渾身

隠岐の島に残る、古式相撲・・・そして２０年に１度行なわれる遷宮相撲大会を中心に家族の絆をメインにした作品。

錦織監督が島根を撮ると実にいい作品になる・・・今回もいい作品です。訳あって島を駆け落ち同然で出ていた２人が島に戻ってくるところから話が始まるんですが、出産や妻の死去、相撲との出会いや再婚・・・そして遷宮相撲に向けて正三役大関への推挙といった出来事がゆっくりとそして優しく語られていきます。そして、１日をかけて約３００番ほどの取組が行なわれる中で最後の一番へとクライマックスに向けて厳かに真剣に盛り上がっていきます。

この中で、伊藤歩が素晴しい・・・いい女優になってます、もともと実力のある女優ですがこれは彼女の代表作になるんじゃないかなぁ・・・。青柳くんも演技的にはまだまだとは思うんですが相撲のシーンのところの素晴らしさは充分おつりがくるくらいですし、子役の娘がまたいい演技です。まわりはベテランで固めているんですが、その中でも相手のお父さん役の隆大介の存在感が凄いです。

素晴しい作品です・・・出来るだけ多くの方に観てもらいたい・・・それにしても宣伝が少なすぎる・・・これは世界に出しても恥ずかしくない作品なんですから・・・これが話題にならないなんて日本映画の配給会社の姿勢が間違ってるとしか言いようがないと思う。

鈴木先生

ＴＶドラマの頃から面白いとは思ってたんですよ・・・視聴率が悪いだのなんだの言われましたけどテレ東なんだから仕方ないじゃない・・・でも本当に面白いものは後からでもちゃんと評価されるんですよ・・・視聴率と作品の良さは比例しないという好例ですな・・・。

話もドラマからの続きになってるんで、初見の人はわかりにくいだろうけど、小川病が再発の兆しがあったり、生徒会選挙があったり、卒業生による立て籠もり事件があったりといろいろ考えないといけない鈴木先生ではあります。長谷川博巳を初めて知ったのがこの作品だったので、一番しっくりくるというか何というか・・・。生徒役も土屋太凰や未来穂香の２人が群を抜いて上手いけど・・・生徒会選挙の演説会のシーンなんかの素晴しいこと・・・みんなにまとまりがあって良くなってますなぁ・・・。

新しいタイプの先生物として、充分評価できる作品です・・・たとえ観客数が少なくても・・・。