8月17日夕刻、釣りバカヒロキチが駆るパジェロは扇沢へ向けてひた走っていた。
豊科にさしかかる頃、中央高速は前が見えないほどの激しい雷雨に見舞われて絶望的な明日を予感させた。
雨の中、扇沢バスタ-ミナルの軒先を借りて酒盛りのあと、そのままマットを敷いてシュラフに潜り込み諦めの眠りに就いた。
明けて18日、まさかのピ-カンでこれなら途中の谷で釣りができるぞと一気にテンションが上がる。
しかし、山の天気はそれを許してはくれなかった。
4時間かけて汗だくで辿り着いた目的の谷にザックを下した途端に雷が鳴りはじめ快晴だった空は雨に変わった。
覚悟はしていたものの雨に打たれると心もしぼむ、仕方なく平の小屋に逃げ込んだ。
小屋の軒先を借りてチタケそうめんをすすり始めると上の廊下を遡行するというパ-ティから岩魚のソテ-のお裾分けを頂く、火照った体にビ-ルが旨い。
19日も朝は快晴で期待が膨らみN谷に向かった。
しかし昨日5人の釣り人が入っていたために当たりはあまり芳しくなかった。
それでも午前中に二人で5尾をキ-プできたので昼酒にする、今回は相棒のヒロキチさんがワインを4合持参していた。
捌いた岩魚はショウガ、ニンニク、ミョウガと玉ねぎでヅケにする。
皮はカリカリに揚げて皮せんべいに、ヒロキチさんのイワナはバタ-ソテ-にした。
揚げたてのバタ-ソテ-が実に旨い、ヅケは酒にもご飯にも実によく合う。
ボトル1本分のワインで完全に酔いがまわってしまった、みなさん間違っても釣りにワインはあきまへんぞ!
〆のひやむぎ、今回はナスとミョウガのつゆで上品な味と香りを楽しんだ。
麺は黒部の冷たい天然水で〆る、ヒロキチさんも茹で方職人がすっかり板についてきた。
ビ-ルもワインも岩魚の酒肴も黒部の大自然の中でやるからこそ極上に変わるのかもしれません。
昼飯が済んだタイミングでまた雨が降り出した。
釣欲旺盛なヒロキチさんは雨の中を貪欲に釣り上がって行ったが僕は3時半までたっぷり午睡を楽しんだ。
釣りをしたいのか、渓食なのか、のんびり午睡なのか、谷を歩いて黒部の風に吹かれたいのか、
どれかひとつに決めろと言われても答えられる筈もない。
気持ちよく午睡から目覚めて急いでヒロキチさんの後を追って午後4時に追いついた。
先行を譲ってもらうと入れ食いとなった。
大物は出ないが1時間ほどで9寸3尾と8寸9尾、魚止めの手前でやむなくタイムアップとなった。
豊富な水量と荒削りな原始の風景が織りなす上流部の渓相は息をのむほど素晴らしい!
大岩をよじり、時には巻きながらの遡行はスリリングでおもしろい!
