怒るこぶ白鳥

そしてその後、こぶ白鳥は異様な行動に出ました。
池の縁は水平に５０センチ程コンクリートが張っていて、その上にさら
にコンクリートの階段がありました。階段縁のコンクリート部分は首の
長い白鳥ならちょうどそこに届くわけですが、何を思ったのかそこをガ
ブリと噛みついて、くちばしをごりごりとこすり始めました。噛みつい
たくちばしは、こんなに強いんだぞと見せつけているようです。
白鳥が言いました「かかってこい、この野郎　ここに下りてこい！」
アントニオ猪木が、相手レスラーを挑発するがごとく、こぶ白鳥が私を
挑発してきました。あの優雅な白鳥がとる行動とは思えません。
「おじさんは、別に君と喧嘩をするつもりはないよ」と言うと、白鳥
はさらに怒り「ど頭かち割って、奥歯ガタガタいわせてやろか！」
今度はまるで、吉本新喜劇のつるっぱげのパチパチおじさんのような怒
り心頭です。そうこうしていると、近くにいたお母さんと３才ほどの男
の子が、白鳥の異変に気づいて近づいて来ました。怒り狂っている白鳥は
小さな子供でも、容赦なく噛みつきそうです。男の子に近づいたらあぶな
いよと言いましたが、聞くような年頃ではありません。
男の子にわからせるために、先ほど白鳥が噛みついた靴を脱ぎ、それを
白鳥に近づけました。すると間髪を入れずにガブリと噛みついてきまし
た。その光景を見た男の子は、ポカンと口を開けて白鳥には近づかなく
なりました。すると、水の上の小屋で体を休めていたもう１羽の白鳥が
異変に気づいて、こちらに近づいてきました。どうやらその白鳥が雌の
ようで、一回り小さくおとなしそうに見えます。話が又長くなりそうな
ので、続きは明日になりました。

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