老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

言葉の語源など その(125) ~ごめん(御免)~ 

2024年08月31日 19時12分40秒 | 面白い言葉や語源など
(大型と騒がれながら、速度が遅くて迷走したお陰か京阪神には殆ど被害なしで済んだようですが、遠く離れた所でも大きな雨の被害が出ているようで、被害に遭われた方にお悔み申し上げます。
再び言葉の話題に戻ります。)

 先日書き込んだ「堪忍」と同じように、謝りの際に「ごめん」或いは「ごめんなさい」という言葉も使います。

 漢字では「御免」で、「免」に尊敬を表す接頭語である「御」を付けたもので、元となる「免」については<コトバンク>に拠ると
1 見逃してやる。まぬかれさせる。まぬかれる。「免疫・免罪・免除・免税・免責/減免・赦免・放免」
2 許可する。「免許・免状/天下御免」
3 職を解く。仕事をやめさせる。「免職/任免・罷免」
とありますが、直接に“謝る"という意味とは少し違うように思えます。

 一方、「御免」という言葉で調べてみると、<goo辞書>には、
1 正式に免許・認可することを、その決定を下す者を敬っていう語。
例:名字帯刀が御免になる、天下御免
2 役職などを解かれることを、その決定を下す者を敬っていう語。
例:お役が御免になる
3 嫌で拒否する気持ちを表す語。もうたくさん。
例:戦争は二度と御免だ、その役は御免です
4 過失などをわびるときや許しを乞(こ)うときに言う語。
5 他家を訪問したり辞去したりするときに言うあいさつの語。
例:御免(なさい)お邪魔します、では御免
と、ちゃんと‴許しをこうときに言う語”との記載があります。

 それでは、「御免」が何故に謝罪を意味する言葉になったのかが気になり、更に調べてみました。

 諸説ありましたが、一番腑に落ちたのは、<えいすう総研>の下記の説明でした。
 「免」には「逃れる・許す」という意味があり、「御」は相手への敬意を示しています。つまり<(相手に対して)これ以上責めないでください>という気持ちから「ごめんなさい」という言葉が謝罪の表現として用いられるようになりました。


 尚、「ごめん」に関連して思い浮かべることが二つあります。
(1)同じく謝罪の意味を表す言葉として、「すみません」がありますが、この語源は「気が済まない」で、何かをしてもらったとき「相手に感謝するとともに、相手に負担をかけてしまって申し訳ない」という気持ちを表していると聞いたことがあるのですが…

(2)かって高知県長岡郡に「後免」という町があり、「面白い名前やなぁ」と思っていました。
現在は南国市の後免町(まち)となっているようですが、JR土讃線には現在でも「後免」という駅が残っていて、土佐電鉄の分岐点になっているようです。(まさ)



現代版「浮世風呂」 オジンたちのサウナ談議 その17

2024年08月30日 18時45分58秒 | 高齢化社会での生活・終括・社会保障など
 昨日のブログで少し風が強くなってきた旨を書き込みましたが、その後は風も収まり大きな変化なく、安眠できました。
台風10号は瀬戸内海を自転車並みのスピードで、東進していて、各地に大きな影響を及ぼしているようですが、大阪では今日も雲は厚いものの、時折は太陽が差し込む厳しい蒸し暑い日で、風や雨もなく、「台風は何処?」という感じです。

 という事で、全く平常と変わらない生活で、毎日行くスポーツジムのサウナでは下記のような会話もあり、ノンビリムードでした。

A:それにしても今度の台風は遅いなぁ! 何時まで待たすんやろ
B:もう迷走やなしに、徘徊してるみたいやなぁ
C:台風の寿命は短いんや。そやのに生まれてから真っ直ぐこんと、ウロウロしてるもんやから、老けてしもて、行先が判らんようになって徘徊しとんや。あちこちに迷惑かけて難儀やなぁ。
D:そやなぁ、こんな台風みたいにボケてしまって、回りに迷惑かけんようにせなあかんなぁ。(まさ)




