレナ社」は、最終目標を太陽光の光合成で育つ「ミドリムシの大量培養」を目指した。

太陽光に恵まれて平均気温も高い地域を探して、候補地は沖縄県石垣島に「実験培養の設備」を投資してきた。

日本の公的資金の支援も受けて、10年間近い期間をかけて培養のノウハウを蓄積し、ミドリムシの食品事業などで成功してきたが、バイオ燃料はこれからだ。

大量培養には広大な土地と、大量の二酸化炭素が必要になる状況である。

 

日本の起業家が日本の支援を受けてチャレンジした事業であるが、結局、大量生産が必要になった時期には、太陽光と広い土地と温暖な気温が必要になる。

この様な条件を備えて土地は、日本で探そうとしても無理な話である。

他の方法による「バイオ燃料用の作物、藻類」を実験事業として挑戦している企業も、進展状況は報告されないが、成功するには、太陽光が不可欠である。

民間企業として事業性を追求したら、確実の「太陽光に恵まれた地域」を選定して、「安価で広大な土地」を確保しなければならなくなる。

 

この【成功への基本条件】を満たす地域は、日本国内にはない、と言える。

いくら日本の政府を支援して育成しても、最終的には大規模化する段階で、海外への投資をするしか、成功への道は開けていない。

成功した「バイオ燃料を日本に輸入」する契約にしておけば良い、と考えるのは甘い想定である。

石油の輸入依存から離脱しようとした「バイオ燃料製造国産化」は、到達点では輸入依存にならざるを得ないのだ。

この様な自明のことですら、日本の中央官庁は考えていないのだろうか。

 

いや、聡明な中央官僚たちは、そのことは充分に承知の上で、「光合成型植物の栽培と藻類の培養」に、研究支援の名目で税金を投入し続けている。

その理由は明確ではないが、当初の「エタノール燃料の国産化」の看板を掲げて、「バイオ燃料製造支援」の名目で継続することが肝要になっている。

エタノール燃料製造は、このブログでも紹介した様に、すでに「セルロースエタノール」の量産化に向けて、各企業の進出競争が始まっている。

バイオジェット燃料の分野では、一部の海外企業が先行しているが、詳細は公表されていない。

日本の政府は、いつまで、様子見をするつもりか、国民は何も知らされない。


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