なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心筋梗塞

2024年06月08日 | 循環器疾患

 6月5日(水)はその日内科外来に出る先生が休みで、若い先生が代わりに出ていた。再来の人数は少なかったが、新患が意外に多く、診察が丁寧なので12時近くになってもまだ新患の患者さんが残っていた。年配の先生が12時に手伝いに出て、新患の患者さんを診てくれた。

 52歳男性が起床時(午前5時半)から続く胸部圧迫感で受診していた。これまでも5分以内の胸部圧迫感があったが、その日は長く続いているということだった。喫煙者でタバコを吸った時に症状が出ることもあった。

 症状からは、ふだんは狭心症の症状で、それが急性心筋梗塞になったと判断される。身体所見としては異常がなかった。

 不完全右脚ブロックだが、ST上昇は判読できる。心電図では、Ⅱ・Ⅲ・aVFで軽度だがST上昇を認めた。Ⅰ・aVLでSTが軽度に低下していた。胸部X線では心不全の所見はなかった。

 血液検査ではトロポニンIが107.5(<26)と上昇していたが、CK-MBなどの心原性酵素は正常域だった。白血球12000・CRP0.2と急性期の所見がある。

 血圧は149/93mmHgで、おそたくふだんから高いようだ。糖尿病はないが、LDL-Cが223mg/dLと高コレステロール血症があった。複数の冠危険因子をもっている。

 急性心筋梗塞(下壁梗塞)として、地域の基幹病院循環器内科に紹介となった。

 陽気な先生で、午後から他の先生に「いやあ、いきなり心筋梗塞が来て」と元気に話していた。この先生はキーボードの打ち間違えが多く、肺気腫(はいきしゅ)が俳句集(はいくしゅう)になっていたりする。

 

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完全房室ブロック

2024年05月02日 | 循環器疾患

 4月30日(火)の午前中は救急当番・発熱外来をしていた。救急隊から、相談がありますと連絡がきた。

 患者さんは施設に入所している95歳女性で、両下肢の浮腫が悪化した。施設で通院しているクリニックに連絡すると、病院(当院)に行くようにといわれたそうだ。(当院の循環器科勤務から開業された先生のクリニック)

 心拍数30回/分の徐脈があり、それは以前からで、どうも心臓ペースメーカー植え込み術はしない方針になっているらしいという。

 救急隊としては徐脈・心不全だと、循環器科のない当院に搬送しても、対応できないのはわかっている。しかし心臓ペースメーカーを行なわないことになっていると、循環器科のある病院にも依頼しにくい。どうしましょうかという。当院は初診になるので検査を行って、家族と相談することにした。

 

 来てみると、確かに心拍数は30/分で完全房室ブロックだった。心拍数以外のバイタルは問題なく、酸素飽和度も正常域(室内気)だった。両下肢(膝から足)に浮腫があるが、うっ滞性皮膚炎がありので経過が長いのかもしれない。

 心雑音はなく、弁膜症は否定的だった。胸部X線で心拡大はあるが、胸水・肺うっ血はなかった。

 患者さんは超高齢だが、会話したところでは認知症はない。単に徐脈だけの問題なので、超高齢だが心臓ペースメーカー植え込み術の適応がある?。

 

 息子さんと話をすると、心臓ペースメーカー植え込み術は本人も希望しないのでしないことにしていて、悪化しても仕方ないと理解しているという。

 クリニックの処方はARB少量(バルサルタン20mg)と利尿薬(アゾセミド30mg)だった。利尿薬のため尿酸値が10mg/dLと高値だった。

 患者さんは入院の希望もなく、息子さんもできれば施設に置きたいというので、利尿薬の追加で経過をみてもらうことにした。スピロノラクトン25mgを追加した(フェブキソスタットも追加)。

 バルサルタンをエンレストに変更するか、SGLT2阻害薬追加なども考慮されるが、どの順番での調整がいいのか。クリニックに診療情報低局書を出して調整してもらうことにした。

