この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

数学的にありえない。

2008-03-24 00:09:41 | 読書
 アダム・ファウアー著、『数学的にありえない』、読了。

 よーやく『数学的にありえない』を読み終わりました。
 途中、よっぽど投げ出そうかと思ったのですが、ブログ仲間の小夏さんが、
「せぷさんの書いた『数学的にありえない』のレビュー、読んでみたいな~。わたし、せぷさんの書いたレビュー、大好きなんです。きゃっ、いっちゃった♪」なーんていうもんだから(多少脳内で脚色しています。笑。)、何とか頑張って最後まで読んだ次第です。
 で、結論からいえば、まったく面白くない、ということはなかったです。
 ただし、面白くなるまでにやたら時間がかかる!!前巻なんて一冊まるごと前置きみたいなもので、読んでいて本当に退屈でした。
 主人公のディヴィッドが能力に覚醒してからはそれなりに面白くはなるんだけど、それもまぁあくまでそれなりに、といったところでしょうか。個人対国家権力という図式はスティーブン・ハンターの『極大射程』を思い出させましたが、あれに比べると一段も二段も(もしくはもっと)格が下で、敵がショボいのです、ハラハラドキドキ感がなかったですね。
 人物設定も結構おざなりな気がしました。ディヴィッドは数学の天才で、彼の恩師であるドクは物理学の教授なのですが、なぜかディヴィッドは物理に関しては(シーンによっては)素人同然なんです。物理の教授に師事しときながら物理は素人?しかもディヴィッドの兄であるジャスパーはろくに教育を受けたことはないのに、ディヴィッドよりも物理に詳しいんです(どうやら独学で習得したらしい)。でもそれでいてドクやジャスパーがいない場面でパートナーのナヴァに、物理に関してのレクチャーをする必要に駆られるとディヴィッドはそれなりの知識を披露します。何だか都合のいい設定だなぁ、と思わずにはいられません。
 本書は『ダヴィンチ・コード』などと同じく蘊蓄小説という側面を持っていて、数学や量子力学、それに統計学に関する知識や蘊蓄が語られるのですが、前述の通りそれを語るのがディヴィッドだったり、ドクだったり、もしくはジャスパーだったりとその時々で違うので、もう一つ説得力が感じられませんでした。同じ理系の蘊蓄小説としてはよほど先日読んだばかりの『神様のパズル』(機本伸司著)の方が出来がよいと思います。
 また、本書では叙述トリックが一つ用いられるのですが、その使い方が露骨というか、下手っぴというか、とにかく感心しませんでした。
 そんなわけで、本書はあまり高い評価は出来ません。まぁ図書館で暇つぶしに借りるのであれば止めませんが、少なくとも上下巻で四千円以上というのは価格的にありえない、そう思います。
 こんなものでいいですかね、小夏さん?
コメント (4)
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