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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

アルコール性肝硬変の発熱

2023年02月27日 | Weblog

 先々週は急性期病床でコロナのクラスターが出た。先週、地域包括ケア病棟に入院している患者さんに転院前のPCR検査をしたところ、陽性と出て騒ぎになった。

 認知症の不穏(BPSD)がひどく、施設入所は困難で、精神科病院に転院予定だった。転院先の病院の条件に、直前にコロナのPCR検査陰性を確認というのがあった。患者さんは以前から平熱~微熱で経過している。

 同室者(濃厚接触者)のPCR検査を行ったが陰性だった。職員は無症状で特に問題がなかったが、無症状の感染者だとわからない。数日経過をみて、その患者さんだけだったので、それで治まるのだろうと思われた。

 金曜日の夕方に、別の内科の先生が診ているアルコール性肝硬変の74歳男性が高熱出たと、感染管理ナースが連絡してきた。担当医がPCR検査を提出するところだという。

 どんな患者さんか確認すると、12月初めに発熱で入院していた。肺炎・尿路感染症はなく、炎症反応の上昇と肝機能障害を認めたことから急性胆嚢炎とされていた。抗菌薬投与(スルペラゾンCPZ/SBT)投与で軽快している。

 腹部CTをみると、胆嚢が萎縮していて胆嚢炎と言い難いか。肝硬変による腹水があり、腸間膜脂肪織に炎症像がある。原発性細菌性腹膜炎spontaneous bacterial peritonitisだったのかもしれない。

 

 1か月後の1月の腹部エコーではまだ腹水があり、胆嚢内に結石はなく、debrisが貯留していた。入院時、胆嚢炎もあったのか。CTの読影レポートで胆嚢癌の疑いもあるとなっていたが、エコー上は腫瘍はなく、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)は陰性だった。

 

 感染管理ナースには、おそらく細菌感染ではないかと伝えて、結果待ちとなった。午後5時半に、コロナのPCR検査は陰性と出た。

 発熱の検索で、血液検査の炎症反応上昇はまだ軽度だったが、ふだんより肝機能障害は目立った。腹部CTで胆嚢の炎症像はあるのかもしれない。スピロノラクトン投与で腹水は消失していた。

 胆嚢炎再発として抗菌薬(スルペラゾンCPZ/SBT)が再開されて、翌日から解熱軽快していた。

 

 急性期病棟のコロナクラスターも本日で解除となる(いったん発生すると治まるまで2週間はかかってしまう)。救急隊には大分迷惑をかけたが、やっと平常営業。

 

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1 コメント

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SBPでは (シロート)
2023-02-27 10:21:07
腹水中に高エコーspotが浮遊するのでスーグわかるんですけどね。世間はCTばかりになっていって悲しい限りです。
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