充分に釣欲を満たされて谷を下った。
3日目、午前9時すぎに小屋に別れを告げて帰途についた。
途中の黒き谷で2時間ほどロッドを振る。
この谷も数は出るのだが殆どが8寸から9寸どまり、今回は尺上に出逢うことが叶わなかった。
魚止め周辺で二人とも更に良型を2~3尾づつ追加してロッドをたたんだ。
初日こそ激しい雷雨に祟られたが終わってみれば黒部独特の大自然を十分に満喫した旅となった。
喘ぎながら汗だくで長い登り階段をよじる。
黒部を楽しんだあとは必ずこの洗礼を受けなければならない。
2時間歩いて次の谷で小休止、今度はこの峪を詰めてみようか。
山旅や沢旅を続けているといつも新しい人との出会いがあって嬉しいものではあるのです。
それでも、山や沢が自分にとっての数少ない本物の心の置き処であればこそ、
できる限り人に会わずに独りだけの時間を過ごしたいと思うこともあるのです。
人と出会い、その出会いを楽しみながらも、山に独りいるひとときが愛おしいとも思うのです。
今回の旅でも多くの人と出会いながら、そのことを強く感じた旅でもありました。
心地よく残るこの疲労感が、今年もまた良い旅になったことを裏付けているような気がします。
豊科にさしかかる頃、中央高速は前が見えないほどの激しい雷雨に見舞われて絶望的な明日を予感させた。
雨の中、扇沢バスタ-ミナルの軒先を借りて酒盛りのあと、そのままマットを敷いてシュラフに潜り込み諦めの眠りに就いた。
明けて18日、まさかのピ-カンでこれなら途中の谷で釣りができるぞと一気にテンションが上がる。
しかし、山の天気はそれを許してはくれなかった。
4時間かけて汗だくで辿り着いた目的の谷にザックを下した途端に雷が鳴りはじめ快晴だった空は雨に変わった。
覚悟はしていたものの雨に打たれると心もしぼむ、仕方なく平の小屋に逃げ込んだ。
小屋の軒先を借りてチタケそうめんをすすり始めると上の廊下を遡行するというパ-ティから岩魚のソテ-のお裾分けを頂く、火照った体にビ-ルが旨い。
19日も朝は快晴で期待が膨らみN谷に向かった。
しかし昨日5人の釣り人が入っていたために当たりはあまり芳しくなかった。
それでも午前中に二人で5尾をキ-プできたので昼酒にする、今回は相棒のヒロキチさんがワインを4合持参していた。
捌いた岩魚はショウガ、ニンニク、ミョウガと玉ねぎでヅケにする。
皮はカリカリに揚げて皮せんべいに、ヒロキチさんのイワナはバタ-ソテ-にした。
揚げたてのバタ-ソテ-が実に旨い、ヅケは酒にもご飯にも実によく合う。
ボトル1本分のワインで完全に酔いがまわってしまった、みなさん間違っても釣りにワインはあきまへんぞ!
〆のひやむぎ、今回はナスとミョウガのつゆで上品な味と香りを楽しんだ。
麺は黒部の冷たい天然水で〆る、ヒロキチさんも茹で方職人がすっかり板についてきた。
ビ-ルもワインも岩魚の酒肴も黒部の大自然の中でやるからこそ極上に変わるのかもしれません。
昼飯が済んだタイミングでまた雨が降り出した。
釣欲旺盛なヒロキチさんは雨の中を貪欲に釣り上がって行ったが僕は3時半までたっぷり午睡を楽しんだ。
釣りをしたいのか、渓食なのか、のんびり午睡なのか、谷を歩いて黒部の風に吹かれたいのか、
どれかひとつに決めろと言われても答えられる筈もない。
気持ちよく午睡から目覚めて急いでヒロキチさんの後を追って午後4時に追いついた。
先行を譲ってもらうと入れ食いとなった。
大物は出ないが1時間ほどで9寸3尾と8寸9尾、魚止めの手前でやむなくタイムアップとなった。
豊富な水量と荒削りな原始の風景が織りなす上流部の渓相は息をのむほど素晴らしい!
大岩をよじり、時には巻きながらの遡行はスリリングでおもしろい!
充分に釣欲を満たされて谷を下った。
3日目、午前9時すぎに小屋に別れを告げて帰途についた。
途中の黒き谷で2時間ほどロッドを振る。
この谷も数は出るのだが殆どが8寸から9寸どまり、今回は尺上に出逢うことが叶わなかった。
魚止め周辺で二人とも更に良型を2~3尾づつ追加してロッドをたたんだ。
初日こそ激しい雷雨に祟られたが終わってみれば黒部独特の大自然を十分に満喫した旅となった。
喘ぎながら汗だくで長い登り階段をよじる。
黒部を楽しんだあとは必ずこの洗礼を受けなければならない。
2時間歩いて次の谷で小休止、今度はこの峪を詰めてみようか。
山旅や沢旅を続けているといつも新しい人との出会いがあって嬉しいものではあるのです。
それでも、山や沢が自分にとっての数少ない本物の心の置き処であればこそ、
できる限り人に会わずに独りだけの時間を過ごしたいと思うこともあるのです。
人と出会い、その出会いを楽しみながらも、山に独りいるひとときが愛おしいとも思うのです。
今回の旅でも多くの人と出会いながら、そのことを強く感じた旅でもありました。
心地よく残るこの疲労感が、今年もまた良い旅になったことを裏付けているような気がします。