日本での「原子力立国」が、幻想に翻弄されて国費を無駄に投じる結果に終わることは明白である。
しかし日本の識者たちは、大半が「化石燃料依存時代」の発想から抜け出ることができずに、いまだに、石炭や石油に依存し続けるエネルギー構造に囚われる。
原発が稼働しない分を、石炭火力発電の依存度を高く維持したまま、2050年を迎えようとしている。
2050年には、先進国の責務として、「温室効果ガスを80%削減」の目標が、国作りの基本的な資格として、試される時代が到来するのは確実である。
このままいけば、日本は先進国としては失格の評価は間違いない。
日本は2000年代の初頭までは、世界での環境先進国として、海外諸国からも見習うべき国との評価が高かった。
しかし、その後の政権の迷走によって、「再生可能電力の技術革新」にブレーキがかかる事態となって、革新的技術は停滞状態に陥っている。
原子力発電への依存の夢が破綻した後も、「再生可能電力」の普及促進策は、「電力固定価格買取制度」の法制度には、なんとか成立させたが、後が続かない。
安倍首相はことあるごとに、「再生可能エネルギーの普及促進」には、最大限の努力を払う」と声高に言明しているが、実際には何も実行しない。
【原子力発電の負の遺産】を、国民の目から誤魔化すことしか眼中にない。
それでも「世界中が再生可能電力」の普及促進に流れているので、後追いながらも少しずつ普及が始まっている。
2030年までには、22%程度に電力比率を増やす目標を立てているが、この実行作は、全く不十分な政府の取り組みに終始している。
それでも電力比率の分野では、マスメヂィアが時々、批判的に取り上げるので、政府も取り組みに気をぬくわけにはいかない。
今後も、温室効果ガスの排出量が最大の「石炭火力発電」の増設には、メディアも監視の目を向けて、批判する議論が活発になるであろう。
それに加えて問題なのは、電力以外の輸送用燃料の分野と、暖房や熱利用の燃料分野では、石油や天然ガスの代替となる「再生可能燃料」」には、関心がない。
自動車用燃料のガソリンには、エタノールの混合を5%程度に義務付けた法制度があるだけで、実態把握すらできない状態である。
安倍政権は、欧米先進国では「実施済みの炭素税」(温暖化対策税)すらも、検討もしないので、再生可能燃料に対する「技術開発の誘導政策」が、ない状態だ。
日本の自立にとっての「エネルギー自給率」の改善目標は、電力以外については「輸入依存のままに放置する」方針で、国産の自立した燃料政策はない。
アメリカでは、石油の代替になる「バイオ燃料の革新技術」には、国費を投じて「国内で大量生産するバイオ燃料」の研究開発に熱心な取組みを続けている。(続)