 今後当院に救急搬入の可能性があり、時間外だと外部の先生が日当直をしていてこともあり、心疾患増悪は断るかもしれない。電子カルテに経緯を記載した付箋を入れて、家族にはDN(A)Rの了解をいただいた。

 

 ところで、市内のクリニックからは「病院(当院)に行け」という指示が出る。クリニックに患者さんから電話での診療依頼がいった時や、救急隊から連絡が入った時に、よくこれが出る。(入院が必要な時は当然ではあるが)

 

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急性心筋梗塞

2024年04月23日 | 循環器疾患

 4月22日(月)の午後1時半に、予約外で受診した患者さんを診に行った。外来の看護師さんが患者搬送の話をしていた。

 訊いてみると、その日内科外来にきていた先生(大学病院から)が、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急車同乗で送って行ったという。

 

 畑仕事をしていた69歳男性が正午ごろに突然胸痛が発症した。痛みは左前胸部から左頸部に放散して冷汗もあった。30分後には当院に駆け込んできたことになる。

 バイタルは、血圧107/74mmHg・心拍数47/分・呼吸数14回/分・酸素飽和度100%(室内気)・体温35.6℃だった。心電図ではⅡ・Ⅲ・aVFで典型的なST上昇を呈していた。(鏡面像として、Ⅰ・aVLでST低下になっていた)右冠動脈なので徐脈を呈している。

 担当した先生は循環器内科なので、心エコーも行って下壁のhypokinesisを確認していた。計測なしで、左室の動きだけをみていた。

 

 発症30分後でも、(波形として)きれいなST上昇を呈したことになる。

 発症超早期だとST上昇がまだ出現せず、T波増高(hyperacute T)を呈する。テキストや実際の症例で胸部誘導ではhyperacute Tを見たことはあるが、下壁梗塞のⅡ・Ⅲ・aVFではST上昇しか見たことはない。前壁中隔梗塞と下壁梗塞では違うのだろうか。

 

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心肺停止

2024年04月22日 | 循環器疾患

 4月18日(木)は当直だった。隣町の救急隊から、心肺停止の70歳代前半の男性の搬入依頼がきた。

 その町の町立病院に糖尿病で通院しているそうだ。そこは常勤医3名の病院で、時間外の救急はほとんどとっていない。その日も真っ先に連絡したが、対応できないといわれていた。

 地域の基幹病院に連絡したが、満床で断られていた。(心肺停止は)どこで診てもいっしだから、ともいわれたそうだ。あとは遠方の病院になっていしまうので当院で受けることにした。

 後で家族から聞いたところでは、その日は大動脈解離術後の妻の大学病院受診日で、患者さんと娘が付き添って受診してきた。自宅に戻ったのは午後7時ごろで、3人とも疲れていた。

 患者さんは車の中で嘔気を訴えていたが、自宅に戻ってから嘔吐してそのまま意識を失って倒れた。胸痛や頭痛は訴えなかったという。冷汗の有無はわからないようだ。呼びかけても反応がなく、呼吸が止まっていたので娘さんが救急要請した。

 救急隊到着時、心肺停止(心静止)だった。心肺蘇生術が開始されたが、まったく反応がなかった。救急車内に搬入して、自動式心臓マッサージ器の装着とラリンゲ(ア)ルチューブによる人工呼吸を開始した。

 当院到着時、心肺停止(心静止)・瞳孔散大・対光反射なしだった。血糖は230mg/dLで問題なかった。

 点滴を入れて、アドレナリンを使用したが、まったく反応はなかった。30分経過したところで、家族に説明して心肺蘇生術を中止して死亡を確認した。

 Autopsy imagingとして頭部CT・胸腹部CTを行った。頭部CTは異常がなかった。胸腹部CTでは大動脈と冠動脈の石灰化が目立った。肺うっ血は急性循環不全を示唆しているかもしれないが、長時間の自動式心臓マッサージの影響がある。嘔吐後だが、気道に食物などはなかった。

 心疾患による急死と判断された。致死的不整脈の可能性も否定はできないが、冠動脈の石灰化からは急性心筋梗塞(左の主幹部?)の可能性が高いか。

 