言葉の語源など その(124) ~「堪忍」と「忍耐」~ 

2024年08月29日 19時23分07秒 | 面白い言葉や語源など
(大型の台風10号は午前中に鹿児島に上陸したようですが、経験したことのないような遅い速度なので、関西は土~月曜にかけての襲来になりそうです。遠く離れた地域でも既に大雨の被害が出ているようですが、大阪市内ではまだ時々小雨が降る程度です。しかし、先ほどより少し風が強くなったようにも思います)

 先日の大阪弁の項で、<「かんにん」=ごめん>と書き込みました。
確かに、大阪では謝ったりする場合に、「かんにん!」とか「かんにん、かんにん」或いは「かんにんしてや」「かんにんやで」というような言い方をよくします。(京都では「かんにんどっせ!」です)

 この「かんにん」は、漢字では「堪忍」で、「ならぬ堪忍、するが堪忍」「堪忍袋の緒が切れた」というような熟語もありますが、<goo辞書>によると、
1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁
2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐
という意味なので、単に「謝る」と言うだけでなく「こっちのミスやけど許してや」とか「腹立つやろけど、辛抱してや」というような意味を込めての謝罪の言葉のようです。

 更に調べてみると、この「堪忍」は元々は仏教に由来する言葉の様で、<生活の中の仏教用語>によれば、
・仏教では世界を彼岸と此岸とに分けている。彼岸は彼方にある理想世界、此岸は現実世界である。私たちが生活するこの此岸の世界を「娑婆」という。インドの言葉でサハーと発音する語を漢字で娑婆と表記したのであるが、その意味は〔堪え忍ぶ〕ということである。そこから〔こらえる〕〔辛抱する〕〔ガマンする〕という意味合いの日本語の「堪忍」が生まれた。

・「涅槃経」という仏典では「娑婆の名、翻じて堪忍と為す」と説く。「娑婆」の原意である〔堪え忍ぶ〕を端的に表したのが「堪忍」である。娑婆のことを「堪忍土」ともいい、四苦八苦の尽きない世界であるから「苦海」ともいわれる。 ところが、凡夫は「ならぬ堪忍、するが堪忍」と教えられても所詮は無理である。凡夫にできるのは、精々過ちを棚に上げて「堪忍して下さい」と許しを請うのが関の山である。
という説明がありました。


こんなことを書いていると、<goo辞書>の「忍耐」に同じという説明が気になりました。
つい先日が所謂終戦記念日で、『堪え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・』という言葉を幾度か聞いたからでしょうか・・・

<Weblio辞書>などに拠ると「忍耐」は“苦しさ、辛さ、悲しさなどを耐え忍ぶこと”とありますが、「忍耐力」という言葉もありますので、単に<耐え忍ぶ>というだけでなく、<困難に直面しても諦めずに、目標達成に向けて持続的に努力する>というニュアンスも含まれている言葉かも知れないと思い至りました。(まさ)



台風前の河川敷

2024年08月28日 19時30分56秒 | 散歩中に見かけた風景
 台風10号が接近中ですが、速度が遅く中々外出の予定が立てにくいです。
大型の台風という事で、今日は少し早起きして、ベランダの植木鉢などの風対策や排水溝の掃除をしておいてから買い物へ。

 家のあちこちに長年のくたびれが出てきており、補修のための接着剤や塗料を求めて淀川の川向うにあるホームセンターに出掛けました。

 少し風が強いように思い、念のために菅原城北大橋の左岸側の公園に自転車を置いて、歩いて橋を往復してきましたが、まだそれほど台風接近を感じなかったので、その後河川敷をウロウロしながら帰宅しました。

 余りの酷暑で、ここ暫く河川敷の散歩を控えていたので花などの様子は少し変わっていて、秋の気配も感じられました。今日見かけた風景などを、お知らせします。(まさ)

菅原城北大橋から見た、淀川のワンドと梅田方面のビル群
ニシキソウ(トウダイグサ科)
メリケンムグラ(アカネ科)

