なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

双極性障害

2018年11月19日 | Weblog

 先週の木曜日に、当院の糖尿病外来(担当医は大学病院からのバイト)に通院している68歳女性が救急搬入された。1週間前からずっと喋り続けていて、会話が成り立たなくなり、夫が手に負えなくなって救急要請した。救急隊が通院している精神医療センターに連絡すると、まず身体的な異常がないか近医で診てもらうようにという指示だった。

 当院に搬入されて、その日救急当番だった整形外科医から連絡が来た。検査では薬も中断するので、血糖がふだんより高めだが、特に問題となる異常はなかった。センターの精神科主治医に連絡すると、入院ベットがないので、来週の月曜日に外来に寄こしてくださいという返事だった。いつもの(?)体幹抑制・個室管理で対応した。

 入院後ブドウ糖混合の点滴も入れたが、食事摂取できるようになった。週末なので念のためブドウ糖なしの輸液を少し入れていたが、食事摂取8~10割になっていた。中断していた抗精神薬を再開したのが効いてきたのかもしれない。もっとも気分調整薬はなく、抗精神薬自体も古典的なもの少量だった。入院してから当院でデパケンも追加してみた。

 今日外来を受診して、そのまま精神科入院となった。あまり入院させたくなかった様子だが、夫の訴えで入院にしてくれたようだ。

 

 当院に入院したのは昨年が1回、今年が2回になる。昨年は内科の若い先生が担当した。精神科的な症状は3回とも同じだが、その時は高血糖高浸透圧症候群も併発していた。精神的に不安定になると、食事をとらず、菓子類や果物をずっと食べていたことが影響した。一時的にインスリン点滴静注からインスリン強化療法を行ったが、その後血糖は安定して、インスリンは中止された。自己インスリンは充分にあり、経口血糖降下薬のみで治療可能だった。その時は精神科にうつ病として通院していて、抗精神薬の追加投与で症状が安定していた。

 今年の3月は当方が担当して、これはうつ病じゃなくて、躁うつ病(双極性障害)だろうと判断して、デパケンを使用した。抗精神薬(リスパダール)も併用していたが、前の入院の時よりは少量で済んだ。躁うつ病と思われますがと診療情報提供書に記載したところ、躁病エピソードがあるので躁うつ病として対応しますという返事がきた。

 その後不安定になって精神科に入院したこともある。そして今回の悪化だった。今日内科外来(再来)を診ていると、精神科病院の主治医から連絡がきた。糖尿病のことを細かく訊かれたので、できるだけわかりやすく説明した。もっとも糖尿病の処方はDPP4阻害薬+メトホルミンなので、低血糖の可能性も低くあまり問題はない。

 精神科単科病院なので、身体疾患があると嫌がるのは無理もないのだった。県内では精神科救急に対応できる体制はまだ整備されていない。ちょっと前に県内有数の総合病院で精神科救急をやろうとした。精神科医少数で開始したので、疲弊してしまい、すぐに破綻したそうだ。

  

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