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頻脈性心房細動

2024年03月30日 | 循環器疾患

 高血圧症・糖尿病・大動脈弁閉鎖不全症で通院している74歳女性が、数日前?からの労作時息切れで受診した。両下腿に中等度の浮腫がある。酸素飽和度は98~99%(室内気)だった。

 前回の心電図検査では正常洞調律で上室性期外収縮がちょっとだけ入っていた。心エコー検査(週1回他院から心エコーのできる検査技師さんが来ている)、EFは60%台で大動脈弁閉鎖不全症があった。あまり行きたがらないが、循環器内科のあるところで評価して欲しいと思っていた。

 この方は現在は禁煙しているが、以前は喫煙していた。喘息症状を伴うこともあり、Asthma+COPD=ACO相当だった。3剤の合剤(ICS+LABA+LAMA)のテリルジー吸入をしていて最近は喘鳴を聞かない。

 診察すると、不整脈の頻脈だった。心電図で確認すると、頻脈性心房細動(心拍数140~180)だった。動悸を訊いても、ないという。もっぱら息切れを訴えた。

 血管確保をして、ベラパミル注を行うと心拍数は100前後/分になった。ビソノテープ(ビソプロロール)4mgを貼付した。心拍数は80~100/分になった。

 入院で経過を見ましょうと伝えると、入院はできないという。COPDの夫の世話があるというが、自分の問題として入院してくないらしい。利尿薬・DOACを内服してもらって、処置室で経過をみることにしたが、起き上がって周囲をきゅろきょろ見ている。

 もう1回胸部X線と心電図を検査して、心房細動のままだが、心拍数80~100/分で(安静時だが)安定している。胸部X線はやや軽減か。

 改めて入院を勧めたが、結局帰宅することになった(自分で車を運転して来ていた)。必ず翌日受診することを約束して帰った。

 

 この患者さんの夫はCOPDの増悪で入院したが、喫煙したくて数日で退院してしまった。隠し持っていたタバコを看護師さんに取り上げられたのが気に入らないらしい。

 在宅酸素療法の適応だが、拒否している。在宅酸素で喫煙されても怖いので、そのままになっている。

 

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肺炎、心不全

2024年03月25日 | 循環器疾患

 3月25日(月)の早朝に93歳男性が呼吸困難で受診した。施設に入所しているので、施設車での救急外来受診だった。

 胸部X線・CTで両側肺に胸水・肺水腫と浸潤影を認めた。肺炎・心不全ということになるが、比率は心不全>肺炎?。

 この患者さんは糖尿病外来と泌尿器科外来に通院していた。3年前の2021年5月に、泌尿器科から内科外来に紹介されてきて診察した。

 両下腿~足の浮腫を泌尿器科外来で訴えていた。血液検査で貧血(Hb 8g/dL、MCV72.1)があったので内科に回した、という経緯だった。

 胸部X線で両側肺に軽度の胸水を認めた。鉄欠乏性貧血で消化管悪性腫瘍が疑われたが、胸腹部CTでは明らかな腫瘍は認めなかった。

 鉄剤投与と一時的な利尿薬内服で、貧血と胸水は軽快した。内視鏡検査は受けたくないといっていて、家族も何か見つかっても治療(外科手術)の対象にならないと思うのでけっこうです、といってた。

 何度か話をして、上部消化管内視鏡検査は受けたが、異常はなかった。下部消化管内視鏡検査はやりません、ということで結腸癌の有無は保留となった。

 その後通院していた糖尿病外来がなくなったので、糖尿病薬も出すようになった。一人暮らしで別居の娘さんの介護を受けていたが、施設に入所となった。

 2024年2月に、1か月前から食欲不振があったといわれた(外来2か月処方だった)。食欲がやっと戻って来てから受診したことになる、

 胸部X線で両側胸水も軽度にあったが、貧血はなかった。心電図で以前にはなかった、V3-5のT波逆転を認めた。部位としては前壁側壁になるが、おそらく心筋梗塞を来して、心不全状態が出てきたものと推定された。バイタルは問題なく、入院させたくないという。利尿薬内服を開始すると、胸水は軽快した。