同上

メドハギ(マメ科)
センニンソウ(キンポウゲ科)
イトトンボ 正確な名前までは判りません

カメ お山の大将、俺一人

<今日の夕食>
冷奴/肉と野菜/ホウレンソウお浸し/タコ
肉と野菜  牛肉/カボチャ/シイタケ

タコとキュウリの酢の物



大阪のイメージ(続) 大阪弁編  ④船場言葉

2024年08月27日 19時24分28秒 | その他
 今迄紹介したのは、現在使われている河内弁や泉州弁が入り混じった日常的な大阪弁が中心で、言葉遣いが悪く、早口なイメージがあるので、馴染みのない人には、普通の会話さえ漫才のように聞こえたり、あるいは喧嘩をしていると思われたりするのです。

 しかし、大阪にも優雅な雰囲気を持った言葉もあるのです。(と言うべきか、「あったのです」というか迷います)

 それは、昭和中期まで、折り目正しい大阪弁の代表格として意識されていた所謂「船場言葉」で、谷崎潤一郎の『細雪』に代表されるような、大阪を舞台とした小説や松竹新喜劇などの演劇やドラマなどでも使われていましたが、昨今では日常会話では耳にすることはまずないです。

 船場(現在は大阪市中央区)は、江戸時代以降「天下の台所」とも呼ばれるほど繁栄した大阪の中心となる商業地なので、顧客に対して謙虚でへりくだった対応と、上品な言い回しの丁寧な言葉遣いが特徴です。

 また、御所のお膝元であるがゆえの遠慮からか、京言葉には侍言葉も多く取り入れられているので、船場言葉の方がより公家言葉の影響を強く受けているともいわれています。


 「船場言葉の代表としては、はやり家族の呼び方でしょう。
 まず、主人は「旦那さん」が訛った「だんさん」、商家の奥さんは「御寮人」が訛った「ごりょんさん」といいますが、「お家さん」から訛った「おえはん」ともいいます。

 続いて、これは有名ですが女の子の呼び方は
 いとはん(長女)・なかんちゃん(中の娘)・こいさん(末娘)です。
※「いとはん」は、「愛しい人」からきた言葉で、「こいさん」は「こいとさん」が縮まった言葉です。
 一方、男の子の呼び方は、
あにぼんさん(長男)・なかぼんさん(中の児)・こぼんさん(末の児)で、成人したらわかだんさんとなります。


 「船場言葉」は商人たちが使った言葉なので、商人らしい金銭感覚も強く反映されています。
代表的な挨拶である、「まいど、おおきに。儲かり(かって)まっか?」「まいど!ボチボチでんな。」だけでなく、商人としての日常の言葉や、客との応対の駆け引きなどが数多くありました。

「ええし」: 金持ちの人  反対語は「がしんたれ」(頼りない貧弱な人)です
「始末する」:「始末」は本来、一部始終を意味するが、始めと終わりをきちんと整えることから、船場商人たちは、倹約を「しまつする」と表現しました。また「しまつ」は「ケチ」とは違うのです。
「しまつや」は尊敬されますが、「無駄使いする人」や「ケチな人」は蔑まれます。

「勉強させてもらいまっさ」: 値引きさせていただきます
・これに関連し、「値段がもう少し安くなるなら買います」は、船場言葉では婉曲的な「ねえ(値段)と相談」という言葉もあります。

 また、<②会話などで使われる言葉>と重複するかも知れませんが、現在でも普通に使われている挨拶の言葉でも、船場言葉の名残のモノが沢山あります。

・「いてさんじます」: 行ってきます
・「おはようおかえり」: 行ってらっしゃい
・「おおきに」: ありがとうございます
・「サッパリわやや」: どうにもならない
・「あきまへん」「あかん」「あかんなぁ(がなぁ)」: 駄目です
・「そうでっしゃろなぁ」: そうやろうなぁ 
・「〇〇でっしゃろ?」: 〇〇でしょう?
・「そうでんなぁ」: そうですねぇ
・「せわしない」: 落ち着きがない、忙しい
 ・「かんにん」: ごめん
(まさ)

※ この項は<LIFULL HOME‘S PRESS><絶滅危惧の「船場言葉」|千世(ちせ) (note.com)>などを参考にさせて頂きました。