 

 3月24日(日)の当直だった内科の先生が対応して、入院させていた。抗菌薬と利尿薬注が開始された。ちなみに、この患者さんは当方の小学校の時の担任の先生。

 

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急性心不全

2024年02月17日 | 循環器疾患

 2月16日(金)の午前9時ごろ、病棟で指示出しをしていると心不全の入院が来ると看護師さんがいっていた。呼吸困難の81歳男性が午前7時過ぎに救急搬入されて、昨日当直だった先生が診ていた。

 現在3つの病棟のうち2つでCOVID-19の院内発症があり、急性期病棟だけ今のところ出ていない。ただ落ち着いている患者さんを地域包括ケア病棟やリハビリ病棟に回せないので、週明けまではできるだけ新規入院は避けたい状況だった。

 

 患者さんは急性心筋梗塞の既往があった(ステント留置)。当院の循環器科に通院していて、担当医が開業する時に自分のクリニックに紹介としていた。(当時は循環器科があったが、現在は閉科)

 酸素飽和度が60%台(室内気)で、酸素マスク10L/分投与で90%台になっていた。血圧は201/117mmHgと高値で、血管拡張薬や利尿薬が効きそうではある。

 救急隊も陳旧性心筋梗塞・急性心不全と判断したので、地域の基幹病院へ連絡したが、満床で受け入れ困難だった。当直の内科の先生は循環器疾患は嫌いではないらしい。急変の可能性は家族(兄弟)に伝えていた。

 胸部CTで見ると、両側肺に肺水腫を認めて(胸水も軽度)、教科書に載せたいような急性心不全像だった。

 

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心肺停止

2024年01月21日 | 循環器疾患

 20日の夕方に感染管理ナースから、コロナの患者さんが入院した、とメールが来た。その日の日直の内科の先生が90歳代女性を入院させていた。

 最近、入院が断続的にあり、患者数がじわじわ増えている。今回は中等症Ⅱ相当で、厳しいようだ。ずっとコロナの入院を専任で診てきたが、5類になってからは当たった人が担当となった。

 

 1月16日は腎臓内科の若い先生が当直だった。翌17日に、前夜に救急搬入された心肺停止の86歳男性の話をしていた。

 自宅の浴槽に入った状態で家族が発見した。反応はなかった。顔は浴槽のふちに乗っていて、お湯につかってはいなかった。救急隊到着時に、発見した孫が心マッサージをしていた。心肺停止(心静止)で、心肺蘇生術を行って搬入された。「

 心肺蘇生術にはまったく反応しせず、死亡確認がなされた。当院初診でこれまでのことはわからない。死因検索のためにAutopsy imaging(AI)が行われた。

 頭部CTでは死因につながる異常を認めなかった。胸腹部CTでは、明らかな所見があった。大動脈が解離して両側胸腔内に出血して、心タンポナーデを呈していた。下行大動脈は虚脱している。これでは心肺蘇生にまったく反応しないだろう。ほとんど即死だったと思われる。

 

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急性心筋梗塞

2023年12月04日 | 循環器疾患

 11月29日(水)の当直の時に、午後5時半に搬入された呼吸困難の患者さん(肺炎による慢性閉塞性肺疾患増悪)を診ていると、別の内科の先生(もともとは消化器外科医)が救急室に顔を出した。

 後で訊くと、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急搬送してきて、その戻りだった。

 

 72歳女性がその日の午後3時に胸痛と背部痛を訴えて、外来を受診していた。前日の夜間から始まって、眠れなかったそうだが、朝まで我慢していた。

 午前8時過ぎに市内の内科クリニックを受診して、採血検査後に上部消化管内視鏡検査が予約された(1月に)。受診時にどういう訴え方をしたのかわからない。嘔気があるとも訴えたらしい。

 別居の妹さんに当院受診を勧められて、午後に当院に来たという経緯だった。ふだんは眼科医院に通院しているだけで、内科系の通院はない。

 心電図でV1-4に明らかなST上昇を認めた。血液検査では白血球7200・CRP0.3だった。トロポニンIが20728.5と著明に増加している。CK 2128・CK-MB 274・AST 173・LDH 721と筋原性酵素が全部上昇している。(受診した内科クリニックは末梢血・CRPは迅速で出て、生化学は外注のはず)

 胸部X線ではなく、胸部CTを検査していた(大動脈解離の鑑別か)。心嚢液が軽度に目立つ。単純CTだが大動脈解離はなかった。明らかな心不全の所見はない。

 検査後に救急室に移動して、点滴・酸素吸入を開始した。来院時は血圧が100ちょっとだったが、その後99/71mmHg、91/68mmHgと低下している。酸素飽和度は97%(室内気)だったが、顔色不良・末梢冷感を認めた。

 救急隊にそのまま搬送依頼というわけにいかず、先生も同乗しての搬送となった。先方の病院には無事着いて、当院に戻って救急室にちょっと顔を出した、というところだった。

 

 この先生は11月いっぱいで当院を辞めて、関東圏の病院に移ることになる。その日は勤務最終日だった。

 翌30日は挨拶周りをして、お昼には病院を出られた。200床弱の病院の院長先生になられる。世代交代が進んでいない病院でなかなか、と言っていた。持ち前の明るい人懐こい性格で、きっと何とかやっていかれるのだろう。

 

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心房細動・心不全

2023年10月07日 | 循環器疾患

 9月28日(木)に皮膚科の先生から、前夜の当直の時に右下肢の腫脹した89歳男性を入院させたので、時間のある時に診てほしいといわれた。ゼーゼーして酸素吸入もしているという。

 言葉通りだと、深部静脈血栓症から肺塞栓血栓症を来した可能性が考えられた。ただ喘鳴は出るだろうか。

 もともと心房細動があり、心原性脳塞栓症(後遺症)で当院神経内科の外来に通院していた。担当医が春に退職したので、現在は紹介された市内の内科クリニックに通院している。

 心房細動としてDOAC(エドキサバン=リクシアナ)が処方されていた。深部静脈血栓症は起こりがたい。

 病室に行ってみると、かなり肥満した患者さんだった。一人暮らしで、自力で車椅子に移乗して生活しているらしい。両下腿は黒褐色に変色して皮膚は肥厚している。うっ滞性皮膚炎のようだ。

 皮膚科外来に通院して、保湿剤とステロイド剤の混合した軟膏と白癬症の軟膏が処方されていた。皮膚科医としてはおなじみの患者さんなのだった。

 右下肢が左下肢に比べて腫脹しているが、熱感があり、皮膚表面に膿疱が散在している。皮膚軟部組織感染症(蜂窩織炎、一部膿瘍化)による症状のようで、皮膚科の範疇だった。

 聴診すると両側に喘鳴が聴取された。酸素3L/分が開始されていて、飽和度は98%と保たれている。気管支喘息の既往はない。胸部X線は心拡大・肺うっ血があり、心臓喘息としての喘鳴のようだ。要するに、心房細動・心不全(の悪化)だった。

 健側である左下肢にも浮腫がある。全身的にむくんでいて、点滴は困難だった。

 

 皮膚科医に声をかけられたのがお昼で、その日は午後からICD講習会で出かける予定だった。「右下肢は先生の分野なので、抗菌薬をお願いします、心房細動・心不全は(処方されていない)利尿薬で治療を開始します」、と伝えた。

 アゾセミド(ダイアート)30mgをすぐに内服してもらうことにして、夕方になっても変わらない時は別の内科医に相談してもらうことにした。

 結果は、アゾセミド内服後に尿が多量に出て、翌日までに3000mlが排出されて、喘鳴は消失していた。その後数日間尿量2000ml/日が続いて、その後は1000ml/日に落ち着いた。

 降圧薬としてARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬が処方されていたので、少しずつ調整して今どきのFantastic 4に変更していくことにした。

 

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